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異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた  作者: りゅう
続編 タイムリープ編
192/222

第192話 さらなるタイムリープへ

「今、神界で一番注目を集めている話題。つまりタイムリープだが、実は改良を検討している」


 俺は、この会議の本当のテーマをみんなに伝えた。

 今回の俺の「タイムリープ事件」については、既に神界には知られてしまったので隠しようがない。過去での出来事はともかく、俺の記憶が回復した事は既にバレている。

 ただ、タイムリープ自体が特殊なテクニックで、気軽に使えるものではないので、すぐに使いたいという要請は来ていない。考えてみれば、過去の自分を犠牲にしてもかまわないという神がどれだけいるだろう? そんな切実な願いがどれだけあるだろうか? タイムリープとは、本来危険な賭けのようなテクニックなのだ。

 そんなわけで、今はただ過去に戻ったという話題性だけで盛り上がっていると言えるだろう。それは、午後のお茶の話題として秀逸と言った程度のものだ。少なくとも神界では。


 ただ、俺はそれだけで終わらせる気はない。特殊な用途に使うものではあるが、出来るならば可能な限りテクニックを磨いておきたい。


「たまたま、動いてしまった長時間のタイムリープだが、本格的に使える機能として確立したいと思っている」と俺はぶち上げた。


「ごくり」と女神コリス。

 しまった、コリスまで呼んでしまった!

「あ~、コリス。惑星フォトスの状況を調べて来てくれないか?」

「あ~っ、絶対邪魔にしてる~っ」

「だって、分身作れないじゃん」

「そうだけど」

「ねぇ、それなんだけど、神界は誰もコリスの話を聞かないと思うのよね。だから、外さなくてもいいかも」アリスが残念なフォローをする。

「え~っ」喜ぶべきか悲しむべきか迷うコリス。


「まぁな。スパイが動いてるなら、どうせ効果は無い。普通の情報漏れだけを気にすればいいし、いいことにするか」

「そうそう。仲間外れは可哀相よ」とアリス。

「うん、分かった。でも、気を付けろよコリス!」

「がってん承知!」

「あ~、ストーン神国行って来るか?」

「ごめんなさい」

 なんか、最近キャラが違ってきてないか?


「この課題は、俺とカリスさんがメインになると思うけど、状況は知っておいて貰いたい。重要なテーマだからな」

 細かいことは分からなくていい。

「それで、今分かってる欠点というか改善が必要な項目がこれだ」


 俺は現時点のタイムリープの問題点をホワイトボードに箇条書きにして見せた。神力リンクで流したほうが簡単なんだが、なるべくローテクで秘匿性を狙う。


「現在のタイムリープ」の問題点

・精密な日時を指定出来ない

  現在の精度は二千年先で二か月の誤差

・タイムリープ先が神または使徒であると確認出来ない

・タイムリープ先の周囲の状況を確認できない


「こんなところだ」そう言って、俺は皆の反応をみた。


「最初の、飛び先の精度ですが、ひと月以内には出来ると思います。と言っても、日付が遠くなるほど誤差が増えますので、ひと月というのは二千年飛んだ場合です。百年程度なら、誤差一日くらいです」と女神カリス。

「おお、それは大きいな」実際に飛んだ俺の感覚でだが。実際、誤差の範囲で前回失敗したからな。誤差一か月だったら、問題なかった筈だ。


「タイムリープ先が神または使徒っていうのは?」

 今回の話を詳しく聞いていない女神スリスが質問した。


「ああ。これも今回失敗した原因だ」

「タイムリープは普通の人間が相手でも飛べてしまう。きわどいが、今回は使徒になる直前の俺にタイムリープしてしまった。人間なので戻るときの機能拡張が使えずに行ったままになってしまった訳だ。これは避けなければならない」

「こわ~い」思わずコリスが声を上げた。


「まぁ、実行した未来の側からすると失敗しただけだが、過去の人間にしてみれば未来の自分に乗っ取られたままになるわけだから困る。少し経てば元に戻るが、一時的におかしな行動をしてしまうことになる」

「リュウジの場合は、神になる前に使徒になってるし複雑よね。それに、二回召喚されてるしね。ちょっとあり得ないケースよ」とアリス。


 さらに幽閉もあったしな。俺は複雑な経歴の持ち主だ。ちゃんと飛べただけでも女神カリスの優秀さが分かる。っていうか、俺じゃ無かったら失敗しなかったのかも?


「これについても、対策は出来ると思います。今までは記憶を頼りにタイムリープしてましたが、確認シーケンスを加える予定です。つまり今は、デジャブと同じ鏡像メッセージ誘導に初期記憶を埋め込んで送っていますが、初期記憶を送る前に確認を返すようします。人間に届いてしまったら確認を返せないので、それ以上何もしません。つまり普通のデジャブと同じになります」と女神カリス。

「うん。それでいいだろう」


「ただ、三番目の安全を確認するというのは、難しいと思います。今話した確認シーケンスで多少の情報なら一緒に送り返せるとは思うのですが、安全確認と言うには程遠いかと」女神カリスは難しそうな顔で言った。


「どうして安全確認しないといけないの?」アリスが素直に疑問を口にする。

「ああ、細かい話だが、タイムリープした直後は寝起きと同じように意識がはっきりしないんだ。つまり、何かしている最中とか、とっさの判断が必要な状況にタイムリープするのは危険なんだ。だから状況を知りたいってわけだ」

「なるほど。確かにそうね。ちょっと状況をのぞき見したいわね」とアリス。

「ん? なんだって?」

「だから。千里眼で見るくらいはしたいわよね?」とアリス。

「それだ!」

「どれよ?」

「それだよ!」

「そうです、それです!」

「え~~~っ? 女神隊集合? してるけど?」


 ちょっと、慌てるアリス。


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