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異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた  作者: りゅう
続編 惑星フォトス編
165/222

第165話 侍女隊の女神湯デビュー

 神界の喧騒とは裏腹に、王城後宮は落ち着きを取り戻しつつあった。


 俺はというと、第一神様と約束した神化リングを作り始めた。

 単純にデザインを変えただけだと作り変えられそうなので所有者を特定する機能を追加した。さらに履歴もチェックするようにした。もちろん、作成者の俺が最初の所有者として登録されるが、第一神様を経由するものは二番目の所有者として第一神様を登録する必要がある。これを経ないと三番目の所有者の登録が出来ないようになっている。もちろん、一番目の登録は俺限定である。つまり、未登録のリングを俺から奪ったり魔動回路を複製しても、そのままでは使えないのだ。全て理解したうえで改造する必要がある。そこまで出来る奴なら自分で作れるだろうから諦めるしかない。


 また、二つのリングの違いが見て分かるように、俺のグループ内で使うリングは二本の線が光り、第一神様経由のリングは三本の線が光るようにした。つまり所有者登録が完了した数だけ光るわけだ。俺を示す一本目は青、第一神様の二本目はオレンジだ。最後の一本は、使用者の神力カラーによりさまざまに光る。これで遠目からでも違いが判るし、他のリングとも区別できるようになった。


「おお、これは見事じゃの」と第一神様。

「ありがとうございます」

「なるほど、一度わしの物になるわけじゃな」

「はい。これで不正利用は出来無いと思います」

「うむ。よかろう。では、これは貰っていくとしよう」

「はい。よろしくお願いします」


 今までの、テスト的に作った神化リングとは全く違う。さらに、シリアルナンバーも付いている。これは誰も知らない裏仕様だが。


 第一神様との約束を果たせて、まずは一安心だ。

 恋の矢を作るキューピットになった雰囲気があるのがアレだが。そういえば、キューピットって自分で矢を作ってるのか? もしかして俺、働きすぎ?


  *  *  *


 後宮西宮が完成した。

 同時に西宮と東宮の連絡通路や女神湯との連絡通路も完成した。なんだか王城の中心は女神湯みたいな雰囲気が出てきたが、決して意図した訳ではない。まぁ、神界の出島みたいなものだから、あながち間違ってもいないのだが。


 それはそうと、これで後宮と女神湯の往来が楽になった。まぁ、王城にいる場合はいつでも入れると言えば入れるのだが、俺が入っているときは別である。さらに女神様がいるときはセキュリティが厳しくなる。これは当然だ。正確に言えば女神様が入っている時こそ女神湯な訳だ。だから、この場合は誰でも入れる訳ではない。


 そんなわけで、女神様とよく話をする間柄の侍女隊だが今まで女神様と女神湯に入ったことがなかった。そして今夜、侍女隊は女神湯デビューする。それはつまり、女神様に正式に俺の嫁として認めてもらうことになる。まぁ、結果的に儀式のようになってしまっただけなのだが。


「侍女隊集合」

「ビシッ」

「今夜は、女神湯デビューだ。みんな、心して臨むように」ミゼール、気合が入っている。

「「「「「「はいっ!」」」」」」

「既に、マスターと女神様は湯船に浸かって寛いでいる。失礼の無いようにな!」

「「「「「「ラジャー」」」」」」

「よし、突入!」


 いったい、何処へ行くつもりなんだ?


  *  *  *


 こうして七人の侍女隊は揃って女神湯に入って行った。そして、それを見送る三従者隊。


「いい? 私たちもいつか絶対入れて貰うのよ!」とヒスイ。

「私、毎日入ってます」とスサが言う。

「もう! そうじゃないの。マスターと女神様がいないときは、ただの露天風呂と一緒なの!」ヒスイはじれったそうに言った。

「はい。あ、でも、イリス様の祝福があります」とスサ。

「ああ、そうね。確かに、普通じゃないわね。イリス様に祝福された露天風呂ね」とヒスイ。

「はい。そうですね」

「でも、私たちは、その女神様やマスターと一緒に入るのが目標なのよ!」

「そうですね!」とヒラク。

「はい」とスサ。

「今日、女神湯デビューする七人の侍女隊は、結成してから約三年だそうよ。私たちはまだ結成したばかり。だから、簡単に諦めたりしちゃだめってこと。二人とも分かった?」

「「はい!」」


 なんだかヒスイの決意が伝わってくるな。けど、三従者隊の前にH&Hズってあったんだけど? もうすぐ二年なんだけど?


「その日まで、がんばろ~っ」

「「「お~っ」」」


 いや、スサは関係無いだろ。


  *  *  *


「マスター、入りまーす」

 俺と女神隊四名が湯船に浸かっていると、ミゼールを筆頭に侍女隊が入って来た。

「「「「「「おじゃましま~す」」」」」」


「お~、来たか」

「あら。なんか初々しいわね」とアリス。

 うん、ちょっといつもの侍女隊ではない。まぁ、そりゃそうか。

「恐れ入ります」とミゼール。

「そんな、畏まってないで、こっち来て寛いでちょうだい」とアリス。

「ふふふ。可愛いわね」とイリス様。

「ははは。可愛いのである」とウリス様。

「ふふふ。リュウジ可愛い」なんでだよ!


「今日は、なんだかとっても特別な感じがします」とミゼール。

「まぁ、後光出てるしな。抑えて貰ってるけど」

「そういえば、リュウジは出しっぱなしよね?」とアリス。

「えっ? 後光? 俺から?」聞いてないよ。

「そりゃそうよ」とアリス。

「何時の間に」

「前から出てたけど?」

「そんな訳ないだろ?」

「ああ、ほら、第二神になった時、第一神様から制限とか取っ払われたじゃない?」

「ああ、あの時からか。神化リングしてても出るんだ」

「そりゃそうよ。第二神なのよ! しかも恒久第二神よ!」

「ああそうか、神力太くなったもんな」

「そうね。それと私たちも神化リングしてるけど後光は出てるでしょ? だから、とりあえずセーブしなくちゃダメよ」

「分かった」

「あの。そのままでもいいです。なんだか、コリがほぐれるような」とミゼール。

「温泉か!」

 ミゼールは意識しないで落ちを作るから凄いな。ん? あながちウソでも無いのか?


 もちろん、七人の侍女隊が初々しくて大人しかったのはこの夜だけだった。


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