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異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた  作者: りゅう
続編 惑星フォトス編
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第163話 平穏な日常と神格化

 南北大陸の地震を最後にストーン神国関連の騒ぎは収まった。

 ストーン砂漠は緑化が進んでいるようだがリゾート地としての価値はあまりないままで、動きは特にない。その他、特に目新しい事もなく神聖アリス教国の平穏な日常が帰って来た。


 だが、その平穏は長続きはしなかった。

 そう、七人の侍女隊を嫁に迎えるため建設を進めていた後宮西宮が完成したのだ。そして、西宮の完成を待っていたかのように嫁達七人は次々と懐妊した。もちろん侍女隊ではない。イリス様の祝福のお陰で二周目である。だが、これが六人ではなく七人だという点が普通では無かった。

 つまり、美鈴も懐妊したのだ。つくづく俺は平穏と縁が無いと思う。というか、もう平穏なんて好きじゃないかも。もう、大っ嫌いだよ。そういうことにしよう。

 まぁ、自分で引き起こしたことだけど。


 美鈴が懐妊したので美鈴街道を作ろうかと思ったら街道は要らないと言われた。


「それより空港のほうがいいよ」

「空港?」

「うん、王城横の飛行船発着場は、もう限界でしょ? ちゃんとした空港が必要だよ」


 さすが美鈴だ。既にこの国の物流は飛行船がメインになりつつあることを把握しているようだ。


「なるほど。確かにな。じゃぁ、整地して空港を作るか。世界のモデルになるような奴を」

「ふふ。そうね。頑張ってね」


 いや、頑張らなくても作れちゃうけどね。

 ということで、街を拡張して「美鈴空港」の建設が始まった。ホバリングが得意な神魔動飛行船が前提なので地球の空港とは違う。円形の発着場を基本にした、どこかで作っていた宇宙港を思わせる姿になった。

 この空港の発着ポートは二階になる予定だ。階下のパッケージ化された荷物を素早く上げ下ろし出来る構造になっている。二階に飛行船、一階には自動荷車が到着する、非常に効率重視の構造になる訳だ。

 それを見た美鈴は気に入ったらしく、管制塔などのデザインは自分がやると言い出した。張り切り過ぎるなよ。


  *  *  *


 嫁の懐妊について、俺や神聖アリス教国の騒ぎはそれでも想定内だった。しかしそうではない所があった。そう、神界である。

 なぜ神界が大騒ぎしているかと言うと、一度完全に神格化した使徒が懐妊したからである。どうも、前代未聞のことだったようだ。そしてこのニュースは神界に激震をもたらした。

 俺のグループを中心に神界はあり得ない大騒ぎとなった。まず、祝福をしたイリス様が、おかしくなっていた。


「もう、素晴らしいわ。わたしがやったのよね? もう、どうしましょう」イリス様でも壊れるんだな。

「ホント! 信じられないわね!」とアリス。

「まさかの展開なのである」とウリス様。

「どういうこと? ねぇ、どういうこと?」とエリス様。


 エリス様もちょっと普通じゃない。

 「怖い」って言うのを忘れて俺に縋り付いて来た。近い近い近いっ。


「い、いや、知らないです。イリス様が言うように、人間を使徒にした場合の神格化ってあくまで五十パーセントまでだから……じゃないですか?」


 これはイリス様に聞いた話だ。霊界から呼び寄せた魂を使途にした場合は初めから百パーセントの神格化だが、人間を使徒にした場合は最大でも五十パーセントの神格化なのだそうだ。


「うん?」

「だから、半分人間の肉体は残ってるわけです。神格化五十パーセントになると子供は出来ないけど、美鈴の場合は神化リングを装着して神格化が四十パーセントまで減ったので子供ができるようになったってことらしいです」


「ふうん。そうすると、女神にも可能性が出てくるのかな?」

「へ? いやいや、それはさすがに無理でしょ。百パーセントですよね?」

「顕現してれば、女神も受肉する」

「え? でも神界に戻る時に肉体は捨ててるじゃないですか」

「捨てなきゃいいの?」

「いえ、知りません」


 元人間の俺達の場合は普通に肉体を保持してるけど、どう違うんだろ?


「わからない」


 エリス様は、そんなことを言ってから、ふっと何処かへ転移していった。


  *  *  *


「ちょっとやばいかも」


 アリスが、内緒話をするために顕現して来た。

 今はリンク開放してないからな。まぁ、気分の問題らしいが。


「やばいって、美鈴のこと?」

「うん? あ、美鈴さんの子供の事はいいのよ。同じ元人間の使徒だし、みんなと同じよ」

「うん」

「ただ、神格化百パーセントの使徒や女神にも可能性が出てきちゃったとこが問題なのよ」

「へ? 可能性が出て来たの? 無理なんじゃないの?」

「それが、可能性があるらしいのよ。エリスが、カリスさんと話してたの聞いたの」

「ま、まさか!」

「その、まさかなのよ」

「ふうん。けど、女神様って、そういう気持ちはもう無いんじゃないの?」

「ううん。そうなんだけどね」

「そうでもないの?」

「ううん。そこは、個性でしょ? で、みんな個性的なのよ」

「ああ、そうだね。アリスもそうなの?」

「えっ? 私? 私は……どうかなぁ?」


 悩むんだ。


 う~ん、確かにこれ神界としては一大事なのかも? けど、可能だとして制限なんて出来ないよな? まぁ、だからこそ問題なんだが。うん? 問題なのか? 一大ニースかも知れないけど、問題じゃないのか?


 まぁでも、とりあえず結論は出ていないので騒いだりするのは止めとこう。


  *  *  *


 とりあえず、神界の常識としては「女神の子作り」は問題らしい。

 要するに女神が子供を作るってことは顕現したまま神界に戻らないことを意味するからだ。子供を授かれる体になるまで、どのくらい時間が掛かるか不明だが、この間ずっと地上界に顕現したままと言うことだ。これは、女神の仕事量が減ることを意味する。これが第一の問題。

 さらに、神界へ戻るときは俺や人間の使徒と同じように神力を大量に消費することになる。ただでさえ少ない神力を大量に消費されたら困る訳だ。これが第二の問題。


 ただ、第二の神力の消費については俺の神化リングで解消してしまった。寧ろ、神力が余るくらいなので問題ない。

 第一の、女神の仕事量が減るというのは、どうだろう? 確かに神化リングが無かった頃なら地上界に顕現したままになる必要があったのだが、神化リングを装着すれば神界に居ても何をしていても神格化は後退する。あるいは、神格化は進行しない。つまり、子作りの期間を除けば仕事量への影響はないと言える。百年が昼寝の神界だ、数年の休暇くらい問題ない。


 こうして、神化リングは再び注目の的になってしまった。でも、今回は問題化できないだろう。なにしろ、第一神様が使っている。


 というわけで、神化リングでメー〇アップしちゃいたい女神様が激増した。

 俺のところに、神化リング量産依頼が飛び込んできたのだ。これはマズいかも知れない。

 星の数ほどいる神様だ。この銀河だけでも凄い数だと思う。けど、他の銀河の神様からのオーダーなんて受けられないよな? あれ? その辺、どうなってるんだろう? 聞くのが怖いので止めとこう。


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