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異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた  作者: りゅう
続編 未来視編
160/222

第160話 幽閉前の記憶

 女神カリスから記憶を取り戻す機能拡張が完成したと報告があった後は、お祭り騒ぎになってしまった。それで、実際に試すのは日を改めてということになった。


 この機能拡張は、メッセージ誘導と一緒に送られる。メッセージ誘導が人間の意識表面をコピーするので、その一部に埋め込むらしい。あとは受け取った者が有効化するだけだ。

 これがうまく動けば、いよいよ幽閉前の記憶が戻ることになる。さすがにちょっと緊張してきた。何しろ、前々世の記憶だしな。戻っても、大丈夫なんだよな? 俺の人格変わったりしないよな? ちょっと心配だ。

 全ては神魔科学の女神カリスに委ねられている。


「では、カリスさん、よろしくお願いします」意を決して俺は言った。

「はい。では早速!」


 おもむろにカリスさんは完成した機能拡張を呼び出した。リンクを解放しているので、そのまま俺に入って来る。


「これで、設定は完了しました」


 後は、指示に従って起動するだけだ。


「じゃ、実行する!」


 操作は簡単だった。過去の自分へのメッセージに機能拡張を埋め込むと俺は迷わず送信した。

 これで、幽閉前の俺がちゃんと受け取れれば記憶が戻せる筈だ。後は成功することを祈るのみだ。まぁ、将来に対する祈りではなく、過去に対する祈りというのが微妙だが。そもそも神は誰に祈るのだ?


「どうですか? 記憶管理領域を呼び出して検索してみてください」


 俺がメッセージを送ったあと考え込んでいたのを見て女神カリスが声を掛けてきた。


「うん? あ、そうですね。ちょっと探してみます」


 俺は、女神カリスからあらかじめ教えられていた記憶管理領域の検索を実行した。


「え~っと、あ、ありました!」


 過去の俺は、ちゃんと受け取ってくれたようだ。記憶管理領域を検索すると、すぐに見つかった。


「これにリンクを張ればいいんですね?」

「そうです」と女神カリス。

「まずかったら、リンクを外せますよね」

「えっ? あっ、はい。出来ますね」と女神カリス。


 仕方ない、女神カリスに教わった通りに早速リンクを張っていった。


「おおおおっ」

「どうでしょう?」

「も、戻りました!」


 リンクを張るごとに、記憶が戻る!


「気分はどうです?」

「だいじょうぶ……みたいです」

「違和感はありませんか?」

「はい。いまのところ問題ないみたいです」


 俺はいろいろ思い出していた。


「エリー?」


 一応、女神隊は全員集合しているのだが、目の前にいたエリス様をみて思わず言ってしまった。


「リュウ、思い出したの?」とエリス様。

「ああ、確かにエリス様のことエリーって呼んでたな。その頃からエリスだったの?」

「そう」

「へぇ。偶然の一致かな?」

「そんな訳ないでしょ?」


 えっ?


「ああ、『アリス』なども全て俺が誘導した名前だったな。そりゃ一致するか」

「ふふ。そうだね」


「特に、私達四人は前から仲がいいからね」とアリス。

「そうね」とイリス様。

「そうなのだ」とウリス様。

「そうそう」とエリス様。


「それは、初耳だな」

「もともと、この四人は上位神が同じだったからね」とアリス。

「あ、そういうことか。そういや神力でアリスと話してたときに、ウリス様が割り込んで来たけど、そういうことか」

「うん? ああ、そうなのだ」

「タブレット鑑賞会の時ね」とアリス。

「あ、バラしてるし」とウリス様。

「ふふふ。もういいでしょ?」とアリス。

「ううん。俺? 私? まぁ、俺でいいか。名前もリュウジでいいよな? 記憶が戻ったとはいえ、地球で育った俺のカラーが強いから」


「そうよね。全く別人だもんね」とアリス。そうなんだ。

「印象は変わったわね。こっちのほうがいいかも」


 イリス様は、こっちのほうがいいらしい。良かった!


「そうなのだ。性格もちょっと違う気がするのだ」

「そうかな?」

「エリーは同じだと思う?」

「ふふ。エリーって呼ばれると昔と同じだと思う」

「そうか。どうするかな」

「エリス様でもいいけど」


 うん? 意外と気に入ってるのか?


「エリーだと、ちょっと馴れ馴れしいよな。じゃ、今まで通りエリス様でいく」

「うん、いいよ」


 百年より前の事情がありそうだしな。


「そういえば、俺の上位神って地学神の『おpうぇ』だったな」


 俺は、当時の事を思い出して言った。人間関係というか、神界なので神様関係は大事だからな。


「ああ、あのいつもどこかに行ってる神様ね」と女神カリス。まぁ、確かに常に出歩いていたかも。女神カリスも、ちょっと知ってるようだ。


「えっと、いますか?」


ぽっ


「は~いっ」


 地学の女神様登場。


「やっと呼ばれたのね」


「あれ? 見てたんですか? 珍しいですね」

「ええ、もう面白くて。君、前より面白いわよ」前も面白かったんだ。


「あ、この女神『おpうぇ』は地学というか惑星物理学の神様で俺の上位神です」


 とりあえず、知らない神様もいると思ってみんなに紹介した。


「またよろしく!」

「よろしく」

「よろしく、なのだ!」

「ども~」


「元上位神だけどね」そっと修正された。

「あ、急に上位になっちゃって、すみません」

「ほんとよ、びっくりしたわ」


「それにしても、もっと早く声掛けてくれても良かったのに」

「何言ってんのよ。召喚でボクの系統から外れちゃったから分からなかったわよ。見た目も違うし、神力カラーも違う」とんでもないという顔で言う。


「あ、そうでしたね」

「そうそう! 分かる訳ないわよ」

「私たちも分からなかったものね」とアリス。

「ほんとうね」頷くイリス様。

「そうなのだ」とウリス様。

「怖くない」

「うっ。怖いもん!」


「で、ボクって『スリス』でいいの?」


 面白そうに言う元上位神。


「へ? いや、別に標準語でいいですよ」


 記憶が戻ったら、神界標準語も普通に思えるし。


「そう? 私スリスで出ることしか考えて無かったんだけど?」


「じゃ、スリス様で」

「様はやめてよ。もう、ボクより上位神なんだし」

「でもねぇ。あ、系統どうします?」

「当然、女神隊に入れてくれるよね?」

「あ、はい。って、いいんですか?」

「いいに決まってるでしょ? 第二神様の直下なのよ! もう、夢みたい。すぐに入れて!」

「じゃ、いきます」


「キスしてもいいわよ」

「あ~あ~、聞こえない。って、もう入れました」って、そのネタ知ってるくらい前から見てるんだ!

「もう! 上位神の権限でキスさせとくんだった」

「そんな権限ありません」


「なんだか、リュウジさんの上位神だったことに納得ですね」と女神カリス。

「自由な神様でしょ?」

「でも、研究職の神様には多いと思います」


 女神カリスにフォローされるくらい自由ってことだな。


「でしょでしょ?」と女神スリス。褒めてないから。


「二人の共通点発見!」自由奔放な神様達だな。

「君、何勘違いしてるの? 君も一緒だよ」と女神スリス。

「えっ? 俺は違うでしょ? あ~でも召喚されてからは、やりたい放題だったかも」

「あはは。それ、前からだから」


「そ、そうなんですか?」

「君、なんで幽閉されたと思ってるのよ!」

「あ~、まぁ、確かに」

「まぁ、そうよね」とアリス。

「そうだったわね」とイリス様。

「そうなのだ」とウリス様。

「ふっふっふ。リュウジ怖い!」確信を持って言うエリス様。


 まぁ、そうそう変わらないこともあるもんだ。

 とりあえず、記憶だけでなく神様との関係も戻って嬉しい俺だった。


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