表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた  作者: りゅう
幻の大陸アトラ編
151/222

第151話 未来に向けて1

 なんとかリンク開放に馴染んできた。

 神力リンクで接続した女神たちの感情は、さざ波のように引いていった。さすがに経験豊富な女神様だ。神力リンクで自分を抑える方法は分かっているようだ。これで、メッセージ誘導に集中することが出来るだろう。

 そう考えて待っていると、先ほどの者からのメッセージ誘導が届いた。いよいよか。


【リュウジよ。聞いているか? 私はこの世界の担当神、qpうぇりである】


「えっ? これ、前の担当神よ」驚いたコリスが思わず言った。二つ前の担当神? つまり、ストーン神国を作ろうとした。あれ? 幽閉されてるんじゃ?


「うそっ」とアリス。

「えっ?」とイリス様。

「まさかっ!」とウリス様。

「竜神!」とエリス様。


 アリスたち女神隊四名も驚いていた。どうも知ってるらしい。有名な神なのか? それ以上は黙っているが、僅かに感情の波が伝わってくる。


【私は、君に伝えなければならないことがある。ただし、このメッセージは百年過去から送っている。この事に注意して聞いてくれ】


 なに~っ! そういう事、さらっと言うな! メッセージ誘導って、過去だけじゃなく未来へも送れるのかよ! そう思ったが、女神からも驚きの感情が伝わってきた。短く「あり得ない」という言葉も聞こえた。どうも、普通じゃないらしい。


【私は、担当神であると同時に『未来視』の研究者でもある。神の能力『神の兆し』を研究することで、百年先の未来を見れるようになった。私は、この力で自分の世界を管理して来た】


「まじか。そりゃ、凄いな。てか、神様っぽいやり方だな」

「驚きました!」女神カリスも身を乗り出して言った。あえて指摘してるようだ。

 つまり、この神様っぽいやり方は、神界ではとんでもない事ということだ。『神の兆し』って、危険を感知して自動で防御フィールド張る能力だよな? 確かに未来予知っぽいな。


【君も知っている黒青病は、もう何度も発生しては私が抑えて来た。しかし、干渉過多と判断された私は、不干渉主義者によって捕らえられてしまった】


 ん? ああ、ストーン神国から手を引いた後の話か。確かに、南方諸国のセルー島に顕現してたな。黒青病は何度も蔓延したのか。


【残念なことに、私の幽閉でこの世界の破滅は確定してしまった。未来視で見たとき、「黒青病で破滅する未来」と「神界リセットで破滅する未来」、この二つしか見えなくなってしまったのだ】


 未来視って、複数の未来が見えるのか。


【そこで、私は一計を案じた。なんとかして自分をこの世界に戻す方法を考えたのだ】


 ん? 幽閉って、いつまでなんだろう?

「自分の出身世界に千年間閉じ込められるわね。輪廻を繰り返したあと開放されるの」とイリス様が教えてくれた。

「まじですか。そりゃ、間に合わないな」


【私が見つけた方法は、「召喚」を使う方法だ。異世界に幽閉されていても、普通の人間として生きているので召喚する事が可能なのだ】


「えっ? そんなの聞いたことない」アリスが思わず言った。他の女神達も頷いている。誰も知らないようだ。


【私は、この世界の担当神が「召喚」を使うことを未来視で知った。このとき、幽閉先である「地球」にいる私を召喚することが出来れば戻れるという訳だ】


 地球だと! 俺と同じ地球出身なのか! あれ? 地球から召喚?


【だが、一度目の召喚は失敗してしまった。地球を知らない神では正確に私を指定することが出来なかったのだ。そして、椎名美鈴が召喚された】


「やっぱり。私だと思った」と美鈴。そうだよな。女神コリスが召喚した時だ。いや、ちょっと待て。


【そこで、今度は椎名美鈴にメッセージを送ることにした。次の担当神、女神アリスが召喚しようとしたとき、椎名美鈴が言った条件で召喚するようにしたのだ】


 そう来たか。

「そ、そういう事だったのね」アリスも愕然としている。


【椎名美鈴には悪いことをした。申し訳ない】


「もう、いいわよ。私もメッセージ誘導使ったし」実際、彼女の中に怒りの感情は無かった。むしろ、共感のような感情が浮かんでいた。


【おかげで私の目論見は成功した。ただ、幽閉中の身なので召喚しても神界の記憶はない。地球にいた記憶しかないのだ。正直、記憶を失った私の召喚でうまく行く確率は低かった。しかし、私に出来ることは、もうこれしかなかったのだ】


 まじかよ。てか、これ俺だよな? 俺のことだよな?


【二度目のメッセージ誘導を送った後、再度見た未来は私の期待通りのものだった。ついに滅亡する未来が見えなくなったのだ。黒青病で破滅する未来も、神界リセットで破滅する未来も見えなくなった。今まで見えなかった今の君たちのいる世界が見えたのだ。和やかな世界。なんと素晴らしいことだ!】


 そうなのか? 今、この時って、そんなに貴重だったのかよ! 当事者は気が付かないもんだな。あれ? メッセージ送って来た時って、女神湯に入ってた時だよな? あれが見えたのか? そうなのか?


【そうだ。全て、うまく行ったのだ。成功したのだ! 私が言うのも変だが、良くやってくれた!】


 そういうことかよ。まぁ、みんなのお陰だけどな。俺には強い味方が沢山いるからな!


 見ると、女神全員が俺を見ていた。いや、そりゃ当然なんだけど。こういう場合、どういう顔をしたらいいんだ?


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ