第118話 飛翔魔道具免許
魔法教習をやってみて分かったが、魔法って思いっきり適正が必要だった。
今の俺の嫁は神力だし使徒なので使えて当然なんだが、魔法だった時に上手く使えてたのは優秀だったからのようだ。
これが、俺が魔法教習を見学した時の素直な感想だ。
「きゃぁ~とめてとめてっ」
飛んでいるんだが、止まれないようだ。いや、それ、お前が止めないと止まらなんだが。
ってか、危険なので止めさせた。空き地での教習で良かった。
「うぉぉぉぉぉぉ~っ、なんで後ろに水が飛ぶのじゃ!」
水で良かったよ。火じゃなくて。
「何故だ! 何故水が出ない」ほんとだな。
どうも、魔力があっても制御するセンスがないと暴走もしくは発動しないようだ。
これが、初日なら仕方ないが一週間連続してこれだと才能だというしかない。とても、免許は危なくて渡せない。
「これは、しかたないのぉ」とヒュペリオン王。
「私も、さすがにこれでは無理だと知りました」とピステル。
この二人、魔法免許の取得は諦めたようだ。
意外だったのが、バトン、ネムの二人。
かなり優秀だった。あと、H&Hズもなんとか免許を許された。
「Hじゃないけどね!」
はい。
さらに意外だったのがピステルが連れて来た王妃ピアスが合格したこと。
大事そうに魔法免許のリングを受け取っていた。
うちの仲間は二十五人で五人合格した。
思ったより多い。まぁ、こんなもんか。あと聖アリス教会シスターズの十人からも三人合格したらしい。優秀だな。
やってみて、やはり魔法免許は能力を十分の一に抑えた『レベル1』とすることにした。
これでも飛ぶことは出来るし、通常の魔法に比べたら夢のような力を発揮する。初めてにしては十分危険な領域なのだ。これ以上は魔法学校を設立して厳しく教育してから開放ということにした。
ま、レベル1のみ開放しておけば、入学試験にできるからちょうどいい。
* * *
「のぉ婿殿、ちと相談なんじゃが」
ピステルとペリ君が、何か真剣に話し合ってるなと思っていたら、いきなりやって来て言った。
「なんでしょう?」
「無重量レジャーランドで使ってる飛翔魔道具があるじゃろう?」
「はい」
「あれを、もう少し強力にしたら、わしらでも普通に飛べるんじゃないだろうか?」
「はぁ」
ペリ君、諦めきれなかったらしい。
そう言えば、二人の妃は飛べるな。テイアは使徒なので当然だが、ピアス妃も魔法免許を取得した。そういうことか?
「きっと、出来ると思うんだよ」
「テル君も欲しいんだ」
「テル君?」
「ピステルのテルでテル君」
そう言うと、ピステルは微妙な顔をするも『ペリ君』の手前何も言えないようだ。
「おお、『テル君』か、なかなか乙な響きじゃのぉ」
なんか、変なコンビが出来たような気がする。ペリ君&テル君。
「いや、そんな事はいいんだ。とにかく、あの無重量レジャーランドでは上手く飛べるんだから、あれと同じ使い方の魔道具さえあれば、俺達も上手く飛べると思うんだ」
なるほど。確かにな。
「あ~っ。たぶん、作れると思うけど魔石を使いそうだから高価に……なっても二人はいいか?」
「かまわん」
「全然問題無し」
「ううん。でもなぁ……」
そもそも魔法を制限するための免許だからなぁ。
「いや、これは衛兵達に渡しても使える物じゃろ?」
必死に有用性を主張するペリ君。
「そうだよ。魔法の適性が無くても必要な能力だよ」とテル君。
「なるほど職業に必要な場合もあるか。ただ、魔法が免許制なので飛翔魔道具も免許制にはなるとは思いますが」
「それはそうじゃろう」
「全然、構わないよ」
無重量レジャーランドと同じなら自信があるらしい。
「分かりました。じゃ、飛翔魔道具の免許制度を検討してみましょう」
「おおおおっ。さすが婿殿じゃ!」
「感謝する!」
なんか、無重量レジャーランドをそのまま教習所にしちゃおうか?
* * *
で、飛翔魔道具について神魔科学神カリスに相談したら簡単に作れると言う。
ベルト形式だし、既に形は無重量レジャーランドで出来てるから個人認証を付けてパワーアップするだけだ。魔力切れで自動降下するのも一緒だしね。
違うのは高価な魔石を複数使うことくらいだ。
ということで、飛翔魔道具免許制度も追加された。
ついでに、魔法学園の魔道具科も作ることにした。
今回は飛翔限定の魔道具だが、他にも実用的な魔道具を使いこなす学校は必要になるだろうということだ。確かに、飛行船を始め魔道具が沢山開発されているからな。
ほかにも魔動飛行船パイロット科なんて、必要になるかも。
こうして、魔法学園には魔法科、魔道具科が作られることになった。