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第114話 大陸連絡評議会-南方諸国へ-

 最近は、大陸連絡評議会を毎月開いている。

 各国の動きも活発になり、急いで協議する必要のある案件が増えて来たからだ。まぁ、軽い話題も多いのだが重くなってから話したのでは遅すぎるということもある。


今回のテーマ

・南方諸国使節団派遣

・南方諸国への窓口


連絡事項

・ストーン砂漠で進めている復興計画の報告

・南北大陸との交易手段について


 まずは、南方諸国使節団派遣についてだ。


「国内の課題も多々あるので出発できるとしたら、やはり収穫後ということになるでしょう」


 ピステルが派遣の時期について切り出した。


「うむ。南北大陸の時は、ちと苦労したからのぉ。南方と言えば季節も逆と聞く。出発は冬で問題無かろう」


 こちらは、ヒュペリオン王だ。ウィスリムにくぎを刺されたか?


「出来れば、彼の地の春のうちに行きたいので、収穫が終わったらすぐがいいでしょう。当地の事情は分かりませんが、春のなるべく早い時期に到着したいと考えています。うまくすれば作付けに間に合いますからね」とピステル。


 出発の時期については、各国これで問題ないようだ。


「南方諸国への窓口というのは?」


 これはナエル・シュゼールだ。

 シュゼールは交易で栄えている商人の国、南方諸国とはルートも近く、深い関係が生まれそうで関心も高い。


「南方諸国のある位置ですが、中央大陸の南東沖約千キロメートルから先ということです。マッハ神魔動飛行船で行くならば、もっとも近いカセームのパタンから一時間ほどになります」


「ふむ。そうでしょうな」

「ただ、今後の交易拡大を考えますと、貨物船を使うにしてもなるべく近い場所に交易拠点を持ちたいところです。しかし、もっとも近い場所だった国は、現在無人となっています。私はこれを何とかしたいと考えています」とピステル。


「砂漠の街を復興するのは、コスト的に見合いますかな?」


 ピステルの考えにナエル王が疑問の声を上げる。


「いえ、いわゆる砂漠ではありません。それでも、普通なら簡単ではないでしょうね」


 ピステルも容易でないことは分かっているようだ。


「ああ、なるほど」


 そう言って、ナエルは俺を見る。バレてるし。まぁ、そうなんだけど。


「無人となって長い場合はコストが掛かりそうですが、まだ日も浅く難民としてパタンに身を寄せていると聞きます。また、復興に意欲を持っている人が多くいるとのことで、それならば少々手を貸すだけで何とかなるかと思います」と俺。


「確かに、国とは人であるからな。人の意思があるならば、続けられよう」これはヒュペリオン王だ。


「はい。ですので、この夏までに手を打つ計画でいます。大陸間の中継ですので、パタンの他に別の港も使えるのは好都合でしょう」


 実際のところ、俺はヨセムに思い入れはない。だが大陸間の交易が増大すれば何れ必要になる。


「これは、私が幼いときにお世話になったヨセムの民への恩返しなので、私の責任で進めたいと思います。ただ、評議会の皆さんにもご承知おき願えればと思います」


 ピステルは正直に言った。


「なるほど。協力したい者はピステル殿に連絡すればよろしいか?」とナエル王。

「はい、私かリュウジ殿に連絡いただければと思います」とピステル。


 ナエル王、いっちょ噛みしたいのかな? さすが商業都市を預かる王様だ。今回、ナエル王は南方諸国への使節団にも参加を表明しているくらいだしな。


「復興の可能性を探るために、いくつか試してみる予定です。ヨセムでの復興計画への参加はこの結果を見てということでどうでしょう。遅くとも来月の評議会には報告出来ると思います」とピステル。


 復興となったら夏から使節団出発の秋まで三、四か月程度。この期間ではやっと形が出来る程度だろうが、実際の交易は先方の収穫後ということになるので来年の春だ。輸送手段の手配もあるが、窓口としてはなんとか間に合うのではと考えている。

 まして、交易のプロであるシュゼールが手伝ってくれるなら、これほど頼もしいことはない。後は住民の努力次第だ。


「うむ。了解した」


 ナエル王、かなり期待しているようだ。


  *  *  *


 連絡事項としてあげた『南北大陸との輸送手段』も大きな課題ではある。

 南方諸国とも関係あるが、南北大陸と交易を開始するにあたって問題となるのは、現在選択可能な輸送手段が神魔動飛行船しかないということだ。高価なものや鮮度優先なものを取引するには問題ないが、穀物や日用雑貨レベルの物を取引出来てこその交易と言える。その意味で、コストの安い輸送手段が必要になる。


「私共ではいかんともしがたい。ここは、是非神聖アリス教国のお力で何とかして頂きたいと願っております」これはナディアスのボーフェンだ。このところ、ウチとの交易でかなり繁盛していて顔色もいい。そろそろ、自治領などという名は返上しそうだ。


「はい。実際の運用コストを考えた総合的な視点で検討しているところです」

「おお、素晴らしい。それでこそ、リュウジ殿」まぁ、最近はあまりタッチしてないんだけどね。

「なるほど、そうなると販路が確保出来た場合の我らの対応を先に検討しておく必要がありそうですな」オキ神国のラーセル法王だ。

「そうですね。心づもりだけはお願いします。ただ、実際のコストについては、お約束は出来ない状態ですが」

「ふむ。当然ですな。我々の対応次第で全体のコストは大きく変わりますからな。しかし、今の飛行船より安価で安全な手段が提供されるとなれば当然交易は拡大するでしょう。期待しております」とラーセル法王。

「そうですな。手段を全てリュウジ殿にお願いした状態で心苦しい限りですが、せめてそれを生かせる体制にしておかねば」これはアイデス王国のノミナス王だ。

「われわれも、同様に対応する所存。吉報をお待ちしております」ナミア王国のワレスト国王だ。あまり意見を言う人ではないが、期待してくれているようだ。


「私ども、南北大陸の国でも現在中央大陸との交易を考え準備を始めています。詳しい交易品については各国と調整したいと思いますが、まだ作付けの間に合うものもありますので、なんなりとご要望をお伝えください」

 大陸連絡評議会に加盟した南北大陸の各国も今回から参加している。まだ、様子見で聞いているだけの場合が多いが、交易となれば黙っていても仕方がない。パルス王国のヒスビス国王が南北大陸を代表するように発言した。いよいよ本格的な交流が始まるのだ。


  *  *  *


 最後に、南北大陸のストーン砂漠で進めている復興計画だが、これはまだ全く見えていない。

 神聖アリス教国が独自に進めているという報告のみとした。基本的な方針、神界との関係など、まだまだ色々と未定部分が多く下手に発表できないからだ。

 それでも何人かの王様には知られているが。


  *  *  *


 今回の会議で、南方諸国使節団のメンバーが決まった。

 前回南北大陸の場合と同じくピステルを代表としたものだが、追加でナエル・シュゼール国王も加わることになった。

 もう少し後だったら次の評議会議長になるとこだが。その意味ではピステル大活躍だな。

 それと、俺の嫁は子供が一歳でこれから目が離せなくなるので今回は参加を見合わせることにした。俺の妃役が必要ならミゼールが代表すればいいだろう。


「わ、我がマスターの妃を代表するのか? そ、それでいいのか?」とミゼール。興奮し過ぎ。

「まぁ、侍女隊は全員婚約者だからな」

「そ、そうだな。そうだった」忘れてるし。


南方諸国使節団の主要メンバー

  評議会代表 カセーム王国 ピステル・カセーム王

  代表代理 神聖アリス教国 リュウジ・アリステリアス王

  代表代理 聖アリステリアス王国 ヒュペリオン・アリステリアス王

  代表代理 シュゼール王国 ナエル・シュゼール王

  魔法共生菌防衛体制本部

   特効薬、無害化魔法共生菌配布プロジェクト 主任 ネム

   文化交流代表 アリス・アリステリアス


  警備主任 椎名美鈴

  警備 七人の侍女隊/天馬一号

  警備 近衛神魔動車隊


 このメンバーに入ったということは、当然ナエル・シュゼール王も知ることとなる。全てを。

 まぁ、妹シュリの話もしなくちゃならないしな。


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