第10話 女神様の絵を頼む
いつものように、ニーナが朝食を用意しているとき女神アリスから連絡が入った。
早速、昨日の教会との顛末を説明してアリスの肖像画を頼んでみた。いつも神界から見てる訳じゃないらしい。そりゃそーか、神界での活動もあるもんな?
神が地上のあらゆることを見ているなんてことはあり得ないよな。ただ見てるだけでもとんでもないことになるから。俺なら、そんなブラック企業に絶対就職しない。退屈だし。
それにしては、うちの女神様よく連絡してくるけど。最初の話とだいぶ違う。
ー で、私の絵がほしいと。
ー うん、どうだろう、教会の女神像を作るためだからいいんじゃない?
考えてみたら、宗教と絵画って微妙な話題だったりするのか? 怒られたりするのかな?
ー ぜひ、女神像作って頂戴。絵は一枚でいいの? 何枚か描かせようかしら。
全然オッケーでした。
ー ちょっと待て。女神の姿で絵を描くなよ? あくまで一般人としての絵が欲しいんだ。
ー あら、面倒ね。普通の女神の姿でいいじゃない。
ー いや、だから本人だってバレちゃうだろ。
ー ああ、まぁそうね。なるべく希望してみるけど。
ー なんか俺、公報とかプロデューサーとかになった気分なんだけど。
ー 使徒なんだから、当然よ。
ー 当然なのか? で、いつごろ貰える? 写真でいんだけど。
ー それこそダメよ。この世界で写真なんか見せたら大変なことになる。殆ど、崇拝されちゃうわ。
ー いや、それ願ったり叶ったりじゃねーか。崇拝されちゃえよ。
ー そうだけど。ちょっと違うのよ。
ー そうなのか?
ー とにかく、こっちの絵師に頼んでみる。
ー ちょっと待て。神界の絵師って絵の神様じゃないよな?
ー 絵の神様よ。
ー やっぱりか、神様に絵を発注しちゃうのか。
ー いいのよ別に、信仰のためなんだし。
ー まぁ、神様がいいならいいが。
ー でも、気分屋さんだからすぐに描いてくれるかどうかは分からないわね。
ー そうなんだ。
ー とにかく、出来たら連絡するわよ。
ー うん、よろしく。
なんとかアリスの絵を頼むことが出来た。
これで、当面の俺の仕事は無くなったことになる。まぁ、仕事と言っても、あってないようなもんだしな。俺の都合でどうにでもなる。
あっ。そういや、高速移動手段どうしようか。まず、これをなんとかしよう。
空を飛べればいいんだが、魔力ではなくて神力の乗り物かぁ。飛行機は滑走路を用意できないし、普通に車でいいか。でも、道が舗装されてないから、ぶっ飛ばすわけにはいかない。
となると、やっぱり飛行艇みたいなものか?
しばらく考えていたが上手い案が思い浮かばないので、朝食を食べることにした。