第75話
「首尾はどう?」詩織が聞いた。お疲れのみなみを気遣いお茶を差し出す。
「ありがと」
自室のソファーに静まった体を起こし、コップを受け取る。詩織は隣に腰を下ろした。
「どうもこうもないよ。みなな手のひら返しで距離置いてくるんだもん。
話しかけても腫れ物に触るような対応だし」
みなみはお茶を含み喉仏を上下に揺らした。
「遠目でも見ると面白いけど、関わりたくないないんでしょうね。まぁ業界人なんてそんなもんか」
諦めの気配を示すような言い方だった。
「しかもさ変なやつに絡まれるし。最悪だよ」
「変なやつって」
みなみは今日会ったことをかいつまんで話した。
「なるほどね。あんたしょーもない男にモテるわね」
「嬉しくともなんともないよ。で、そっちはどうだったの」
詩織が女々しい男に絡まれてる間、詩織はスポンサーの方々に事情を説明して回ってもらった。
もしも腹を立てられでもしたら、降板の可能性も出てくるからだ。
「こっちは何事もなく終わったわ。芸能人はプライベートまで監視されて大変ですねって同情までされちゃったわよ」
「ふーん」みなみは鼻先を指でかいた。
「とりあえず降板の心配はないってことかぁ」抱いていた不安は杞憂に終わり、胸を撫で下ろした。
「現場の方はほとぼりが覚めるまでは大人しくしとくのが最善ね」
そう言ってみなみに視線を送る。彼女は鷹揚に頷いた。
撮影はまだ序盤の序盤、クランプアップのその日までなんとかやり過ごさないといけない。
気を引き締めて挑まねば。
話も終わりと、リラックスモードになり、ふとスマホを見た。
なにやら画面が騒がしい。
ホーム画面の通知の多さに思わずゲンナリした。
「うわぁ」
この感覚は何度か経験がある。ネットでバズったときだ。
動画をアップして反響があったときや炎上の類だ。
おそらく今回は後者になるだろう。
答え合わせをするように画面をまじまじとみた。そこには予想に反した答案があった。
「なにこれ。どうなってんの」みなみは思わず素っ頓狂な声をだした。
なにごとかと詩織も画面を覗き込む。




