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デーモンおじさんは無茶をしない  作者: 伊藤 金平
おじさんは静かに暮らしたい!
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おじさん、子どもに振り回される



バーンズ領都中央教会に出向いております。


先日、謝罪を受けたフランシス司祭の件をよくよく考えてみましたら、自分が依然として怪物の扱いである故の行き違いなのではないか、と思い至ったのです。



「教会に私の方から出向き、挨拶やボランティアなどをすれば、警戒が解けるのではないでしょうか?」

領主さまやゼーバッハさまに提案をいたしましたところ、まぁ好きにしてみよ、と返答いただきました。



高校生の時、内申点稼ぎにボランティア活動をしたのを思い出しました。


今回も、まぁ同じですね。

教会からの評価を上げて、敵対されないように努めるだけです。



ー ー ー



「し、司祭さま!デーモンが!デーモンが聖域に攻め入って参りました!」

「神の庭が!穢されます!」


阿鼻叫喚です。

冒険者ギルドのファーストコンタクトを思い出しました。



「シスターレミイ。シスターポーラ。落ち着きなさい」

奥からフランシス司祭が現れます。


「先日は失礼した。領主さまや騎士団長どのから話は聞いた。教会への奉仕活動の申し出、受け入れよう」


「!?司祭さま!『神敵』ですよ?正気ですか!?」

「領主さま共々司祭さまも精神干渉の毒に侵されてしまわれたのですか!?」


うーん。

この盲信者っぷり。


やはり情報媒体の少ない中世では、流布した噂に信憑性がついてしまうのでしょう。

真実かどうか、バイアスもエビデンスもなくそれを信じてしまう時代なのでしょう。



「フランシスさま。私は門前の掃除より従事いたします。シスターさんをどうぞ、お宥め下さい」



ー ー ー



「よく聞くのじゃ。シスターレミイ、シスターポーラ。ワシは精神干渉などされておらん。その上で、領主さまの考えに賛同することとした」

「だとしたら尚更司祭さまはおかしいです!」


「領主さまはこう考えておる。『バーンズ領以外の深淵の地下迷宮を取り囲む15の領地で、今年の成人の儀式に聖者が誕生した。我が領には聖者は生まれなかったが、浄化が効かず、その上で人間と敵対しないデーモンという弱点の無い強者があらわれた。このデーモンは我が領地への神がもたらした奇跡なのかもしれない』と」



「それって、バーンズ領が魔王の根城になったってことでは?」

「なるほど、シスターレミイは賢いわね」


「ばかたれ。レベル2のデーモンが魔王になりうるか。この世の理に反する者への対抗である、神が人類に与えたもうた魔術『浄化』。これが効かぬということは、あのデーモンは人類の味方になりうるのかもしれん。領主さまはそう申された。ワシもその可能性を考えておる」



「神の御技を跳ね返す程の邪悪さということはないでしょうか?であればやはり、あれは魔王」

「そういう考え方もあるのね、シスターレミイ」



「人間社会に溶け込むための方便かとも思うたが、なんぞかしっくりこんのじゃ。純粋に生きておるだけかもしれん。だが、仮に本性を隠しているだけかもしれんにしても、『浄化』の効かぬデーモンなどを敵には回せん。一方的な蹂躙になりかねんわい。それ故、この度ワシは謝罪し、あのデーモンに好きにさせることにした。良いな?決して敵対するでないぞ?魔王が本気になればこの街くらい簡単に滅ぶことくらい分かろう?」


「確かに」

「確かに」


「分かったら、デーモンのしている掃除の手伝いに行け」



ー ー ー



私、見られております、遠巻きに。


あれは併設する孤児院の子どもたちでしょう。


怖がっている子もいますが、大半は珍しい動物を見る目です。


まぁ、デーモンですし。仕方ないです。

こちらから声をかければ事案になりかねません。

とりあえずは気づかない振りです。



「おい。あれ、デーモンだろ。なんで教会にいるんだ?」

「司祭さまがやっつけて手下にしたんじゃないの?」

「司祭さま。若い時は冒険者でブイブイ言わせてたって言ってたの嘘だと思ってたけど、本当に強かったんだ」

「聖騎士さまくらい強かったのか、司祭さま」

「怒った時のゲンコツ、超痛かったの、そういうことか」

「なら大丈夫だろ、行こうぜ」



子どもたちの不安になる会話が聞こえてきました。近づいてきます。



「おい、デーモン!なんで掃除してんの?」

年長の男の子が話しかけてきました。


「私が良いデーモンだと知ってもらうためです」



「良いデーモンだって」

「あれだよ、悪い龍を勇者がやっつけたら、仲間になるあれ」

「拳で語り合うやつ?」

「司祭さまの肉体言語が悪魔に正義の心を植えつけた?」



どういう教育しているんでしょう、フランシス司祭は。いや、2人のシスターの方かもですね。



「デーモン!暇なら遊んであげるぞ!」

「むしろ、俺たちと遊ぶのも仕事だぞ」

「遊んでよ」


おお、子どもは無邪気ですね。


「では、遊びましょうか。何をしましょう?」

「デーモンはどんな遊び知ってるの?」

「えっと、『鬼ごっこ』とか」


「ごっこしなくても鬼じゃん」

「デーモンがわざわざオーガの振りするの?なんで?」

「弱い者の気持ちを知るための情操教育?」

「おままごとよりむしろ難しくない?」


本当に大丈夫なんでしょうか?ここの教育。


「いえ、追いかけっこですよ」

「なんだ」

「じゃあ、私たちみんなでデーモン捕まえるね」


1対12の鬼ごっこですか。ハンターに追いかけられる番組が頭をよぎります。


「よーし!デーモンを捕まえるぞ」

「デーモンを捕まえてボコボコにしたって冒険者のおっちゃんに自慢しよう」


やめて下さい、それは。



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