おじさん、ギルマスを悩ませる ②
ギルドマスターさんとの昇格試験はあっさり終わりました。
1発当てるだけで終わり、ですのですぐに終わってしまったのです。
ギルドマスターさんは、剣術、怪力、鉄壁のスキルをお持ちの方でした。
バランスの良い戦闘スキルと経験、機転で実力者らしい立ち回りを見せていただきました。
ただ、うーん。
「デーモン、ダンと戦ってどうだった?」
試験終了後、ゼーバッハさまが声をかけてこられました。
「ゼーバッハさまと同じ戦法だった、のでしょうか?似たような剣筋だったように思えました」
「うむ。そうだ。良く見ているな」
なんでも、ゼーバッハさまとギルドマスターさんは王都で同じ流派の剣術訓練を受けたそうです。
「デーモン、これが普通の人間の強さの極地なのだ。これ以上は死を覚悟しながら、身体と魂を鍛えあげるしかないのだ」
そう言うとゼーバッハさまは少し悲しそうな顔をされました。
しかし、ゼーバッハさまは最近では、私の2割くらいの力を引き出せるようになっています。このままいけば、強くなられるのではないかと思いますが。
理想の高いお方です。
ともかく私はこれで星1つ冒険者です。
護衛や討伐のクエストなどの割りの良いクエストを受けることが出来るようになります。
返済が捗りますよ。
■ □ ■ □ ■
「やっぱり化け物だな、デーモンは。で、負けた俺を笑いに来たのか?ゼーバッハ」
「いや、そんなつもりは毛頭ない。私とて毎日負け越しだ」
「毎日。そうか。俺の剣筋が読まれるわけだ。で話ってのはなんだ?あまり良い話じゃなさそうだが」
「ああ。良い話じゃあない。今は問題ないが、いつか訪れる可能性のある悪い話だ。聞くか?」
「おうよ」
「そうか。戦争が変わるか。個人の資質じゃどうにもならねぇ戦争に」
「強い武器を持つ、資本を持つ者が勝つ戦争に変わる。デーモンはそう言った」
「はっ!個人の資質の極みみたいな奴が語るか。説得力はどうしたよ」
「だが、領主さまは、お嬢さまは歩み始めていらっしゃる」
「時代が動くか」
「お前はどうするんだ、ダン」
「冒険者は自由がモットーだ。王が認めたんだぜ。この自由を。だから冒険者が各々で考えりゃあ良い。適応するも淘汰されるも、ソイツ次第だ。
だが俺はソイツらのトップだ。面倒をみてやる責任がある。
時代の流れが味方なら乗るし、敵なら戦う。王が許した自由業だ。自由であることは王命だ。冒険者から自由を奪うようなら叛逆だ。王命に逆らうんだからな。王命で子爵さまに刃を向けることにならないことを祈るぜ、ゼーバッハ」
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おおっ!
これが星1つの冒険者カード。一人前の証。
初めて任された仕事を成功した時のような高揚感です。
やはり、人間、何歳になっても承認欲求は尽きることはないですね。
クエスト掲示板をみて、星1つがどのようなクエストなのかは確認しておきましょう。
ふむふむ。
あれ?
あまり護衛依頼がないですね。
以前は商人さんの街の移動の護衛や、森や岩場での薬師さんや錬金術師さんの資料採取の護衛なんかがあったはずですが?
ああ、そう言えば、盗賊のリーダーが捕まったそうですね。
しばらくは盗賊が街道に現れにくくなっているのかもしれませんね。
マタンゴを先日追い払ったりもしましたし。
一時的な怪物の空白地帯と化しているのかもです。
うーん、間が悪い。
またしばらくしてから確認に来ましょう。
それまでは手紙運びや薬草採取で地道に稼いでいきましょう。
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