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第1話 氷の騎士とワンコ騎士

とうとう本編スタート!!

リリーシャ視点です。

「いやー、その時のリリー副団長はもうほんとかっこよすぎて、男の俺でも思わず惚れそうでした。実際惚れましたけどね」


「レイノルト、その話は今日で15回はしているぞ。いい加減手を動かせ。それと私の名はリリーではなく、リリーシャだ。愛称で呼ぶことなど許可はしていない」


今、私の目の前でいつもと同じ話を繰り返すこの騎士の名は、レイノルト=ノーマン。先月私の補佐、つまり部下に配属された騎士だ。飽きもせずに同じ話ばかりするその姿を見ていると、短い茶色の髪を手で掴みたくなってくる。


「嫌です。俺は副団長になんと言われようとも、リリーとお呼び続けるつもりですから……」


「はぁー、全くお前は……」


レイノルトは何故か私のことをいつも相性のリリーと呼ぶ。私のことを愛称で呼ぶ人など私の家族か、こいつだけだ。


毎日、毎日、いくら言っても愛称呼びは変わることはない。一体、私を愛称で呼んで何が面白いのか……。レイノルトは平民なので、異性を愛称で呼ぶ意味が分からないのかもしれない。それはそれでも非常にこまるのだが……


「もちろんリリー副団長も、俺のことをレイノルトじゃなくて、レイ、とそう呼んでくださいね」


「安心しろ、お前のことを愛称で呼ぶ日など一生来ない」


「一生なんて、……。それは分からないですよ!!」


上司である副団長にこう言われてもなお、レイノルトは蜂蜜色の瞳をキラキラさせながら、笑顔で会話する。


「なので、リリーシャ副団長、この俺と結婚……」


「断る」


「酷いです!!まだプロポーズを最後まで言えてなかったのに!!」


「言えてないも何も、いつもプロポーズして来るだろう。それに結果は毎度変わらん」


レイノルトの一番困ったところは、こんな手が豆だらけの女らしさの欠片もない私に、毎日プロポーズをしてくることだ。

最初にプロポーズされた時は、何かのドッキリかもしくは先輩騎士たちの指示か疑ったものだが、今となってはこのやり取りが日常となりつつある。


「お前は本当に女の趣味が悪いな」


貴族の令嬢らしくドレスも着ずに、剣を振り続けるこの私を選ぶなど目が腐っているとしか思えない。


「むしろ、その逆だと俺は思いますけどね」


フッ


「好きにしろ」


きっとレイノルトは明日も同じように私にプロポーズして来るのだろう。でも、それは彼が私の本当の姿を知らないからだ……。きっと知ったらレイノルトもあの人と同じように、私への興味など一瞬で失うのだろう。


ボソッ

「だから、部下にするのは嫌だったんだ……」


「リリー副団長、何か仰りましたか?」


レイノルトは今も美しい蜂蜜色の瞳で私を心配そうに見つめる。


(その瞳に少しでも偽りが見えたら良かったのに……)


「いや、何でもない。ぼさっとしてないで、演習場に行くぞ」


まだまだ始まったばかり!!

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