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一旦の平穏……なのか?

「……」


 孤児院に帰ってきた晩、女神様が夢の中に現れた。

 ……そして、めっっちゃ不機嫌そうな顔をしていた。


「……あの、また気に障るような事しました?」

「また女を連れて帰ってきたな……」

「ロボ相手でも!?」


 意外な事に、いや、正直言うと予想できなくはなかったが、女神様はシックスを連れてきたのがご不満らしい。

 種族とか関係なく、女の子を俺が連れてくる事が我慢ならないようだ。


「そもそもお前、あいつの事エロい目で見てただろ」

「なっ、何を言うんですか! 見てませんよ! ……途中からしか!」

「見てるんじゃねえかこの変態がよ!! デカい胸なら金属でもいいってか!!」

「そこは割と…………良かったです!!」


 否定したかったが、実際あの時は俺自身でもびっくりするくらいの興奮が後追いでやってきたのだ。だから素直な感想を叫びかえした。


「……そっか。ま、自分を偽らずにいるのは褒めてやる。命拾いしたな」


 すると、なぜか女神様は口角を上げ、俺の事を称賛してくれた。

 怒られるかな、と思いつつ言ったのでどうしてこんな対応をしてもらえるのか俺には不思議だ。


「え、怒らないんですか? 女神様以外の事そういう目で見てるんですけど」

「まー気に入らねえが、素直なのはいい事だぜ。俺のとこには嘘ばっか吐くヤツがいてな、あれと比べたら欲望を偽らねえのは褒められたもんだ」


 へえ、女神様の近くにはそんな人がいるのか。いや、神の近くにいるなら人じゃなくてそっちも神なのかな?


「その方とは仲良いんですか?」

「死ぬほど嫌いだな。はっきり言って喰えたもんじゃねえ」

「そんな嫌いなんですか……。じゃあ、女神様には何でも正直に言った方がいいって事ですかね」

「まあな。言いてえ事ははっきり言われた方が俺も好きだな」

「じゃあ、女神様のおっぱい触ってもいいですか? 前からずっと興味があって……」

「いいぜ。明日お前の所に銀の災厄が来てもいいならな」

「死にたくないから遠慮しときます……」

「おう、素直でよろしい」


 はっきり言った方が好きとの事で、思い切って正直な気持ちを女神様にぶつけてみたが、しっかりと拒絶されてしまった。

 くそ、期待させるだけさせといて結局駄目なのかよ。

 ……でも気にはなるんだよな。

 いや、駄目だ。とてもただの脅しとは思えないし、胸を触った代償が死では釣り合いが……、いや、取れてるかも?


「ま、まあこの話はここまでとして! 次の指示はなんですか?」


 このままでは気の迷いで手を伸ばしてしまいそうだと判断して、俺は速く本題に入ってもらおうと考えた。

 彼女が現れたという事は、きっとまたシスターに危険が迫っているという事であるはずだ。それについて考えて、一旦女神様の胸の事は忘れる事にする。


「あー、今日もまあこの前と同じだ。キメラの件を片付けた事労いに来たついでに、新しい女連れて来た事に嫌味言いに来ただけだ」

「ついでの用件しか果たされてない気がするんですが」

「ついでに、キメラ討伐、よくやったなザック」

「おい完全にそっちがついでになってるじゃねえか!!!」


 声は荒らげたが流石に手まではもう出さない。いい加減殺される気がするし。


「悪かったよ。……そいつはともかく、これでしばらくはシスターも安全になったからな。お前もゆっくりしとけ」

「……え? もう大丈夫、って事ですか?」


 シスターが安全になったと聞き、思わず俺は聞き返した。

 ゴールド級、プラチナ級、ダイヤモンド級、そして先日のオリジナルランクと次々に襲いくる危険。ようやくシスターの身に振りかかるそれらの災難が完全に消えたのだろうか。


「絶対安全って話じゃないけどな。2、3週間は何も襲ってこねえってのが俺には視えてるから、それまではザックものんびりできるってだけだ」

「半月持つかどうかじゃないですか……。どうしてシスターにそんな災難ばっかり襲われて……っていうか女神様の全知ってその範囲までしか視えないんです?」

「へっ、俺にだって全部が視えるわけじゃねえからな」

「それは……いえ、何でもないです」


 それはまったく全知全能ではないのでは? と言いかけてやめた。不用意に力を疑うような発言をしたらまた銀の災厄が飛んできそうだし。


「んじゃ、次会う時まで好きに過ごしてろ。……俺に会えないからって、他の女に手ぇ出すなよ?」

「だ、出しませんよ!」

「どうだかなあ。まあどうしてもって時は俺を呼べ。好きなだけ見てていいからな」

「それで何が解決できるんですか……」


 触れる事すら許されないのに呼んでどうしろというのか。

 まあ、それはともかくとしてしばらくは戦う必要もなくなるらしい。なら明日からどうしようか。

 今後の事を考えながら、俺は夢の中から現実へと戻っていくのだった。

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