次なる聖剣を探して
聖剣遺跡を守る上位聖剣、「祝福の8聖剣」の1つ、死聖剣ドネを破壊した俺。
最後っ屁で死の霧に迫られたリィンたちの無事を確かめた俺は、そのまま1階に上がれる階段付近まで戻ると、反対側の道へと進んでいた。
「やー、さっきはひやひやしたぜ。すげえ勢いで黒いもやもやがあたしらの方に伸びてきやがったからよ」
全力で退避していたリィンたちも霧の噴出が止まって逃げ切る事ができたと分かると、それぞれが安堵の息を吐いている。
「死ぬかとおもった」
『ね。私はだいじょぶだったかもしれないけど、カーナもいるから怖かったよー!』
「申し訳ありません……。お手数をおかけして……」
『あ、ううんいいの。結果的にあの霧全然消えないし、私が残ってたら霧が晴れるまでずっと動けなくなってたかもしれないし』
シックスが言うように、死聖剣ドネの放った黒い霧は今も遺跡の通路を覆ったまま晴れる気配がない。
一応拡散はもう止まっているようだが、あそこに取り残されていたらしばらくは何もできなかっただろうな。
「あー、それで言うとビスクはどうなったんだろうな。ザックと戦う時に死聖剣の部屋の前に日記を置いてったろ?」
うん、復活用に日記をビスクは置いてたな。
間違いなく死の力が広まっている場所のど真ん中にあるので、そこで生き返ろうとすればそのまま即座に死ぬ事だろう。
もしもあそこ以外に復活できる場所がなかったら、霧が消えるまでは行動不能になっていたところだが……。
「そこは……まあ心配しなくてもいいかな。多分1階で復活してるよ」
ビスクはどこで復活するか選べたはずだ。あの場所以外を選択すれば問題なく脱出できただろうし、むしろもう俺たちよりも先に行ってるかもな。
リィンたちも全速力でここまで来たんだろうが、死んでワープできるならそっちの方が早いだろうし。
「そういやそっか。ならずっと死んでは生き返って、を繰り返してないかは心配しなくていいか」
『まぁ、となると今度は先にヘンな聖剣を起動させてねぇかが心配になってくるんだけどなぁ』
「……う、それは確かに」
リィンの言葉にジルが余計なことを言うもんだから、俺の顔は歪む。
どうもビスクは自分の聖剣を手に入れる事に躍起になってる感じだったからな、強そうな聖剣があれば積極的にその手を伸ばし、罠に引っ掛かっていたりしそうだ。
ただ……見境がないわけでもなさそうなのは救いか。勇者って名乗るだけあって強力な力を持つ聖剣以外にしか興味無さそうなんだよな、あいつ。
上位聖剣の1本だけあって死聖剣ドネには執着していたようだが、ビスクが求めているのはそれくらいの力のある聖剣だけなのかもな。
「……じゃあまたあんな厄介や上位聖剣をビスクが起動させてる可能性があるのか!?」
そうして、俺は最悪の可能性に辿り着いてしまう。
強力な聖剣以外は無視してくれるならありがたいが、その強力な聖剣の力は、いきなり「死」なんていう物騒なものだった。
この階層にはもう1つ上位聖剣が存在する。それがビスクの手に渡り、ドネの時のように襲い掛かってきたらどうなるか、考えただけで恐ろしい。
「あんまりのんびりもしてられないな、リィン! みんな! 急いで上位聖剣を探しに行こう!」
現状は敵対している……というわけではないのだが、それでも放っておいたら俺たちが迷惑を被るのが間違いない。
無事に死聖剣の魔の手から逃れられたばかりではあるんだけど、できれば向こうよりも先に上位聖剣を発見して、先に破壊してしまいたい所だ。
俺は4人に声をかけ、先程の反対側、階段から見て右側の通路の方へと走っていくのだった。




