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異世界恋愛 ──十六王国物語──

蛍姫は、雨と墜ちる

作者:三條 凛花
第一王女リュシィは、図書室の隅で震えていた。

婚約破棄をされて失意の中、次は謀反が起きた。城のあちこちで火の手が上がる中、侍女のシガーラが自ら囮となり、追手の目を逸らしてくれていた。大勢の足音が迫ってきている。

リュシィは自分の名を呼ぶ声に気がつく。秘密の書庫の大きな鏡から確かに聞こえた。

ついに扉が破られるというそのとき、鏡にもたれかかったリュシィは、そのまま鏡の中へと落ちて行った。それはまるで、城の窓から落ちたかのような光景だった。

目を覚ましたとき、リュシィは小さな屋敷で丁寧に世話をされていた。

目の前には、かつて親しくしていた少女にそっくりな美丈夫がおり、彼はなぜだか感激している。

そこは、千年後の世界であった。
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