0) 父からのメール
6月23日 AM00:48受信
From:廣瀬 和也
件名:愛しい我が息子・娘へ!!
本文:
昌、佳代子へ
家を離れて三ヶ月経つが元気にやっているか?
高校生になって暫く経ったけど、新しい環境には慣れたかい?
先生や友達とも上手くやれているかい?
昌も佳代子も人見知りな所があるから少し心配だよ
(親馬鹿かな?親馬鹿で結構!!)
私は相変わらずだよ。
今も書類の山と化した会社のPCからメールを打っている
日付が変わってもまだ仕事の終りが見えない
仕事が忙しくて中々連絡が取れなくてごめんな
(まぁ、この不況なら仕事はあった方が良いんだろうが)
彼女も相変わらずだよ
今もまだ家事が苦手なままだ
毎日毎日、台所で食材と格闘しているよ
少しずつ進歩はしているんだけどね…まだまだ…
それでも「二人に美味しいって言って貰うんだ」って毎日頑張ってる
(まぁ、昨日も鍋を焦がしたんだが…私が言った事は内緒にしてくれ)
以前にも言ったけど私と彼女の事を気遣ってくれるのは嬉しい
嬉しいし感謝しているが、同時に申し訳ない気持で一杯だよ
実の息子と娘に気を遣わせるなんて父親失格だね
家を出て三ヶ月になるが、もっと離れている様な気がするよ
今思えば辛い時や苦しい時は笑って誤魔化す癖があったね
家を出るって言われた日も二人はニコニコ笑っていたけど
本当は苦しかったのかい?辛かったのかい?
そう考えると情けなくなって来るよ…気付けなくてごめんな
母さんが亡くなった時もあんな風に笑っていたのにな…
母さんが亡くなって五年が経ち
彼女を私の妻にしてから半年が経つ
二人が家を出たのも、やっぱり彼女が原因なんだろう?
(自分の家に他人が入って来るのは辛かった、よな…)
別に彼女の事を「新しい母さん」と思って欲しい訳じゃない
ただ、家族の一員として皆一緒に暮らしたいんだ
そろそろ、戻って来ても良いんじゃないか?
(勿論、無理強いするつもりは無いからな!!)
私も彼女も二人が帰って来る日を待っているよ
それが来年であっても再来年であっても、ずっと待ってる
どんなに離れていたって、私の大事な家族だからね
昌も佳代子も体には気を付けて
(ってこの時間にメール打ってる俺が言ってもね…)
二人とも、愛しているよ!!
2009年6月22日 廣瀬 和也




