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94話 先生特訓組

『邪魔くせェ!!』


 クヴェルが吠えると、その腕を全力で振り回す。

 彼の体には、先刻からカラフル色の蛇が振り払っても消し去ってもまとわりついている。


 それを行っているのは、蒼黄 翠。インクを無数に混ぜてもはや何色か分からないパレットから色を掬っては、地面に蛇を描いてそれを具現化させていく。


「『虹蛇こだ』ーーって感じ?」

『だァァ!!くそがァァ!!』


 クヴェルが未だに虹蛇と格闘していると、その背後から小柄な愛莉が探検を横薙ぎに繰り出す。


『ーーっ!』


 しかし、翼を広げたクヴェルが空中に飛翔したせいで、愛莉は前につんのめる。


「ンにやぁ!?避けるにゃあ!!」

『避けるだロ!!』


 クヴェルからツッコミという名の、かかと落としが見舞われるも、愛莉は持ち前のすばしっこさで回避すると、花恋と結夢の隣に退避する。


「愛莉ちゃん。やっぱりここはボクたち三人で協力しないとだね」

「そうだにゃ!うちら『シスターズ』の出番にゃ!」

「……………………?」


 結夢がよく分からなそうに首を傾げるが、ほか二人がおぉー!と拳を突き上げる。

 それを合図に、まず愛莉が走り出した。


「ぅぅ……ニャ!!」


 渾身の刺突。

 それをクヴェルが半身になって回避する。

 そして、流れるように片足を軸に回転蹴りを食らわせる。


「《結封》!!」


 腹部に蹴りが刺さる手前で彼女のスキルによって生成された半透明な結界がそれを防ぐ。


 愛莉はその結界を飛び越えると、クヴェルの背後にも同じように結界を展開し逃げ道を絶ち、上段から斬撃を見舞う。


『……ンの、ガキがぁ!!』


 瞬間、クヴェルの腹部が盛り上がったと思うと、そこから九本目の腕が伸び、愛莉の腹部に突き刺さる。


「ーーガッ!!」


 衝撃で後方に飛ばされた愛莉。

 それを追尾するクヴェルは愛莉と平行移動している最中に二本の腕を胸の前で合わせた。

 そして、それをゆっくりと開くと、間に一つの黒い玉が生成される。


『食らえーー』

「ーー『スキルジャミング』」

『クッ……またか!…………ぁ?』


 クヴェルのスキルが花恋の《標的》によりまたも無効化される。

 さらに、視線が花恋の方に滑らされーー必然、その姿を視認した。


「……………………………………《錯乱》」


 クヴェルと結夢の視線が交錯するーーと、クヴェルが自覚したその時には、クヴェルの意識は何も無い真っ白な空間に移されていた。


 しかし、それも一瞬。

 右肩に走った激痛によって意識が回復する。

 クヴェルがその痛みを確認すると、腕が三本ほど無くなっていた。


『……小癪ナ。ーーフンっ!!』


 クヴェルが右肩に力を込めた。

 そして、そこから三本の腕が生えてきてーー右半身を破裂させた。


『……ナニ?』


 これには流石のクヴェルも驚いたようで、慌てて自分の体を確認する。

 そして、その体の惨状を見て、同時に、断面に生えた植物も視認した。


「……『惨々花の種』……です」


 メガネを定位置に戻す仕草をした雫玖が言う。手には赤い植物の種が握られている。


 クヴェルが歯ぎしりをするが、そんな暇は戦闘中には許されない。


 彼の足元に大きな影がふたつ差した。


「うぉぉぉぉ!!『落し鐘』!!」


 拳を合わせた状態でそれをハンマー宜しく振り下ろす獅雄。

 その隣には同じ技を同じ体躯から放つ、彼の影がいる。


 二人の拳は見事クヴェルの肩に命中し、それを歪な形へ変形させる。


『う、ガァォォ!!』

「……『石のように固まれ』」

『……!?!?』


 獣のような咆哮を放ったクヴェルはしかし、その直後に体が石のように硬直した。

 そうーーその言霊の通りに。


 クヴェルの視界の先には、マスクを外した禊が立っていた。

 それを睨みつけるクヴェル。

 だが、その腹部に強烈な一打が加えられた。その衝撃はちょうどその下にある彼の核へと響いて、少なくない吐血を、この時初めて吹き出した。


「『隙打』!!」


 天斗の声と、クヴェルが後方へ吹き飛ぶのは同時だった。


 クヴェルが地面と平行移動していると、その先に回り込んだ少年が一言呟いた。


「これでチェックだ」


 颯は疾走すると、その勢いを全て足に収束させて、クヴェルを宙に蹴りあげる。


『うがァーー!!』


 クヴェルの体が跳ね上がる。

 そうして最高到達点に達すると、いつの間にそこにいたのか、羽を背中に生やした木菟が、鳥類のような脚でクヴェルを叩き付けた。


「はァァァ!!」


 クヴェルの体がとてつもない速さで地上へと落ちていく。

 その落下地点にいたのは、二人の少年少女だ。


 日奏と朝日は同時に片足を上げると、もう片足を軸にその場で一回転。

 その回転の威力を最大限利用した回し蹴りをクヴェルの腹部へと食らわせた。



「「チェックーーメイト!!」」




本作をお読みいただきありがとうございます。


「面白い!」


「続きが気になる!!」


「頑張れ!!!」



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