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36話 モールダンジョン攻略②

 ダンジョン内は学校の地下ダンジョンと同じく蛍光石によって照らされている。

 しかし、その内装は全く異なる。ゴツゴツとした岩肌が剥き出しの学園地下迷宮とは違い、モールダンジョンは加工された石レンガ造りの廊下が奥まで続く構造になっている。蛍光石も学園地下迷宮は壁に無造作に埋まっていたのに対し、モールダンジョンは天井に吊るされる形で配置されている。


 何故壁から取った瞬間に光を失う蛍光石が加工され、天井に吊るされているのか。それは、ダンジョンに数ある謎の一つである。


 ダンジョンに入った翔達は足音を出来る限りかき消し、進む。

 直線の廊下に終わりが見え始め、廊下が左右に枝分かれする。


「どっちに行く?」

「んー。右手法に従って右でいいんじゃね?」

「えー、左の方が何か良くない?」


 紅蓮と朝日で意見が割れた所で氷華が唇に指を添え鋭く息を吐くと、耳に手を当て音に集中する。


「……音がする」

「ん?……確かに右から音がするな……これは、足音?」


 どどどど、と複数の足が地を踏みしめる音が廊下の奥から響いてくる。


「じゃ、じゃあ、左に逃げるべきだな!」


 紅蓮が左の廊下に足を向けると、そのまま走り出そうとする。

 そこに翔が待ったをかける。


「いや、右に行くべきだ」

「なんでだよ!お前だってさっき無駄な接敵は避けるべきだって言ってたろ!」

「確かにそれは大事だが、モンスターが走ってくるということはその方向に下層へ繋がる道があるはずだろ」

「あ……だがーー」


 翔の言う通りである。

 一層のモンスターが全部地上に出たのであれば、い今向かってきているモンスターは二層から来たものと考えられる。

 つまり、その方向に階段ないしはそれに類するものがあると考えるのが妥当だろう。

 しかし、理屈は理屈。それを容易に受け入れられないのも事実なのである。

 幾らその方向に下層へ続く道があったとして、そこへたどり着くまでにどれほどのモンスターと遭遇することか。考えるまでもなく、それ想像を絶する数と言える。


 紅蓮の思考を呼んだかのように翔は告げる。


「問題ない。俺と氷華は一体一の戦闘より、複数を一度に相手取る戦闘の方が得意だ」

「うん」

「俺たちが先頭を歩く。お前達は、討ち漏らしをやってくれ」

「……わかったよ。今ここにいる中で一番冷静な判断が出来るのは多分お前だ。リーダーは任せるよ」


 紅蓮は翔の指示に従う。

 リーダーとは、パーティーにおける司令塔のことである。

 パーティーの実力はリーダーを見ればわかると言われるほどには大事な役割である。


 翔は一つ頷くと、右の廊下を歩き始めた。


 暫くすると地響きは大きくなり、ついには、モンスターの影が廊下の奥を満たし始める。


「ほんとに来やがった!」

「最低限で行くぞ!《雷電》」

「わかった《氷凍》」


 翔が一番初めに雷の壁をモンスターとの間に作り出す。

 勢いを殺しきれなかったモンスターが丸焦げになって死体と変わる。

 次に、止まったモンスターの密集する地帯に氷華が作り出す氷山が地面から突き出る。

 モンスターは避けることが出来ず、串刺しになり、薄水色の氷を赤黒く染める。


 先制攻撃は成功し、それにより、モンスターの数は半分ほど減る。

 それでも、五十はいるモンスターが雷の壁が消えた途端に押し寄せる。


「任せて!来栖流・攻めの型!四陣『天狗風』」


 朝日が拳を前に突き出すと、空気の圧がモンスターを吹き飛ばす。

 続いて、紅蓮が混乱中のモンスターを一体、また一体と斬り捨てる。


「うおりゃぁぁ!!」


 全員の一斉攻撃によって、モンスターの群れの間に一筋の道が生まれる。


「今だ!走れ!」


 翔の掛け声とともに空いた道を全力で駆け抜ける。


 横から来るモンスター達の攻撃をそれぞれが受け流す。

 氷華が氷の壁を作り出し、モンスターの攻撃が翔達に届かなくなり、一気にモンスターの群れを抜けることが出来た。


「ふぅ、何とか逃げ切ったな」


 最後の一体を振り切った所で紅蓮が地面に座り込む。


「まだ、一層だ。気は抜けない」

「そうだけどよー。あんな群れと何回もやり合ってたんじゃ、ボスまで持たねぇだろ」

「そうだな。次からは一点突破で行くか」


 モンスター集団への対策を考えた所で翔達は下層への道を探す為に歩き出す。


 ダンジョンを探索する上で最も難しいのが下層へ続く道を探すことである。

 ダンジョン毎にその場所は異なり、探すだけでも骨が折れる。

 通常、先達が作った地図などを見て攻略に励むのであるが、今は異常事態、そんな物は持っているはずもなく一から道を探さなければならないのである。


 翔達はマッピング用の紙に道を記録しながら進んでいく。

 暫くして、前方、左、右、と三方向に道が分かれる。

 本来ならば迷うところであるが、幸い二層から上がってきたモンスター達の足跡が下層への道標となる。


 足跡を辿ること十数分。翔達はとうとう下層へと続く階段を発見する。

 もし、普通に探索を進めていたら、軽く一時間は超えていただろう。


 翔達は今だけ魔物に感謝をすると、躊躇わずに下層へ続く階段を下るのだった。

本作をお読みいただきありがとうございます。


「面白い!」


「続きが気になる!!」


「頑張れ!!!」



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