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143話 第二の刺客


 瓦礫の山を縫うように四つの人影が移動する。

 先頭を走るのは鼻先だけを狐化しためめ。その後ろに那月、日奏、颯と続く。

 めめが鼻をぴくりと動かし、心配そうに後ろを振り返る。


「木菟さん、たったひとりで大丈夫でしょうか?」

「大丈夫だろ。アイツはあんな卑怯な猿野郎に負けるほど弱くねぇ」

「そうですね」


 那月がまっすぐ前を向いてそう言った。

 木菟を心の底から信頼していることが伝わってくる態度にめめは小さく頷いた。

 二人の掛け合いを横目に眺めた颯が僅かに眉を顰める。


「しかし、そうは言っても敵もなかなかの手練だ。シャインとやらもプレイヤーで言うところの中級レベルの強さをしていた。もしこの先で待ち受ける敵全員がそのレベル、あるいはそれ以上なら木菟だけでなく俺たちの身も危なくなる」

「そうだね。ここからはより慎重に進んでいこう」


 日奏が言うと、全員が頷くと共に周囲への警戒を更に意識する。

 ふと、先頭を走っていためめが足を止めた。

 彼女のお尻を追いかけるように走っていた那月達は慌ててその場に立ち止まる。

 那月が周囲をじっと観察する。


「敵か?」

「いえ、あの……分かりません」

「分からない?」

「はい。今、一瞬人の匂いを嗅いだのですがその出どころを掴む前に匂いが消えてしまったのです」


 めめがスンスンと辺りを嗅いで首を傾げる。

 どうやら相当近くで匂いがしたのに、敵の居場所が分からないようだ。


「気のせいじゃないのか?」

「いえ、そんなはずは──」


 那月があっけらかんと言うと、めめは自分の鼻を信じて首を横に振る。

 そんなはずは無いと、彼女がそう断言しようとしたその時、再び彼女の鼻が香水独特の甘い香りを嗅ぎ分けた。

 それも那月のすぐ後ろから。


「──那月さん、避けて!!」

「ッ!?」


 めめが曖昧な指示を出すと、那月は直感的に危険な部分を守るために頭を抱えて地面にしゃがみ込んだ。

 直後、彼の頭上を風圧が掠めていき、隣に生えてきた太い木の幹を豆腐のように抉りとった。

 幹を半分ほど抉られた木は自重に耐えかね那月目掛けて倒れ込む。

 彼はしゃがんだ状態で前へ転がると、それを回避した。

 立ち上がり、めめの隣に並び立つ。


「すまん委員長。助かった。声掛けてくれなかったら木の代わりに俺の首が飛ぶところだった」

「いえ、謝るのは私の方です。索敵係でありながら敵があの距離まで近づくまで気づきませんでした」

「んじゃお互い様だな!」

「那月さんがそれでいいなら……」

「二人ともイチャイチャしてないで気を引きしめて! もう会敵してるんだよ!」


 那月とめめがにこやかに笑いあっていると、日奏が叱咤の声が飛来する。

 それを受けて那月とめめが慌てて戦闘態勢をとった。

 同時に倒木により発生した土煙が晴れ、倒れた木の上に人影が浮かび上がる。

 一回り大きなジャージに身を包み、アシンメトリな髪型で片目を覆い隠した小柄な少女がそこにいた。


「お前が第二の刺客とやらか?」

「……う、うちの名前は『ルフレ』。ライト様よりあなた達の足止めをするよう言われているよ……」


 那月が敵意を込めて睨みつけると、ルフレと名乗った少女はびくりと肩を跳ねあげて、震える声でそう告げた。

 どこか結夢に似た雰囲気を持つ彼女に全員のやる気が削がれそうになるが、那月達は侮ることなく敵に注意を向け続ける。


「あ、あわわ。あ、あの……もしこのままライト様を追うというのなら、うちと戦ってもらうよ……」


 人の視線に慣れていないのかびくびくしながらそういうルフレ。

 彼女の言葉に対し、那月達は互いに顔を見合わせると同時に頷く。

 そして、予め次の刺客が出たら戦うと決めていた颯が一歩前へと躍り出た。

 ひとりだけ意気揚々と出てきた颯を見て、ルフレが目を丸くして首を傾げる。


「えと……ひとり?」

「あんたの相手くらい俺ひとりで十分だ。全員で戦ってもいいけどそれじゃあ翔に間に合わないからな。てなわけであとは頼んだぞみんな!」


 颯が後ろを振り返らずに言うと、既に那月達は翔の匂いが続く方へ走っていた。

 那月が振り返って颯を見る。


「油断するなよ」

「…………」


 那月の忠告を受け、颯は片手を軽くあげる。

 そして目の前の敵を睨むと、


「──《加速》」


 早速スキルを発動させた。

本作をお読みいただきありがとうございます。


「面白い!」


「続きが気になる!!」


「頑張れ!!!」



と思って頂けたら


下記の☆☆☆☆☆から評価をよろしくお願いします。


面白かったら★★★★★、まぁまぁじゃね?と思われた方は★☆☆☆☆。




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