106話 第二種目ルール説明
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『んじゃまぁ、ルール説明と行こうか。ヘイ、ティーチャー。あれ配ってくれ、アレ』
羽攘先生が投げやりにそう言うと、彼らの背後から体育祭の雑用をさせられている先生方がなにやらダンボールのような物を抱えてやってきた。
「なんか私いっつも雑用してません!?」
その中には椚の姿もあり、那月は見て見ぬふりをした。
『へい、そこの司書。黙って働け』
「後輩だからってこき使いやがって……。こりゃどっかのダンジョンで魔導書拾ってこさせないと、私の気がすまないわ……」
などなど、物騒な事を言っている彼女はさておいて、羽攘先生は説明を始めた。
椚も渋々とダンボールの中身を配り始めた。
『今配ってもらってんのは、腕時計型の端末だ。これからそいつに各自が第一種目で得たポイントを送る。第二種目はそれを奪い合うゲームだ』
那月は椚に渡されたーーその際睨まれたが、気付かぬフリを徹底したーー腕時計をしげしげと眺める。
丸い画面が青く光ると、そこに『3』の文字が表示された。
『ポイントの奪取はその端末を介して行われる。くれぐれも落とすなよ。んじゃ、使い方だけど、それは簡単だ。画面が外側に向くように手首にはめると、それを裏返した時にQRコードがあるのが分かるか?』
羽攘先生に言われた通り見てみると、確かにQRコードがあった。
『そいつを表の画面に三十秒押し当てると、相手のポイントの全てを貰えるぜ。三十秒なんてどんなに相手が油断してても逃げられる時間だ。つまり、相手を戦闘不能状態にしなけりゃポイントが得られないのは理解してもらえるだろ?』
コクコクと全員の理解を得られた羽攘先生が続ける。
『ちなみにポイントがゼロになっても時間内であればリトライはありだ。制限時間は一時間半だから、誰にでも優勝のチャンスはあるわけだな!!そんじゃ、健闘を祈るぜ!!……おい、椚!あとはお前に任せたぞ!!』
羽攘先生は椚に丸投げすると、画面から消えた。
全員の視線が椚に集まる。
「え、え!?聞いてないんですけど!ちょっと、羽攘先輩!?先輩!!」
羽攘先生が消えた壁を拳で叩く椚。そんな彼女は視線が集まっていることに気づくと、コホンと咳払いをひとつ。
「え〜、では、会場に案内するから、しっかりついてきてね」
椚が先頭を歩き、そして、大型演習場<A>に到着した。
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「あれ? A会場って俺が試験したところじゃん。また街でやんの?」
目的の場所を前にして那月が首を傾げる。
それに対して椚が首を横に振る。
「ここは前に試験で使った所は別よ。前のは演習場だけど、こっちは『大型演習場』よ。まぁ、演習場のいくつかを壊して作ったから、場所的には同じなんだけどね」
それを聞いて那月はもう一度前を見る。確かに以前見た時より扉が新しくなっている気がしないでもない。
だが、那月達が入学してからそれほど日が経っていないのにあの会場より更に大きいものを作ったとなると、果たしてどれだけの費用がかかったのか。
那月は考えるだけで恐ろしくなった。数億、数兆。はたまたそれ以上…………。
弾二四高校は国が力を入れて運営している高校であるから、あるいはそれも有り得る話なのかもしれない。
「はい、皆ちゅーもく!」
那月があまりに規模の大きな話に放心していると、椚が手を叩いて注目を誘う。
全員の視線が集まってから彼女は話し始めた。
「先輩……羽攘先生から説明があった通り、これは相手のポイントを奪い合う競技です。ルールは先程聞いたからわかると思いますが、いくつか補足があります」
椚はそう言って指を一本立てる。
「まず、この次の競技には、ここにいる人の四分の一、つまりは十人のみが参加できます。そして、その十人を選ぶのがこの競技。得点が高い人から十人が次の競技に出られますので頑張ってください」
全員が新たに示された情報に驚く。これはさっきのように協力して競技を突破することをさせない為のルール。
つまりは個人の実力で戦い抜かねばならないということだ。
那月も突如場に落ちた緊張感に生唾を飲む。
生徒たちの緊張を肌で感じた椚は次いで二本目の指を立てる。
「これが一番重要なルールなので絶対に忘れないでくださいね。……皆さんは既に人を殺せるだけの実力を持っています。ですが、今回の競技はあくまでお祭りの延長。当然殺人は禁止です」
椚が声のトーンを低くして話を続ける。
「しかし、万が一が起こるのがこの世界の常。……なので、皆さんの腕についている機械には装着者の戦闘の不可を判別する機能がついています。もし装備者が戦闘不能になった時、この機械から警告音が鳴ります。そして、その警告音を無視して攻撃を続けると、攻撃している側の機械から電流が流れ、気絶させる仕組みになっています。……もしそういう、故意に人を殺めようとする行為が見られれば、今回の趣旨に反するとし、競技参加資格の剥奪、下手をすれば退学の処分が下ることをお忘れなく」
椚が二本の指を揃えると、それで首筋を横に撫でる。
それだけで生徒たちの身にこのルールだけは破るまい、と誓わせるだけの凄みがあった。
全員の顔にそれを感じ、椚がふっと息を吐いて笑みをつくる。
「まぁ、そんなことをする人はいないと信じていますので心配していません。……ということで補足のルール説明は以上です。この後は先程順位の高かった人から順に一分おきに中に入っていただきます。なので実際の競技開始は五十分後。それでは、一番の人からーーーー」
椚のルール説明が無事終わり、いよいよ競技が開始されようとしていた。
一番で第一種目を突破した颯が呼ばれ、扉が開く。
那月からは中がよく見えないが、天斗の顔が一瞬強ばる。
だが、直ぐに彼は走り出し、大型演習場の中へと入っていった。
こうして、第二種目がスタートした。
ーーだれもこの裏で一つの悪が蠢いているとは知らずに……………………。
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