表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

105/145

104話 第一種目終了

 三人の中で一番最初に頭を出したのは那月だ。

 一人先んじて草むらに飛び込むと、そのまま大胆に一歩を踏み込んだ。

 しかしーー


「どぅぉわあ!!!」


 地面が爆発した。

 宙に吹き飛ばされた那月は背中から地面に着地しーーまた爆発。

 それをもう二回ほど続けたのち、那月は草むらから放り出された。


「いっつつ……。くっそ!もっかい!!」


 那月は再び草むら向かって走り、今度はジャンプする前にボムボックリを踏んでしまい、前に向かって飛んでいく。

 そして、着地先でまた踏み抜いて、リターン。


「何回やんだこれ!!」


 痛みこそないが、これは相当のストレスが溜まる。我慢という言葉が嫌いな那月にとって、それは辛いものだった。

 怒る頭で周囲を見渡す。ライバル達の様子確認だ。


「《雷電》、《雷電》、《雷電》…………」


 翔の方は前に放電し、ボムボックリを虱潰しに爆破させる。

 それで安全を確保し、進んでいるようだ。

 春馬の方はーー


「よっ、はっ、ほいさ……んーしょ…………」


 こちらはよく分からなかった。

 とても奇妙な動きをしているのだ。重心操作がとても上手いと考えればその動きにも納得いくが、しかしそれはあまりに人間離れした芸当だ。


 踊るように進む春馬を見て、那月は参考にならずと、ため息をつく。

 翔の方を参考にすることにして、再チャレンジ。


「えーと、《:重力》…………え?」


 那月がスキルを発動させた瞬間、何かが那月の頬を掠めた。

 那月の頬に赤い線が描かれる。


「な、なんじゃこりゃ!?」

「そいつは『トビドングリ』だね」

「日奏!」

「やっほー、那月。大変みたいだね」


 那月の後ろから現れたのは日奏だ。

 彼はニコニコと笑うと、那月の頬に傷を創ったモンスターを紹介する。


「トビドングリはスキルに反応するモンスターだよ。だから、ここではスキルも使えないんだ」

「なるほど。そんで立ち往生ってわけだ」

「そ、ちなみに壁や天井にもトビドングリは潜んでて、飛んでく事も出来ないんだよね」

「そりゃ、また面倒な事をしてくれたわけだ」


 那月はこのダンジョンを改造した輩を睨みつけて、助言をくれた日奏に感謝を伝える。


「ありがとな、日奏」

「ううん。ほら、僕達……その、友達だからさ」


 恥ずかしそうに言った日奏の真意は分からないが、とにかく友達を助けたかったという事だろう。

 那月はそう解釈して、話を続ける。


「それで?これからどうするよ」

「僕は先に行くよ。ちょうど飛ばされた先に那月がいたから、危ない目に会う前に伝えとこうと思ってね」

「そっか、サンキューな。もし知らなかったら今度こそ頭ぶち抜かれてた所だよ」

「あはは、それはよかった。それじゃあね」


 日奏はそう言うと、手を振って先の方へと進み始めた。

 日奏はスキルを使ってトビドングリやボムボックリの位置を把握しているようだが、トビドングリは飛んでいない。


「なるほど。スキルによる衝撃がトビドングリを刺激するんだな……って、これ手詰まりじゃね!?」


 正攻法では不器用な那月にはボムボックリを回避することは出来ない。

 かと言って、翔みたいにトビドングリを殺せるほど殺傷性の高いスキルも持ち合わせてない。


「やっぱ無理ゲーだ……」


 そうぼやくが、しかしーー


「いや!諦めんのは最後だ!何回かやりゃ、いずれ前に飛ぶだろ!!」


 果たして那月が選んだ作戦は、適当にボムボックリを踏みつけ、前に飛ぶことだった。


「おりゃ!!ーーぐあぁ!!」

「せいや!!ーーぬぉお!!」

「うぉりゃ!!ーーぐはぁっ!!」


 それから何十回そうしたことだろう。

 結果はジャージがボロボロになっただけで、那月が立つその場所はスタート地点であった。


「…………クソが……!!」


 地面からユラユラと那月が起き上がる。その声は怒りの限界を超えていた。


「こうなりゃ方法なんて知ったことか!!全部刺激すりゃ、障害ゼロになんだろゴルァ!!」


 那月はそう叫ぶと、全身の魔力を両手に集中させ始めた。

 それは先を進んでいた生徒たちにも感知される程強大に膨れ上がり、濃密に収縮され、そしてーー放たれた。


「『ネオ・エリアグラビティ』!!!!」


 瞬間、大気が悲鳴を上げた。

 押しつぶされた空気が地面を押し、衝撃を与えーー二種類のモンスター全てを爆発、発射させた。


 至る所で爆発が起こり、鉄砲玉が飛び交った。

 まさに戦場。まさに地獄。


 第一層は瞬く間に阿鼻叫喚の嵐となり、気がつけば草むらなんて吹き飛んでいた。


「しゃ、これで行ける!!行くぜーー」


 その時、様々な声が叫びを上げた。

 それは、今までスキルを封印されていた生徒たちの爆発。

 折から解放された魔獣の暴走だった。


 スキルを使った生徒たちが次々とゴールしていく中、那月がゴールしたのはケツから三番目の順位だった。

 ちなみにライバル達との勝負では最下位という結果であった。


本作をお読みいただきありがとうございます。


「面白い!」


「続きが気になる!!」


「頑張れ!!!」



と思って頂けたら


下記の☆☆☆☆☆から評価をよろしくお願いします。


面白かったら★★★★★、まぁまぁじゃね?と思われた方は★☆☆☆☆。


ブックマークもして頂けると本作の励みになります!


また、感想なども思った事を書いて頂けたら私の励みになります!!


何卒よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ