1話 ダンジョン社会
どうも立春ハルマサという者です。
話を書いていて、長く続いた試しがないのですが……今回は頑張って続けたいと思います!
更新は不定期ですが、暖かい目で見守って頂けると幸いです。
『ダンジョン』それは突如として世界に現れた異物。
ダンジョンとは、塔を始めとし、洞窟や遺跡など様々な形がある。
各国政府はダンジョンへの立ち入りを禁止していたが、ダンジョンから資源が取れることを知ると、これを解除した。
これをきっかけに人々はダンジョン探索に乗り出し、『ダンジョン革命』が起きた。
ダンジョンから取れる資源は色々な製品に取り入れられ、ダンジョンから取れる未知の鉱石はとても高値で取引された。
そして、社会全体を『ダンジョン社会』と呼ぶようになった。
世界にダンジョンが現れてから二百年という月日が流れた。
それでも人々のダンジョンへの熱は収まらず、むしろ燃え盛っていた。
人々がダンジョンに魅入られてからというもの、ダンジョンを探索する者が増えていった。
それはダンジョンから取れる資材、財宝を政府が買い取っているからである。
最初こそ、危険だとされていたダンジョン探索もダンジョン内の情報が発表されてからは、安全な場所をメインとした探索が進められた。
ダンジョン探索はサラリーマンの休日のお小遣い稼ぎとして、とても好評であった。
探索者の中にはダンジョンを探索することを職業とするものまで現れた。
人々は彼らを『ダンジョンプレイヤー』と称し、子供らは大いに憧れた。
「バックよし、受験票よし、筆記用具よし.........んじゃ、いってきまーす!」
誰もいない室内に少年の声が響き渡る。
この少年、黒瀧 那月は、受験生であり、今日はその受験日である。
受験する高校は、弾二四高校。
ここは五年前に新設された学校にも関わらず、受験者は毎年十万人を超えていて合格する可能性は極めて低いとされている。
受験者が多い理由のひとつとして国が経営しているというものがあるが、一番の理由は日本初のダンジョンプレイヤー育成機関であるという事だろう。
『ダンジョンプレイヤー育成機関』とはその名の通り、ダンジョンプレイヤーを育成する機関である。
ダンジョンプレイヤーになる為には『プレイヤー資格』が必要となり、この『ダンジョンプレイヤー育成機関』は、その資格を取る事を目的とした教育を行っている。
この少年━━那月も、この学校を足がかりに『ダンジョンプレイヤー』への一歩を踏み出そうと考えていた。
いや━━
「見てろよ.........お前らが『落ちこぼれ』と呼んだ俺が最強のプレイヤーになってやるぜ!」
━━決して、同級生を見返すために受験するのでは無いことをご理解頂きたい。
那月は脇道を通り過ぎ、大通りに出ると少し歩く。
信号機が赤になっていることを確認すると、足を止め、右ポケットからスマホを取り出す。
側面に付いているボタンを押し、画面に明かりを灯す。ロック画面を抜けると、画面の一番下にある青いダイヤ型のアイコンを一突きする。
画面いっぱいに広がる活字の大群は、全てダンジョンの情報である。
このアプリはダンジョン情報アプリ━━Dungeon Information Application━━略してダイアと呼ばれていて、ダンジョンに関する情報をいち早くお届け、をモットーに『ガイズ』が運営する情報アプリだ。
数あるダンジョン情報アプリの中でも、ダイアは古株である。にも関わらず未だに人気があるというのは、確定、未確定のどちらの情報も扱っているのに、情報が綺麗に整理されているというところが、利用者を引き付けて離さないのだろう。流石は『ガイズ』と言ったところだろう。
アプリを開いた那月は画面を上にスクロールしていき、最新の情報をタップする。
すると画面から、女性のはきはきとした声が響く。
『続いて、研究室は《スキル》について、新たな発見があったと公表しました.........』
「新たな発見、ね.........」
『スキル』とはダンジョン出現後に産まれた子供達に見られた特異的な能力のことである。
最初に確認されたスキルは砂を五センチメートル浮かせるというものであったが、時代が進むにつれ様々なスキルが確認されるようになった。
そして今では、世界総人口の約九割がそのスキル持ちであり、『ダンジョンプレイヤー』のトップレベルともなれば、そのスキルはとても強力で希少なものとなってくる。
しかし、スキルというのはダンジョンと同様に謎に満ちていて未だ1パーセントも解明できていないというのが現状であり、あるところでは神から与えられたものを科学で解明することは不可能だ、とスキルを神聖視する声も上がっている。
研究室が解析を頑張っているようだが、いつも、スキルは人間にしか与えられないだとか、スキルは後天的に現れることは無いだとか、分かりきったことしか公表しないので、国民は飽き飽きしていた。
かくゆう那月もつい、ため息を零していた。
那月は、目星い情報が無いことを確認すると、画面を閉じ、お尻に付いているポケットにスマホを入れる。
青になった信号機を一瞥して、再び歩き出す。
大通りを真っ直ぐ数十分歩くと、駅が見えてくるのだが、そこまでの道のりで、那月は自分のスキルについて考えていた。
那月のスキルはとても珍しく、過去に無いスキルであった。
しかし、そのスキルは効果が限定的である為プレイヤーになる事はもちろん、普通職━━スキルを使って働く職業━━に就くことすら難しいとされていた。
故に那月は、クラスメイトたちから落ちこぼれの烙印を押され、大小の違いはあれど、沢山の虐めを受けてきた。
対抗する拳はあるが、相手は自分のなんかより十分に強いスキルなので当然敵うはずもなく、暗く閉ざされた中学校生活を送ったものだ。
自分の過去を振り返り、自嘲気味になったところで目の前に駅が見えてきた。
雑念を振り払って受験に集中しようと両の頬を一度叩く。
弾二四高校は隣駅なのだが、今日は緊張を解すために早めに行こうと考えているため、普段は使わない電車を使う。
時間を確認すると、今は九時を少し過ぎたところだった。
試験が始まるのが十一時で、電車が九時半発、着くのが十時少し前だということを考えると、一時間も時間が余ることになる。
那月は都心にしてはアナログな切符売り場に向かうと、駅員のおじさんから隣駅までの切符を買う。
「お兄ちゃんは、弾校の受験生かい?」
「え......あ、はい!」
「もしかして、ダンジョン科?」
「う、うっす」
「そうかそうか、ま、がんばんなよ。君が有名なプレイヤーになる事をおじちゃん期待しとくから」
「あ、あざす!頑張ります!」
笑顔で見送るおじさんにぺこりと一つお辞儀をして、那月はホームで電車を待つ。
電車が来て、ドアが開くとほとんどが学生━━制服は違うけれど━━で、恐らく弾校の受験者だろうことは想像に難くない。
全員がライバルだと思うと足がすくみそうになるが、意を決して車両内に足を踏み入れる。
吊革に捕まった那月は揺られる車両のなか駅員のおじさんの言葉を思い出し、感慨にひたっていた。
本作をお読みいただきありがとうございます。
「面白い!」
「続きが気になる!!」
「頑張れ!!!」
と思って頂けたら
下記の☆☆☆☆☆から評価をよろしくお願いします。
面白かったら★★★★★、まぁまぁじゃね?と思われた方は★☆☆☆☆。
ブックマークもして頂けると本作の励みになります!
また、【いいね!!】を頂けると次話制作の励みになります!!
またまた、感想なども思った事を書いて頂けたら私の人生の励みになります!!!
何卒よろしくお願いします。