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漫才師のお仕事・その2「お化け屋敷」

作者: 月野兎姫

ボケ役とツッコミ役が次々と入れ替わる新感覚漫才コントの決定版!

ボケ「今日は皆さんが学生時代に、必ず一度はやってたことを話そうかと思ってます」

ツッコミ「へぇ~、学生時代に必ずやってたこと? なになになんやの、イジワルせんと早よお教えてぇ~な!」

ボケ「なんで隣に居るコイツが一番食いついてんねんな。まぁええわ」

ツッコミ「で? で? 体育祭とか文化祭の話でもすんの? な? そうやろ? 当たりやろ?」

ボケ「はいはい、そうですそうです」

ツッコミ「やった当たりや! 当たり屋や! ちょっくらニコイチの事故車両で、枯れ葉マークの車に追突してくるわ」

ボケ「アカンアカン! そんなんただの煽り運転やないか! それに今は漫才の最中やろうがっ!」

ツッコミ「そやったな、うっかりしてたわ」

ボケ「やるんたらったら、仕事の帰りにしようぜ」

ツッコミ「いやー、それはちょっと……」

ボケ「何で自分から言い出したのに、ちょっと引き気味になってんねん!」

 ボケ役がツッコミ役に突っ込みを入れる。


ボケ「で、話戻すけど、文化祭の中でもクラス投票で常に5、6番目にきそうな微妙な人気のお化け屋敷、これについて語ろうかと思ってんねん」

ツッコミ「別にその話をしたからったら自分一人で勝手に話したら、ええやんか。何もここでやる必要性ないでしょ? 違う?」

ボケ「なんで貴方はいつものっけから、全然お仕事する気ないわけないの? しかも真面目な声でネタ潰すのやめてくれる?」

ツッコミ「人間、できれば楽をしたい生き物じゃないですか」

ボケ「まぁそやけど……ウチら、今お仕事で漫才してるんですよ?」

ツッコミ「あっ、そうなん? なら、下手に出て給料の半分くらい仕事してみる?」

ボケ「言い方言い方。メッチャメチャ、口悪いなジブン! 例えそう思ったとしても口に出すな。あと悪代官にすりよる商人の顔すなっ!」

ツッコミ「で、なに、お化け屋敷がどうしたん? どうせ最後には廃墟にでもなりました! とかそんなオチやろ?」

ボケ「言うなやっ! 先回りしてオチ言うなんてありえへんでっ! そもそもなんでアンタ、今から俺が話すこと知ってんねんな?」

ツッコミ「なんでもなにも、さっきここに出てくる前に散々打ち合わせしたやないかいな。もう忘れたん? お前んちの爺ちゃん痴呆症でも出たん?」

ボケ「言うなやっ! ネタバラシ禁止ですー。あと、あんまウチの爺ちゃんの話すんな。アレ、マジやねんから」

ツッコミ「お前は敵か何かかっ!」

ボケ「なんでコイツ、今ツッコミしてん……しかも雑やし」

ツッコミ「いや、ツッコミっていうのは僕の仕事なんですわ。アンタ……私が唯一の不得意なツッコミでさえも取り上げる気なん?」

ボケ「いや、不得意やったんか! アカンやん、そんなんを仕事したら……」

ツッコミ「はははっ。だから私とお前とが役割入れ替えて漫才してるんでしょ(笑)何を今更驚いたフリしてんの? ヤラセ? ヤラセなんかコレ?」

 半笑いしながらツッコミ役がボケ役をイジリ倒す。


ボケ「ヤラセもなにも……私がネタを作ってな、アンタと何度も何度も鏡の前で練習してきたやん。その苦労覚えてへんの?」

ツッコミ「そんなん、イチイチ覚えてるわけないやないけ(笑)」

ボケ「だとしても、だとしても……やで。ネタありきで……あっ」

ツッコミ「どないしたん? 何かに気づいた振りして? もしかして新手の構ってちゃん?」

ボケ「何でいい年したおっさんが、更にいい年したおっさんに甘えようとしてんねん。ただただ気持ち悪いだけやろうがっ!」

ツッコミ「あいたたたたたっ」

ボケ「そんなに強く押してへんわ」

ツッコミ「(アッサリとした口調)ま、そやねんけどね」

ボケ「復活早いなぁっ! ヤラセか?」

ツッコミ「はっ? や、やらせ? なにがや?」

 素の表情で驚くツッコミ役。


ボケ「いやな、こう私が貴方のこと押したでしょ? それで大げさにリアクションしたことに対するのがまるで事前に決まってるような振りやったから。それでや……」

ツッコミ「そんなん当たり前やん! さっきアンタが台本ありきで、どうたらこうたらと言ってたやん。何を今更やらせ(?)とかって、疑問系交じりにお客さんの前でネタバラシ始めてるん? こわいわー、今の人メッチャこわいわー。あっ、ちなみにこの怖いってのは、初めのお化け屋敷ネタとかかってますぅ~」

ボケ「だからボケが雑なんやてっ! そもそもアンタはツッコミ役やろうがっ! なんでボケてんねん!」

ツッコミ「いや、ボケてるんはお前んちの……」

ボケ「爺ちゃんの話はすなやあぁぁぁぁ。しまいにはお前の家に送り込むぞ!」

ツッコミ「ああ、別にええよ」

ボケ「ええんかい! なんでやねんな?」

ツッコミ「うち、この10年くらい人が住んでないねん」

ボケ「それ、ただの廃墟やないか!」

二人「どうもありがとうございましたー」

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