第三話 変化
元旦から二日後。
再び朝を迎え、いつもと同じ行動をとり。
朝食まで何一つ変わりのないまま進んでいた。
そう、朝食までは。
リビングに入るとそこは少しいつもとは変わった雰囲気が包み込んでいた。
原因はたった一つ。いつもより存在感を放つ父だった。
「雪夜、少しそこに座りなさい。」
そんな父から急に言葉をかけられてビクッとビビってしまう。
だが、そんな言葉にも逆らえず、
というより逆らう理由が無いのでいつもは座らない父の正面に座る。
母は今日は何も言わずにそこへ食事を運んできた。
「それで、話って?」
「あぁ。お前を五兎に送ることにした。」
「ちょっと待って、いきなりどうしたの?」
「それはお前が。いや、なんでもない。だがもう決めたことだ。学校の転校手続きは済ましてある。成績表を送ると試験は必要ないということだ。」
「いやいや待ってよ。今週末出かける約束もあるし。俺はこの街を出るのはやだよ。」
そう言いながら父を睨み付ける。
だが、父は揺るぐこともなく静かにコーヒーを飲む。
その態度に少しイラつきながらも冷静になるように心がける。
「もう決まったことだ。変えることは出来ないのだ。既に転校手続きは住んでいる。このまま新学期が来ても今の学校には通えん。」
「なんで相談もせずにそんなことしたんだよ。ふざけるな!俺は認めないぞ!」
俺はそう言い残してリビングを出て自分の部屋に戻っていく。
あぁ、冷静にいようとしたのに。
いれなかった。そう、後悔をしている。
部屋に戻って俺はリーニヤを開く。
グループを見ると今日も何かで盛り上がっているようだ。
だが、今日はどうにも参加する気になれず俺はこの前誘ってくれてた友人の個人を開く。
そして先程の事により俺が桃鏡に行けなくなったことを報告しようとしたところで気づく。
本当に言っていいのだろうか。
今はまだ鎌をかけてきているだけであって本当は転校手続きなんておこなわれてないのでは?
そう思ってしまう。
一度母さんにも確認を取ってみよう。
だが流石にリビングに戻るのは気まずいのでリーニヤで確認をしてみる。
『母さん、あの話って本当?』
『本当よ。転校手続きも既にしてあるし、実を言うと響都さんのお兄さんがもう荷物を取りにこちらに向かって来てるわ。』
『嘘でしょ?なんかのドッキリなんだよね?』
『嘘じゃないわ。これもあなたの為なのわかって頂戴。』
それきり母さんの返信は無かった。
それがどういう事かは馬鹿じゃないから分かってしまう。
それが事実だということを鮮明に語っているのだ。
俺は今、困惑しているのだろうか。
悲しんでいるのだろうか。
分からない、分からないのだ。
今自分がどうしているのかさえ。
俺はそんな状態でただ茫然とスマホを眺めているのだった。