第二話 Another view 「祭川響都」
「・・・響都さん。やっぱり雪夜を五兎に送ってみませんか?」
雛が私にそう言ってくる。
この前から彼女は息子を新天地に送り出し、新しい生活をしてもらおうかと考えている。
私は本当はどうでもいい。
息子が今どうなろうかとどうでもいいのだ。
あいつは道を踏み外した。
正しい道を選ぶことが出来なかった軟弱者なのだ。
もうこれ以上助けてやる義理もない。
ただ親の責務として成人するまでは世話を見るだけだ。
「私には関係の無いことだ。」
だが、そうだな。五兎には兄もいる。
もしあいつが少しでも強くなれるのなら、それも一つの選択なのだろう。
「そんな冷たいこと言わないで。お願い、これが最後のチャンスでいいから。あの子を、どうか。」
彼女の必死の願いに耳が痛い。
これが惚れた弱みなのだろう。
純粋なほどまでの優しさ、それが彼女の最大の魅力でもあるのだから
「仕方ない、お前がそこまで言うんだったら。わかった、あいつを五兎に送ろう。さっそく兄さんに連絡を取ってみる。」
「ありがとう、響都さん。」
その一言が私の心を温める。
そしてその他にどこか心の穴が埋まるような感覚もしたが。
恐らく気のせいだろう。私はすぐに兄に連絡をした。