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雪獣は何故に人を思ふ  作者: 天野最中
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第二十話 Another view「月詠弐」

顎に手を当てて考えていると雪夜の元にあの狐が近づいて行った。

そうして彼の中に少し力を流し、いつもの感じに戻してくれた。

この世界ではああなっても仕方がない。

雪夜は今もまだ人としての感情などはしっかりと戻ってきていない。

今彼が唯一持ってるのは自我のみ。それを全て補っているあの狐は相当の力の持ち主じゃろう。

それ故に、獣としての能力の強さが群を抜いているのが分かる。


「あれ?脱力感が全く感じられない。」


雪夜が間抜けな声でそう呟く。


「そりゃそうやろ。いつも君の心を埋めてくれてるのがそいつやねんから。」


その言葉に深い悲しみを込めて。

そして、大きな希望も込めて。顎に当てていた手を外して、ゆっくりと狐に近寄る。

本当に大きくて、その目にはしっかりとした思念が宿っている。

この狐もまた、人を正しく導いてくれるだろうか。力の大きさ故に迫害を受けないだろうか。

そんな感情が頭の中を駆け巡る。その不安を、唯一助けてくれるモノに。

せめてものあたしの気持ちと、励ましの言葉を送ろう。そうしてあたしは狐の元にたどり着く。

優しく頬を触り、こちらへと引っ張る。

その意図を狐も理解したのか、首の力を抜いてこちらに任せて来た。そのまま奴の額に額をくっ付ける。

こんなにも冷たい冷気を出していたその狐は、触ってみると不思議なことに温かい。

しかし、その温かさを、まだ強くするためにもあたしは狐にこの言葉を授ける。

雪夜には聞こえない、小さな声で。


「雪夜の事、頼むで。あたしには手助けしかできんから。」


その言葉に狐は大きく目を見開き此方に視線を向けてくる。

その視線から逃げるように、あたしは雪夜の元に近寄り、手を叩く。

転移術式展開。周期を新月から上弦の月へ。足元に繊月模様が浮かび上がる。

どうやら朏のポイントを上手く捉えられたようだ。力を少し込めて術式を起動。

そうしてあたし達は再び現実に戻る。

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