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第十話 Another view 「出雲霧命弐」
気付かれた?
いや、気のせいだろう。
限りなく気配を消しているのだから。
私はいつもの忍者装束に身を包み、対象の監視をおこなっていたのだ。
資料通り、かなり優しい性格をしているのだろう。
そして誠実そうに見える。しかし、資料と違う点があるのだ。
これは一応報告しておいた方がいいのだろう。
私はそう思い父上の元へ向かう。
だがどうにも分からない事がもう一つあった。
今、彼からは獣の気配が全くしないということだ。
あの外見では、少なからず大きな傷を負っている筈なのに。
何故彼はあんなにも元気そうに過ごしているのだろうか。
今は解けない疑問に首をかしげなら、屋根へ屋根へと渡っていった。