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長多橋セブン  作者: 杉本誠
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第三章「団結」 前編

第三章「団結」 前編


「むむむ…」

事態は深刻だった。確率は二分の一。この状況どうするべきか。自分の運に賭けるか…それとも…いや考えていても仕方ない。


「こっちだ」

俺は唾を飲みながら、それに手を掛ける。そして、ゆっくり引く。


「くっそーー!!!ババかよー!」


「へへ、まだまだだな!大将!」

場所は喫茶店、マノール。俺達サークルメンバーは放課後この喫茶店に集まっていた。


「ババ抜きでよくそんな盛り上がれるね」

久堂は俺達の席にコーヒーとオレンジジュースを置きながら言う。久堂はバイト中というわけだ。


「賭け事があれば燃えるだろ?」


「そういうものなの?」


「にしてもよ、まさかここがサークルの活動場所になるなんてな」


時は遡り、一日前。田畑との一件が解決した次の日のことだった。俺と落葉はマスターに呼び出された。


「なぁ、大将。何で俺達呼び出されたんだ?」


「知らん。俺も久堂から聞いただけだし…その当の本人はそれだけ伝えて消えやがったし」

俺と落葉はぶつぶつ文句を言いながら喫茶店に着く。カランカランとベルを鳴らし入る。


「おっす!おっさん!来てやったぜ!」


「お、二人共。店長が待ってるぞ」

出迎えたのは昨日の騒動の原因、田畑だった。


「ゲゲッ!!何でお前がいんだよ!!」


「な、何でって…俺はここで働いてるんだから当たり前だろーが」


「真面目に働いてる様で感心だな」


「ご、ゴットマン…いや、神崎さん、アンタには感謝してるよ。俺の人生はアンタのお陰で救われた」

田畑は頭を下げて感謝する。


「よせよ、それよりマスターが呼んでるんだろ?」


「ああ、カウンター席で座って待っていてくれ」

そう言って田畑に席に案内され、しばらく俺と落葉は待つことにした。


「やぁ。待たせたね」

厨房の方からマスターが顔を出す。


「おせーぞ!おっさん!」


「いや〜遅くなって申し訳ない。仕入れての整理を丁度今終わらせたところでね」


「それでマスター、俺達に何の用ですか?」

本題は一体何なのか。俺はそれが知りたかった。まさか世間話をする為に呼び出したわけじゃないだろう。


「そうだったね、一度君達に改めて礼を言わせて欲しい。ありがとう。そして、一つ提案があるんだ」


「提案…ですか?」


「ああ、何でも君達はサークル活動の場所を探してるそうじゃないか。なら、君達が良ければだけどここを活動場所にしてはどうだろうか?」

急なマスターからの提案。俺と落葉は顔を見合わせる。


「い、いいんじゃねーかそれ!なぁ!?大将!」


「あ、ああ」

これは願っても無い申し出だ。ここは駅からも近いし、集まりやすいだろう。それにここなら…。


という事あり、現在ここでサークル活動をしているわけだ。


「ていうか神崎この前の指示した事いつまでやればいいの?」


「んー、そうだなぁ…」

と、話をしている途中落葉が神崎の持っている片方のカードを引く。


「はい、俺の勝ち♪」

久堂の方を見て話している間に落葉がババじゃない方を引き上がってしまった。


「ま、また負けた…」


「神崎はトランプ弱いな〜。俺三連勝だぜ?」


「くっ!!今のは久堂のせいだろ!」


「は?何で私せいなの?」


「お前と話さなかったら心理戦に持ち込めたかもしれないだろ!」


「知らないよ。そんなの」

久堂がサークルに入って数日が経ち、随分と打ち解けた感じがある。


「まぁまぁ、大将も久堂ちゃんも落ち着けって」


「ちゃん付けしないで」


「いでっ!!」

すかさず落葉の頭にチョップをかます久堂。


「で、神崎今日は話があるって言ってたけど何なの?」


「あー、それはお前のバイトが終わってからでいいよ。もう少しであがりだろ?」


「う、うん…まぁ」


「トランプは俺があがったけどな!」

ドヤ顔に落葉が言う。落葉の癖して、うまいこと言っていて腹がたつ。


「うるせ」


「さっさと終わらせてよな!久堂ちゃん!」

今度はツッコミを入れずチョップでもなく、グーで落葉の頭に叩きつける。落葉は撃沈する。


「さっさと終わらせてくるよ」

落葉の頭を殴ったを叩きつけた手を左右に振りながら厨房に戻っていた。


「さて、落葉も撃沈してるしネットサーフィンしてるか」


少し時間が経って学校の制服に着替え終えた久堂が俺達の席に座る。


「で、話ってなに?」


「いや、実は呼び出したのは俺じゃなくて落葉なんだ」

そういうと落葉は机から顔を上げる。


「その通り!」


「あ、復活した」


「いやー、ついに我がサークルは三人になったという事で積極的に活動しようと思ってだな!」


「そもそもこのサークルのリーダーって神崎なんでしょ?普通神崎が仕切るんじゃないの?」


「いや、だって面倒いし」


「そんなんでよくリーダーやろうと思ったね…」

呆れた顔で久堂はため息を吐く。


「だって落葉に任せるわけにもいかないだろ?」


「それはあるかも」


「おい!そこ!私語は慎みたまえ!」

俺と久堂に指を指して言う。その後咳払いをしてまた話しだす。


「それでだ!みんなの案を聞かせてくれ!」


「結局自分何も考えて無いってこと?」


「多分そう」

俺は久堂の意見肯定した。


「おいおい!俺だって考えたぜ! ?単純に案が出なかっただけだ!」

案の定落葉は何も考えて無かった様だ。


「じゃまず久堂ちゃん!意見よろしく!」


「お前も懲りない奴だな…」

隣では既に殴るスタンバイをしている久堂がいた。


「後で殺す…意見って言っても私は入ったばっかだし…具体的にどんな活動したいのわけ?」

確かに落葉がどんな活動をしたいのか気になる所だった。分からないと意見の出し様が無いしな。まぁ大体予想はつくが。


「んー、そうだなー。長多橋崩壊の危機に立ち寄るとか!」


「絶対無いよねそれ」


「ああ、無いな」


「全然参考にならないんだけど」

久堂が頭を抱え呆れる。とにかく、落葉はでかいことを解決したいのだろう。大きな事件を解決する達成感を求めているんだろう。


「じゃ大将は?」


「んー、そうだな。学校行事とかなら手を突っ込めそうだけどな」


「学校行事?」


「ほら俺達が通う上橋高校と下橋高校って合同行事多いだろ?」

そう、上橋高校と下橋高校は前から合同行事が多く、下橋高校との合同行事もあるとのことだった。何でも前は同じ名前の高校だったらしい。


「学校行事って如何にも生徒の為にやる様な物だろ?そこでなら目立っても然程問題無いと思う。中には長多橋の伝統行事があったりしたしな」


「えー!小規模すぎないかそれー」

落葉がテーブルに顎を乗せながら文句を垂れる。


「まず三人じゃそんな大規模な事は出来ないんじゃない?」


「そういう事だ。ま、大きい事がやりたいならもっと人集めろって話」

まぁ、こんなサークルに入る奴を見つけるのは困難になるだろうが。


「くっそー!じゃまずは人数集めだな!」


「おお、頑張れ」


「おい神崎!何で他人事なんだよ!」


「とりあえず目星は付けた方いいんじゃない?」

珍しく久堂が話を切り出す。


「例えば?」


「ほら、ターゲットを何処に絞るとかあるでしょ?一年生に絞るとか」

意外にも久堂が乗り気だ。


「…お前割と乗り気なんだな」


「は?違うから!…入ったからにはちゃんとサークルに貢献するべきでしょ?」

髪をいじりながら言う。こういう活動するのが初めてだから楽しいと感じてるのかもしれない。


「ほら!乗り気じゃないの大将だけだぜ〜?」

ニヤニヤしながら落葉が煽る。腹が立つアホヅラだ。


「だから私は乗り気じゃないって」


「あーわかったわかった。やる気は出すよ」

まぁサークル活動はやるって言ってしまったし仕方ない。長多橋の事を詳しく知れるチャンスだしな。


「じゃ上橋高校は俺と久堂が担当するから落葉は下橋高校担当なよろしく」


「了解!…って俺一人かよ!?」


「しょーがないだろ。下橋高校に通ってるのお前だけなんだからさ」


「ちぇー。分かったよ」

落葉はしぶしぶ納得した様だ。


「で、どういう人誘えばいいの?」

サークルメンバーを誘うのはいいがどういう奴が向いているか分からない。何せ、長多橋の事を知りたいサークルなわけだし。とりあえず長多橋が好きな奴誘えばいいのだろうか。


「んー、面白そうな奴かな」

考えるのが面倒くさくなり俺は適当に答えた。


「アバウトすぎるだろ!」

思わず落葉がツッコミを入れる。


「あー、分かったよ。じゃ入れる奴は俺が決める。見込みがある奴見つけたら連絡してくれ」


「お、大将直々に見極めるって事だな」

そんな大層な事じゃないと思うが。


「じゃ落葉と久堂、良さそうな奴見つけたら連絡してくれ」

二人は同意し、今日は解散する流れになった。




家に着き自分の部屋に入る。そしていつもの様にパソコンに電源を入れる。


「あー、あー」

生放送を始める。生放送を開始して、すぐ視聴数が一万人を超える。


《お、始まった〜》


《やったー!丁度見れた!》


《キタ━━━━(゜∀゜)━━━━!!》


などのゴットマンを待ち望んでいただろうコメントが一斉に流れる。


「さて、今日は何をするか!お前らは何がしたい?」

パソコンに向かって語りかける。普通の人から見たら異様な光景だろうがnew meをやっている奴から見たら普通の光景だ。


《何か面白い事やってよー》


《何でもいいぞ》


《前の田畑との配信面白かったわ》


《田畑って誰だったんだ》


「はは、だろ?前回の配信面白かったろ?俺はお前らを退屈させないからな」

流石に何千人の全てのコメントは拾えないから一部のコメントを拾い会話を広げていく。これが俺のいつもの生放送の流れだ。この神崎享とゴットマンの性格の落差も身バレ防止の為の一つだ。


「あ、もうこんな時間か。じゃ今日はこの辺で終わっておくかな〜じゃ」

いつもと同じ様に二時間くらいして生放送を終わらせ、ベットにふと寝する。


「……」

部屋に沈黙が続く。時計を見ると十二時を回ろうとしていた。

そう言えばサークルの件どうしたものか…ま、明日考えればいいか。と気楽な考えなまま眠りについた。

サークル場所も決まり、サークルらしくなってきた一同!今後のメンバーが気になりますね!


本当は昨日投稿したかったのですが、忙しく、出来ませんでした。

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