第2話
それは大きな鳥のようなしかし明らかに鳥ではない何かだった。
それが自分に対して向ける目はまるで蛙を睨む蛇と言った方が良いかもしれない。
そしてそれはその大きな身体を俊敏に動かし尖ったくちばしを自分目掛けて勢いよく突き出した。
それを間一髪で避ける自分にハッとする。
死にたいと思っているのになぜ避けたのか。
本当に死にたいと思っているのに、いるはずなのにそれを避けた。
思考と身体が合致しない中ただ呆然と立ち尽くしていた時
それが目前に迫っていたことに気づかなかった。
その時
『気を付けても会う時は会うか』
『てかなんであんな寂れた街に来たんだろ?』
『まぁ、良いじゃんあとから考えれば』
喫茶店の少女と見知らぬ少女二人
喫茶店の少女がゴスロリ風の服を見知らぬ少女をA、Bと表すなら
Aはまるでアイドルのような、Bはとても際どい少しでも動くだけで下着が見えてしまいそうな服を着ていた。
「貴女は」
『あぁ、良い、皆まで言わなくて』
『まずはあいつを片付けてからだしね』
『さてと、お仕事お仕事』
しばらく驚きで声が出なかった。
自分よりも背の小さい彼女たちが
それを一瞬でねじ伏せたということに。
「...」
『で、質問攻め良い?』
「は、はい」
『まず、あんたはこの森に何しに来たの?』
「...」
『もしかして、自殺志願?』
「...」
『ねぇ、ちょっと良い?』
Bが口を開く
『私たちって他の誰かにはあまり知られちゃいけないんだよね?』
『ん、そうだね』
『でも知られちゃったよね?』
『うん』
『この人殺すの?』
『えっ?』
『"口封じ"って言うんだよね?』
「殺して...くれるの?」
『やっぱりか』
「そんなわけ...ないか」
『この森そういう奴等が沢山来るからな』
『私の所にコーヒー飲みに来たのってそういうこと?』
『でもあの顔は逃げるのに必死だったけど?』
『ねぇ、死にたいとか言ってるけど本当のところどうなの?』
自分がどう思ってるか本当に死にたいかはっきり分からなかった。