これが人生初の異世界飯だと!?
目を覚ますとそこは知らない天井だった。
と言うか天蓋付きベッドだった。
やべっめちゃくちゃ柔らかいマット!
布団もめっちゃふわっふわだわ…。
あーここから出たくないなぁ…。
と現実逃避してみるが右を見れば
豪華すぎる窓に装飾の凄まじい壁
窓から見える外の景色は中世のような街並み。
溜め息を吐きつつ逆、左側を見れば
これまた無駄に高価そうなサイドテーブルに
ガラス製の水差しとカップ。
壁には扉がありその扉も高価そうだ…。
その扉の隣にはメイドさんが控えていて
足元側を見ると…………!?
「メイド!?」
思わず二度見してしまったし叫んでしまった。
「お目覚めですか、優樹様。お休みのところ申し訳無いのですが…目を覚ましましたら連れて来るように。との国王陛下からのお達しが出ておりますので、ご案内してもよろしいでしょうか?」
えっ…スルー?
いや、まぁプロ?のメイドだし…?
こういうもんなのかな…?
しかしまたあいつらと話をすんのか…。
「それ…断れま「無理ですね。」
「あっ、はい…わかりました…案内をお願いします…。」
「では、付いてきて下さい。」
無駄な抵抗すら出来ず、すごすごと
メイドさんの後ろに付いて歩いて行くと
なんだかいい匂いが漂って来た。
「そういえば今何時ですかね…?」
「丁度ご昼食のお時間になるところですね。ですので、皆様がお待ちのご昼食場所へご案内させて頂いております。」
「あ、そうだったんですね…。」
異世界の飯かぁ…しかも王族の飯…
これは期待出来そうだ。
あいつらと顔合わせるのは正直気が滅入るが
飯ともなればそうそう変な事には
ならないだろうしな。
などとどんな飯なのか妄想していると
案内のメイドさんから声がかけられる。
「こちらになります。どうぞごゆっくりお過ごしください。」
綺麗な礼と共に扉が開く、
扉の向こうには5人の人影が。
1人目は俺の親父 明日葉 和樹
写真ではごく普通のちょっと格好良さげな
おっさんだったはずが何故か今はナイスミドルな
イケメンおっさんである。
髪は長めで肩まで伸ばしたオールバック。
服装は王様の服だ。
2人目は俺の祖父 明日葉 大樹
俺の育ての親で武道の師範。
ジジイのクセにマジで強い。一本も取れない。
細い体躯ながら引き締まっていて
背はシャンとしている。
髭も頭髪も真っ白で
髪型はデコの広いオールバック。
服は相変わらずアロハに半ズボンにローブ…。
3人目は俺の祖母 明日葉 やす葉
こちらも育ての親であっちの世界では
よく喋る元気なおばあちゃんだったのだが…
何故か今は軍服を着て優雅に昼食を食べている。
この人は職業というか…
もう…何者なんだろうか?
謎は深まるばかりである。
4人目は俺の……母さん?
写真でしか見た事無かったが多分…?
おそらくそうだろう…と思う…きっと。
名前は明日葉 紅葉
真紅の髪に赤い目で深紅のドレスを着ている…
写真では黒髪黒目だったはずなのだが…?
とりあえず美人なのは間違いない。
本当に俺の母さんなのだろうか…?
5人目は…子供?女の子である。
赤い髪に黒い瞳で歳は8歳くらいだろうか?
赤い子供用のドレスみたいなのを着ている。
可愛らしい顔をしていて大人しそうだ。
この流れだとまさか…?
と、そこで親父がこちらに声をかけてきた。
「やっと起きてきたか。たかがタライでいつまで気絶してんだお前は。あまりにも遅かったから先に飯食っちまったぞ?お前も早く食え!滅多にこっちじゃ食えないもんばかりだぞ!」
「いや、先に色々説明して欲しいんだけど…何が何だかさっぱりわかんないんだけどさ…。」
「飯食いながら話してやるから早う座るんじゃ優樹。せっかくの昼飯が台無しになっちまうぞ?」
「あ、あぁ、んじゃ…」
そう言ってとりあえず爺ちゃんの隣へ座る。
そこには銀のトレイに乗った……
カップラーメンが湯気を立てて置かれていた。