ジジイの次はババアだと!?
おちつけ…とりあえず知らない奴はいな…
いや、思いっきり目の前に
写真でしか知らない顔が鎮座してるが、
それはいい。敵ではないはずだ…。
んで。
隣にはファンキーでファッキンなジジイ…
宰相とか抜かしてたが、腐っても武道の師匠。
殴りかかろうとも俺が手も足も出ない事は
俺自身が身を以て知っている。
周りを見ると明らかに「騎士です!」
って感じの鎧を着てるおっさんがいる。
残念ながら「イケメン」はつかない。
しかし渋い。優男ではないが男前だ。
「ん?おう、こいつは俺のPTメンバーでタンクだったブラウンだ。名は体を表すだろ?覚えやすいだろ!ハッハッハ!」
「陛下…毎度その自己紹介を自分より先にするのは勘弁してもらえませんかね?」
「知らんな!」
名前はブラウンと言うらしい。
確かに髪はダークブラウン?(こげ茶?)で
短めのオールバックで
向かって左側を崩している。
瞳もブラウンで顎髭を生やしている。
身長は高く190近いんじゃなかろうか…
老けたらこんなおっさんになりたい。
が、こんな王の下には居たくない。
「うちの…父?がご迷惑おかけしているようで申し訳ありません…。」
「いえ…既に諦めて居ますので殿下はお気になさらず…。」
一応謝ってみたが…
殿下とくるか…勘弁して欲しいな…。
「殿下とは…やはり自分の事ですよね?」
「もちろんでございます。」
否定して欲しかった所だなぁ〜…
とりあえず切り上げよう。
「ところで…ばあちゃんは?見当たらないんだけど?」
「ここにおるぞ?」
と聞き慣れたばあちゃんの声。
へ?見当たらないんだけど……?
キョロキョロしているが見当たらない。
チラチラ視界に入り込むジジイと親父?の
ニヤニヤ顔がウザったいことこの上ない。
しかし全く見当たらない。
そうこうしていると…
バコーーーン!!
「修行が足りんわ!馬鹿者め!」
と上からタライが降ってくる。
一瞬意識を飛ばしそうになるが
寸での所で食いしばる。
と、同時にタライをひっ掴み真上へぶん投げる。
「ほー。何処に投げとるんだ?それは残像じゃ。」
そんな声が後ろから聞こえ振り向くと
そこには……
怪盗三世の女怪盗のような派手な紫の
レザースーツを身にまとった
今年齢67になる筈のばあちゃんが立っていた。
「…………………ハッ!?その格好…え?」
思わず俺がフリーズしていると
そんな事はお構い無しと言った風に
ばあちゃんはこう言った。
「馬鹿者が。この程度で隙を見せるからそうなるんじゃ。」
その言葉に聞き返す前に俺は意識を失った。
自分の投げたタライの角が
自分の頭に突き刺さって。
失いゆく意識の中で思った事は
『やっぱ親族に味方はいなかったのか…』
だった。