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【上陸】しばしのお別れ

【上陸】しばしのお別れ



 本当に呪われているのかもしれない。王太子を乗せた航海は、またも天候の荒れに見舞われたので。


 二晩目から雨が降り、風も強く吹きつけ始めた。波も荒く高くなり、よって、船の揺れも大きくなる。船の運航が妨げられるほどではないが、乗客のほとんどは具合を悪くした。


「お陰で夜会はほとんど中止……ね」

「ねえ。ミス・リントン、公の場に出たくないからって、あそこまで駄々こねる必要なかったですねー」


 思っていた通りのことをぴったり指摘され、指摘した従者に苦々しい視線を向ける。


「ミスター・リップ。そろそろ殿下の荷物を詰める頃合いでしょう。そんなところで突っ立っていてよろしいの?」

「そんなのもう終わりましたよ。やあ、やっと降りられますね、さすがの僕も嫌気がさしたところです」


 船全体から安堵の声が漏れるようだった。荒れる海、揺れ続ける床からもうすぐ解放される乗客は、船室の等級に関わらず心からほっとしている。


 航海を終えた客船は、すでに港に入って係留された。乗客の下船の準備は急ピッチで進み、タラップが船と陸の間に渡されようとしている。到着したグラン・リオンは、天気のよい朝だった。


 下船を待つ一等客の態度は人それぞれだ。デッキに出て準備を見物する余裕のある人、具合が悪すぎてその余裕もない人。船酔いが最も重い者は支度を全て使用人にさせ、まだベッドで唸っているのかもしれない。


 わたしもさっきまでひどい頭痛がしていたのだけれど、停船し、デッキで外の空気を吸ったらかなりよくなった。さてそろそろ荷物をまとめようと思っていたら、リップが来たのだ。


「殿下はまだ頑張っていらっしゃる?」

「はい。グラン・リオンの王宮にミス・リントンが同行することを、エリスター侯爵に何が何でも認めさせるつもりです」

「お気の毒ですわね。侯爵が」

「またそんな、自分で言わなくてもいいでしょうに。――やあ、久しぶりのグラン・リオンだなあ!」


 レオポルド様の辞書に船酔いの文字はないらしく、航海中、どれだけ海が荒れようと平気な顔をしていた。そしていたって元気な彼は今、同行の田舎教師を自分が行く場所すべてに伴うため、猛反対する補佐官と戦っている。議論の焦点であるわたしがいては話しにくいだろうと、しばらく前に部屋を出たのだ。


 荷作りのため自分の部屋に戻るろうとしていたので、ひとり屋内に戻る。リップはこれから港に集まるだろう見物客を、デッキから逆に見物するそうだ。


 部屋で染みの消えないワンピースをつくづく眺めていたら、ドアが叩かれた。開けるとそこには大柄な武官。


「ミス・リントン、失礼いたします。殿下がお呼びです」

「ランサム中尉。――先に教えて下さい、どっちが勝ちました?」

「……うーん? 引き分けってところですか」


 引き分け? そんな、エリスター侯爵が勝ってくれればよかったのに。船酔いで弱った体では無理だったか。


 呼びに来た中尉は士官の制服姿だ。航海中ずっとそうだったけれど。


「そういえば」

 初めて会った時はそうじゃなかったと、思い出したついでに尋ねた。


「中尉はどうして島のダンスパーティーにいらしていたの? 仮面までつけて」

「はい?」

「それにあの時、殿下はあなたを捜してパーティーにお越しになったんでしょう? リップもあなたも、いつも王太子様にそんなことをさせているの?」


 ずっと疑問に思っていたことだ。尋ねる機会はなかったけれど、今までは。

 すると金茶の髪の武官は、面白いほどうろたえた。


「いえ、決していつもそんなことをするわけでは。少なくとも俺は」

「ではどうして?」

「……リップの態度は不遜だと思いますよ、俺も。でも知る限り、あいつはずっとあんな感じでして」


 よほど自分に矛先を向けられたくないのか、中尉はとんでもない従者に話をそらす。


「しかしですね、他ならぬレオポルド様が叱らないわけですから。わざわざ俺が進言することでもありませんし。一武官ですから」

「そうですわね、殿下は怒らないわね。それが不思議なんだけど」

「でしょう? だから無理もないと思うんですよ、従者に舐めら……いや、馴れ馴れしい態度を取られても」

「待って、殿下はそこまで威厳がないと思われているの? あの人が?」


 他の誰も知らないことを知るわたしは、非常に驚く。


 過去世での“彼”は、妻に対する態度はアレだけど、他に関しては偉大だった。暴君を偉大と呼ぶことが許されるならの話だが。いつの世の彼も、その時その時で王者としての資質に違いはあれど、少なくとも他者を従える威厳を欠いてはいなかったと思う。


「いやいや! 違いますって、そういう意味じゃありません」


 自分も大いに勝手なことをしていそうな中尉は、慌てて否定する。


「なんというか、要求がない人なんですよ。誰に対しても」

「要求?」

「はい。ご自分の我を通すより、相手に流されてしまいがちというか。主体性がないとまで言えば、ちょっと失礼かもれません。あれだけ身分の高い方がどうしてそうなのか、俺なんかにはわかりませんがね」


 ああ。そういえば本人もそんなようなことを言っていた。何事にも興味がない、だっけ。


「だから……いえ、もうやめましょう。ミス・リントン、中へどうぞ」


 とっくに目的のドアの前に立っているのに、立ったまましゃべっていた。会話を切り上げたランサム中尉が「だから」の先に何を続ける気だったのか、もうわからないだろう。



 わたしという困った闖入者の立場を巡る王太子と侯爵の争いは、引き分けに終わっている。


 久しぶりの陸の上。動かない大地を心底ありがたく思う。


 周囲では下船した人々が、荷物を持って迎えの車に乗ったり、歓迎されたりしたりと忙しい。ポーターを呼ぶ声、荷物が足りないと叫ぶ声。港では老若男女、さまざまな人々が行き来している。


 そんな中でも、彼の目にはわたししか映っていない。不可解な話だが。


「ミス・リントン。面目ない、あなたにこんな不自由をさせるとは」

「不自由なんてとんでもありませんわ。むしろ身に余るぜいたくですもの、殿下のお陰ですわね」


 公の場には出ない、という約束もある。そのため、わたしと王太子様はしばし別行動となったのだ。


 グラン・リオンでの王太子様の滞在先は、この国の王宮、その一角にある宮殿だそうだ。彼の実姉の住居でもある。随行員の宿所はそれぞれの身分と役職により違うが、多くは同じ場所に泊まることを許されていた。


 許されていないのは、たとえば随行員のそのまたお供。侯爵夫妻が連れている彼ら自身の使用人と、最初から予定になかったミス・リントンはよそで泊まる。侯爵の健闘に感謝しよう、決してわたしのためではないだろうけど。宮殿よりはましだ。


 同じ市内の高級ホテルを宿にとってもらっただけでも有難いので、こちらもしばしの別れを惜しむ、その振りをしないでもない。


「約束ですもの、お許しいただける範囲内でなるべくご一緒させてもらいますわ。その時は御前に参りますわね、殿下」


 下船したレオポルド王太子様は、グラン・リオン側から差し向けられた迎えの馬車に乗る。花や金モールで飾られた無蓋の馬車がどういう目的のためにあるのかを考えると、一緒じゃなくて本当によかったと思う。これから入国パレードの主役となる人は、乗車直前、地味な眼鏡女の手を握り、まだぐずぐすしてはいるが。


「しかし、ということはこれから夜も別々に」

「殿下、お願いだからその件は内密に。これは命令です」


 もはや自分の口からその言葉がすんなり出てしまうことに、罪悪感がなかった。


 冗談じゃない。外国の王宮、実姉の住まいでベッドに女を連れ込んでいることがバレたら、スキャンダルが巻き起こる。アストレア王太子でもひんしゅくを買うだろうし、その渦中の人には死んでもなりたくない。


「では……ミス・リントン。次に会うまで無事でいてくれ」

「無事でいますとも。ではまた午後に」


 白馬の馬車に乗った王子様は、未練を残しながらも出発して行った。しばらくして盛大な悲鳴が聞こえた。黄色く高い声が主体なので、神の域の美青年を目にした眼福を喜ぶ、グラン・リオンの乙女たちのものだろう。




「やっと……この時が」


 そしてわたしは、ようやく来たこの時に大きく息をついた。神に祈るように両手を握り合わせた。これからしばらくは自由だし、王子使いとしても悪くない仕事をしていると思う。


 今後、晩餐会に舞踏会など各種の夜の社交の場、夜会には一切出ない。昼も、正式な午餐はなし、園遊会の類も遠慮する。式典などはほんの隅っこの末席。つまりほとんどの正式な場には出ないでよくなった。貴婦人用の余計な衣装を用意する心配もなくなり、小躍りしたい気分だ。


 お陰でわたしの精神的負担は激減した。ああよかった、本当に。どうなることかと思っていた。変に名前を世間に知られたら問題だし、写真でも載ろうものなら恐ろしい結果になる。両親が見れば、母はともかく父は卒倒するだろう。


 ヒステリックな声が呼んだ。


「ミス・リントン! まだそんなところに立ってらっしゃるの? あなた、自分の荷物は」

「ああ、ミス・グリフィス。いま行きますわ、荷物はこれだけですの」


 エリスター侯爵夫人の侍女がホテルまで付き添ってくれるので、その呼んだミス・グリフィスのところへ歩み寄る。

 鞄が一個のわたしは身軽なものだけれど、侯爵夫人の侍女は主の荷物の大半を預かっている。そのトランクと帽子箱の山を背にしたミス・グリフィスは、今度はポーターにきつく命令した。

 

「もうひとりか二人呼んで来て。――ちょっと、車はまだなの? まったく、いつになったら出発できるのよ」


 苛立つ気持ちはわかるけれど、港はまだ降りた船客でごった返している。自動車タクシーを捕まえるのは容易ではないだろう、その他の乗り物も。それにわたしたちには連れが多い。王太子が自分付きの武官を二人ほど、彼のご主人様のために残していき、さらに。


「グラン・リオンは初めて? ミス・リントン」

「いえ、ミセス・トラックリー。親類がこちらにいますので、これが二度目です」

「あら、そうなの。ならもう電報は打った? お知らせしなくていいのかしら」

「ありがとうございます、大丈夫ですわ」


 荷物の山のそばには、もうひとり女性がいた。侯爵夫人と同世代のミセス・トラックリーは侯爵夫人の秘書だ。穏やかながらもよく気のつくミセス・トラックリーは、愛人候補と見なされる若い田舎教師でも、まともに扱ってくれる。


「後で奥様のために買い物に出るのよ。足りない物があったら一緒に買ってきますから、遠慮なく言ってちょうだい」

「お気遣いありがとうございます。ではミセス・トラックリーも、こちらには何度も?」

「ええ、結婚前に少し長く滞在したの。あの頃からちっとも変わらないわ――」


 穏やかな話相手と、市内の観光地についてしゃべっていた時だ。他の会話に、一瞬耳を貸してしまった。


「――では公爵家の?」

「そうよ、あの『買われた花嫁』の――」


 その言葉が聞こえてしまったのだ。ビクリと、肩をふるわせて反応してしまう。聞き流せずに視線を向けると、身なりのいい中年女性が二人、声をひそめて話し合っていた。その二人が意味ありげに眺めるのは、大きな黒塗りの自動車の前で立つ一組の男女。


 エリスター侯爵夫人以上のトランクの山を作っている、ジョーダン夫妻だ。


 夫妻の妻のほう――レディ・ジュリエットは、何やら語りかける夫を無視するように視線をあらぬ方角へと向けている。雰囲気から察するに、新聞王ジョーダン氏は何かでご機嫌ななめとなった若い妻をなだめているようだ。


 こんもりした白い羽根つきの大きな帽子、上品な淡いブルーのツーピース。今日も流行の装いで決めているらしいレディ・ジュリエット。彼女ともお別れで、ちょっとほっとしたのは嘘じゃない。


 しかし。ここで周囲の状況は、思わぬところへ転がった。


 どこかで交通の流れが悪いのか、港への車の出入りが混乱している。そのため人がなかなか減らず、待つ人々は苛立ち始めた。


 そこへ、さきほどの女性たちが話していた話題がするりと入りこむ。大っぴらに指をさしたりはしないが、待つ人々は、そのゴシップの中心である夫妻を好奇の目で眺めはじめた。


「――ミス・リントン? どうなさったの?」

「え、いえ。失礼しました。少しぼんやりして」

「ああ、船から降りたばかりだから。まだ揺れている感じがするのでしょう?」

 

 ミセス・トラックリーに呼ばれて向き直るが、その前に見てしまった。


 ひそやかに、しかし興味津々で語られるゴシップ。具体的な名詞こそ避けられているが、こんなに近くで囁かれては気がつかずにはいられない。

 周囲の話題が自分たちのことだと気がついたレディ・ジュリエットは、少し顔を赤らめ、唇を噛んでうつむいた。まるで、人の視線から逃げるように。


「……」


 このまえ聞いた、今は人妻である公爵令嬢を巡るゴシップ。


『金で買われたそうですよ、彼女』。


 リップは肩をすくめてそう言っていた。人妻となってまだ間もないレディ・ジュリエットだが、彼女は実家への金銭的援助と引き換えに、新聞王ジョーダン氏――成金の平民に嫁いだそうだ。実家のゴートラム公爵家だが、放蕩癖の当主が何代か続いて内実は火の車らしい。


 平民に金で買われた公爵令嬢。もちろん、それがただちに不幸な結婚になるわけではないだろう。だが事情はもう少し複雑なようだ、リップの情報によると。


 『どうやら動いたのは金だけじゃないみたいなんですよね。その前に、貴族の子弟が何人か絡んだスキャンダルがありまして』。


 麻薬と賭博、それから詐欺。いかにも貴族のアホぼん……浮ついた青年たちがはまりそうな落とし穴だが、そこに運悪く、彼女の兄が関わっていた形跡があるらしい。しかし結果として逮捕は免れたし、新聞にも載らなかった。そしてリップいわく、そのスキャンダルからレディ・ジュリエットの兄を救ったのが、ジョーダン氏なのだそうだ。


 将来のゴートラム公爵を救った報酬はなんだったのか。その答えが、妹で、社交界の華と呼ばれた若く美しいレディの身売りである。と、いうのがリップの見解。


 買われた花嫁。次代公爵にまつわるスキャンダルは広まらないが、レディ・ジュリエットの身分違いの結婚がお金のためなのは、誰もが知っている秘密らしい。


 『気の毒と言えば気の毒ですけどね。それまでは殿下のお妃候補として、わりと名前が挙がる令嬢でしたから。おそらく本人も大いにその気だったでしょうに』。


 という言葉で、情報通の従者の語りは締めくくられた。レディ・ジュリエットについて。


「ねえ、ミス・リントン。一般論としてね、本人が近くにいる時に――」


 よく気のつくミセス・トラックリーも、周囲の話題があまり褒められたものではないと気がついたのだろう。それとなくけん制しようとしたのか、ゴシップの作法そんなものがあればだけれどについて、わざとらしく声高に語ろうとする。


 しかし。それを遮ったわたしの声はもっと大きかった。


「聖典にこういうお話がありますわよね、ミセス・トラックリー。犠牲の羊(サクリファイス)について」

「え? ええ、それが」

「生贄として神に捧げられた羊は、誰の身代わりになったんでしたっけ」


 答えはわかっている。


「……族長の息子ね」

「そう。――わたくしは思いますの。お家のために、自分の意に沿わない結婚を受け入れる貴族の令嬢はきっと大勢いらっしゃるわ。でもそれは貴族としての誇りを、まっとうしておられるからですわよね。称号に相応しい、誇り高い生き方ですわ」

「ええ。そうね」

「もちろんそれで不幸になるとも決まっていませんし。それに、そういう方にこそ、誰より幸せになっていただきたいわ。自分を哀れと思わずに、哀れとみなした人々を、笑い飛ばすべきでしょう」


 聞こえていたとは思わない、本人には。直後、やっと出発できるらしい車に乗り込んだレディ・ジュリエットは、歳の離れた夫と共に港を去って行ったのだから。


 でも、変わったこともある。本人たちがいなくなって、やっと大っぴらにその名を口に上らせた人々の論調は、おおむねレディ・ジュリエットを高潔な殉教者とみなしていた。


(……それはそれで、ジョーダン氏が気の毒なような)


 残念ながらこのミス・リントンにも、ちょっとそこまで手が及ばない。

 囁くような声で尋ねられた。貴婦人の秘書は、おかしそうにこう訊く。


「どうしたの、ミス・リントン? 奥様が言ってらしたけれど、あのレディとは馬が合わなかったらしいじゃない?」


 馬が合わない、とはまた穏やかな表現だ。目の敵にされていた、とはっきり言ったっていいくらいなのに。

 わたしは苦笑する。自分をいじめた人間を、どうして庇おうと思ったのか。彼女がわたしに感謝することなど、決してないだろうに。


「……どこかで恥じているのでしょう」

「恥? 何を」

「放棄したことを。己の義務から逃げなかったのだと思うと、称賛せずにはいられませんわ。たとえ嫌いでも」


 言葉の大半は意味不明だったろう。しかし「たとえ嫌いでも」と付け加えたところで、ミセス・トラックリーの瞳に深い部分での理解が宿った。この人とは馬が合いそうだと、思いがけず、このグラン・リオンでの滞在が楽しみになった。



 だがわたしの期待はいつでも裏切られる。


 グラン・リオンきっての最高級ホテルだと言って連れて来られた、その優雅な建物に入り、部屋に通されてすぐだ。


「ミス・リントン!」

「ランサム中尉!? どうなさったの、まさか」


 今度は開き直って豪華な部屋を楽しもうと、ウエルカムシャンパンの栓を抜いたら客が飛び込んできた。わたしに付き添っていた武官は、それが同僚だったのですぐに通したのだろう。


「殿下に何かあったの?」

「は、い」

「本当に!?」


 指先まで痺れたのは、どういう感情の現れだったのか。今は深く考えない。

 しかし、走ってとんで来たようなランサム中尉のもたらす報せはというと。


「違います、何かあったわけじゃありません、レオポルド様は無事ですいたって元気です」

「なんだそうなの」

「そうではなくて、ミス・リントン。あなたが召喚されているんですよ、殿下に」


 一瞬、おとぎ話に出てくる使い魔の気分になったが、そういうことではなかった。ついでに、『殿下』もあの殿下ではなかった。


「今すぐご用意を、ミス・リントン。王妃様――グラン・リオンの王妃様、ミルドレット殿下がお呼びです」




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