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一応の完結はいたしますが中盤から駆け足になりますのでご了承ください。

ホームルームが終わり、帰宅する生徒たち。

始業式終りのために日は高くまだ12時にもなっていない。

窓から外を眺めると1年生をクラブに勧誘する姿が見える。

駆守賭 朱輝(くすと しゅうき)はそれを見てため息をつく。

彼は今年入学したばかりの1年生である。

そのためもちろん部活などには入っていない。


(部活なんて入ってもめんどくさいだけだしなぁ~)


机の上に顎をつけながらそう考えた。

彼は特になにも目標もなく、何となく高校に進学した。

夢もなにもない彼は部活で汗水を流したり。

絵を描き、文を書きの文芸活動をする気もない。

ぼーっとなにもしていないのが一番なのである。


「朱輝。なにをうつ伏せになっているんだい?」

「めんどくさいなぁって、思ってさ」

「部活の勧誘かい? したくないなら無視して帰ればいいんだよ」


幼馴染である海東 正宗(かいとう まさむね)は顎に手を当てながら外の様子を見る。

それを見てフッと笑う。


「しかし、現実にあんな勧誘の嵐なんて実在するんだね」

「まぁ、学校によるんじゃないかね――いつ頃終わるのかね」

「何も考えずに特攻すれば外に出れるんじゃないかな?」

「――当分無理ってわけね」


目をつむって何も考えないようにする。

それを見て正宗は手を広げやれやれと首を振る。


「やれやれ、ぐっすりってわけかい? あの勧誘がなくなるまでどれくらいの時間がかかると思っているんだい?」

「……さぁ」

「はぁ~やれやれ。まったく――」

「正宗~まだ教室にいるっすか~」

「ん? 薙扨か」


教室の入り口に身長の高いスタイルのいい女性が立っている。

正宗を見つけるとタッと駆け寄ってくる。

そして正宗の腕に抱きつく。

でかい胸が腕に押し付けられている。


「なにやってるっすか。早く帰るっすよ」

「いや、朱輝がね――」

「ん? あれ、何で寝てるっすか?」

「……面倒くさいから帰るなら先に帰ってくれ」


眠ろうとしている彼をじっともう一人の幼馴染である杖乃 薙扨(じょうの なぎさ)は覗く。

そして何かを理解すると正宗の手を引っ張る。


「こうなったらどうにもならないっすよ。さっさと帰るっすよ」

「幼馴染としてそれはボクにも理解できるんだが――」

「ほっといて行けよ。バカップル」

「――はぁ。帰ろうか、薙扨」

「しゃーないっすね。んじゃお先っす~」


そういうと幼馴染二人は教室を後にした。


「……」


二人が教室を後にするとフンスと鼻息を立てる。

そして教室には彼以外誰もいなくなる。

彼はふと二人のことを考えた。

二人とは幼稚園の時からの付き合いである。

いつも一緒だった。

いろんな所にも行った。

そんなある時に二人が恋人同士になった。

だからといって何も変わることはなかった。

羨ましいとも嫉妬したこともなかった。


(おれってやっぱおかしいのかねぇ……)


誰かを好きになるということをしたことがない。

というか欲情したこともない。

正宗が時折そういう雑誌を持ってきたりしても何も思わないし、薙扨が水着姿になろうとも何にも思わなかった。

別に男が好きなわけでもない。

そんなことはあってはならない。


(普通じゃ――な――いのか――な……)


■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■


「――んあ?」


夕日が差し込んでくる教室。

教室にはだれもおらず、扉も閉まっている。

そっと窓から外を見るとあんなにいた勧誘の大群は姿も形もない。


「昼飯も食わないで昼が過ぎちまったか……」


そう呟きながら立ち上がり、椅子を机の下に直す。

頭がグラっとするので頭に手を当てる。


(立ちくらみってのはいつになってもいやだわ……)


頭に当てていた手で机の横にかけていたカバンをとる。

ぶんぶんと頭を振りながら教壇にある机へと向かっていく。

そして机の上に置かれたこの教室の鍵をとり、扉へと向かっていく。

ガラガラガラっと扉を開け外に出るとそこには誰の姿もなかった。

そして扉を閉め、鍵をガチャンと閉める。


(職員室は向こうか……)


そして職員室に向かって空いていく。

彼のクラスである1-1組は2階にあり、職員室は1階にある。

そして鼻歌を歌いながらトコトコと歩き、階段に差し掛かり曲がろうとする。


「わきやっ!?」

「うおっ!?」


何かにぶつかってしまう。

彼は驚いた表情で顔を左右に振る。

自分が階段に向かおうとしたときには人も物も見えなかったのである。

さらに今左右を見ても誰の姿もないのである。


「いったい――」

「うう、いたたたた――」

「えっ?」


下から声が聞こえる。

彼の脳内には「見下~げてごらん」という声が響き渡る。

その響き渡る声に従って下を向く。


「ウエッ!?」


そこには小学5年生程の身長の女性が頭を押さえていた。

それを見たとき彼は――


(何だこの胸のドキドキは!?)


何か不思議な感覚に陥っていた。


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