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プロローグ
【プロローグ】
「(ああ、なんて日だ。)」
崩れるビル、遥か上空から落ちてくる瓦礫、地上には人影は無く、只々見えない何がが上空でビルを破壊していた。
「おー、今回はでかいな。」
突風とともに聞こえた声は気が抜けているように感じた。
「ちゃちゃっと終わらせちゃいますかーっと…あれ?」
その声とともに綺麗に切れるビル群、しかし声の主は崩れゆくビルの中へと入っていった。
「もう、ダメだ…。」
膝に黒い猫を乗せた少女は自分の上に降ってきた瓦礫を見て涙を流した。
手の甲に落ちた涙を黒猫が舐めそして一声鳴いた。その瞬間落ちてくるはずの瓦礫が粉々に砕け散った。驚く少女の膝には黒猫はおらず、少女だけが座っていた。
「あ、もう終わってたか。」
気の抜けた声の主は少女を見るなり何処かへと電話をかけ始めた。そして困惑気味の少女の手をとると、まだ降り注ぐ瓦礫を躱し、開けた場所へと出てきた。
「ちょっと待っててねー。」
いつの間にか電話を終えていた声の主は少女にそう言うとまだ崩れているビル群へと向かって行った。
「…帰りたい。」
少女の悲痛な声は爆発音によってかき消された。