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恋愛症候群  作者: 真殿悠
第一章
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自覚症状

「これで私達友達同士だね! あ、仲間って言った方いいかな」


人間誰しも心のなかに天使と悪魔が住んでいる。

天使と悪魔はそれぞれが、正しい方間違った方へと人を導く。

どちらに傾くかはその人次第。

天使の福音を聞き立派な人間になるも、悪魔の囁きに流され堕落していくも、全ては自分が決めることだ。


というわけで今回勝ったのは悪魔さんチームでしたーパチパチパチ。

悪魔さんチームにはなんと賞品として、「仮初めの友情ごっこ」をプレゼントいたしまーす!


頭の中で、誰ともしれないテレビの司会者が喋っている。

全くこの脳内司会者ときたら、憎らしいぐらい的確に状況を皮肉ってくれるじゃないか。

何が仮初めの友情ごっこだよ。

ああ、その通りだ。

今の俺は、相手の勘違いにつけこむ詐欺師のようなものだ。

むしろ詐欺師そのものと言っても過言じゃない。

ただ仲良くなろうってんじゃなく、余計な下心がついている分なおのことたちが悪い。

もっと救いようがないのは、それを自分で気付いていながらそのままにしている辺りか。

本当に救いようがない。


小さい頃からたまにネイティブに間違われることはあった。

たまにいるだろ? 生粋の日本人なのに何故かやけに彫りの深い、外人みたいな顔をしている奴とか。

きっと俺もそんな枠の一人なのだろう。

それとも未だ遺伝子操作で制御しきれていない先祖返りって奴なのか。

とにかく、俺がネイティブっぽい顔をしたデザイナーズチルドレンだというのは一つの事実だ。

それが原因で軽いいじめのようなものも少しはあった。

その都度岸や小学校で仲の良かった友人が助けてくれた。

俺が然程いじめを気にしなかった、という点も幸いしたのだろう。

本格的ないじめに発展することはなかった。


それに、あくまで俺の容姿は「ネイティブっぽい」だけであり、「ネイティブそのもの」では決してない。

ちゃんと説明したら大抵の人はわかってくれたし、初見でデザイナーズチルドレンだとわかってくれる人も少なからずいた。

今回だって、話せば四条院もきっとわかってくれるだろう。

もしかしたらそのちょっとした勘違いを話題にすることで、彼女との距離も縮めることができるかもしれない。

それは今の状態なんかよりも遥かに健全で、遥かに誠実だ。

けれど、俺はその選択肢を選ばなかった。

この半ば盲目的な信頼が心地よくて、それを失うのが怖くて、選べなかった。



「しっかしほんと参っちゃうよねー。この街ってそんなに小さいわけじゃないのに、全然ネイティブがいないんだもの」

「仕方ないさ。時代の流れって奴」

「このままネイティブもいなくなっちゃうのかねー」

「確か、去年遂に生まれてくる赤ちゃんのネイティブが、1%を割ったんだって」

「あ、そうなんだ。そうだよねえ」


俺達が生まれた頃は5%はいた気がする。

実際ネイティブからデザイナーズチャイルドを生む事例はあっても、デザイナーズチルドレンがネイティブを生むことはまずない。

お陰でネイティブは減り続ける一方だ。

だってわざわざネイティブとして生もうなんて、理由がないもの。

今じゃ赤ちゃんのネイティブなんて天然記念物扱いだ。


「でもさ四条院はそんな人見知り、ってのとはちょっと違うけど、そんなにデザインドが苦手なのによく、今までやってこれたな」

「あ、華でいいよ。四条院って長いでしょ」

「ん、わかった」

「でもね、ほんとそれ。自分でも奇跡だと思ってる」

「転校する前は仲良いネイティブの子とかいた?」

「うん、一人すっごくいい子がいてさ。その子はネイティブでもデザインドでも全然別け隔てなく接してて、私はその子の後ろに隠れてばっかだった」

「仲良かったんだな」

「うん、もしかしたら私からの一方通行だったかもしれないけどね」

「そうなのかな」

「わかんないや。私もその子がいるのが当たり前すぎて、こっちに来てからすっごいびっくりしたもの。あんなにあの子に依存してたんだーって。こんな急に転校が決まったんじゃなきゃ、もっとちゃんとしたお別れとか、できてたのかな」


愛おしむような表情を見せたかと思えば、一転陰りのある顔へと変わる。

突然の転校。

俺は幸いにもそんな経験はないけれど、きっとすごく寂しいことだと思う。

今までずっと仲が良かった相手と離れ離れになる。

それは絶対に辛いことだ。

本人は自信がなさそうだけど、きっとそいつと華は本当の親友同士だったんだろう。

だって、そんな強い想いが通じない相手なら、そうやって後ろに隠れることも許されなかったはずだから。

順調(?)に仲良くなっていってます


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