表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
恋愛症候群  作者: 真殿悠
第二章
16/67

思考伝播



さてこれからの方針を考えていこう。


第一目標は俺がデザイナーズチルドレンだと華に明かすこと。

このために友達をつくろうとしたりデザイナーズチルドレンへの理解を深めようとしたり、進みは順調だ。

一真に対する反応を見る限り、今この場で明かしても問題はなさそうに思えるが、途中で当初の計画を変更していい結果が出たなんて話はあまり聞かない。

念には念を入れて、最初の目標通りあと一人、あと一人の友達を作る。

きっとそれからでも遅くはない。


つまり第一目標を達成するにはそのもう一人を連れてこなきゃいけないわけだが、これがまた難しい。

まず必要条件として、ネイティブに対する偏見を持たないデザイナーズチルドレンであること。これが第一だ。

これはそう難しくない。

小学校からずっと「ネイティブとデザイナーズチルドレン、両方仲良くしましょー」と教育されてきたわけだから、ネイティブが嫌いなやつは多くはない。

勿論親の教育だったり個人的な経験だったりでどうにもネイティブと合わない奴もいるだろうが、そんな奴らはわざわざ選んでこない限りそう当たるものじゃない。

第二の条件は俺か一真、もしくはその両方と友人であること。

これもまあ当然っちゃ当然だ。そうでないと紹介もできないしな。

しかしこれがとても難しい、というより現状不可能と言っていい。

何せ共通の友人がいない上に、二人とも友達が少ないから。

いや、言い訳をさせてもらうと、他のクラスにはいる。いるにはいる。

けれどクラス替えでなんとなく疎遠になってしまっているし、まずもって今の華を他のクラスのやつに紹介するってことが高難易度だ。

クラスが違えば疎遠になる、っていうのは俺らが身を持って感じているわけだしな。

というわけで第三条件としては同じクラスの誰か。

この条件を満たす人間となると…………

まあ、おいおい頑張るとしよう。



二つ目の目標は恋愛症候群の治療。

ここに今一番大きく立ちはだかる障害は親になんて説明すればいいかということ。

現状大したことはしていないが、生活環境も病気に関わってくるらしく、どうしても家族の協力は不可欠と言われている。

早ければ来週にも治療を進めるため家族の了解を得たい、と担当の先生に最後通告をされてしまった。

うだうだ悩んでないでパッと言っちまえよ、なんて言われるかもしれないが、そう簡単にできればとっくのとうにやっているさ。

親を悲しませる覚悟ってのがこれほどに行動を鈍らせるものだとは思いもよらなかった。

とはいえ話をしなければいけないのもまた事実なわけで。


となると、ここは残されたもう一人の家族にお伺いを立ててからのほうが望ましい。

今日は帰ったら妹に人生相談タイムかなあ。

兄ちゃんは最悪妹の手を借りて親に打ち明けるハメになるかもしれない。

あの妹ならきっと助けてくれるだろう。

そんな情けないことを考える兄なのであった。



とまあこの二つが現状どうにかしなきゃいけない課題だ。

目標と書けば聞こえはいいが、実際のところ自分が抱え込んだ負債を返済しているに過ぎない。

病気を負債なんて言っちゃうとそれはそれで釈然としないけど、華についた嘘については俺が作った借金に間違いないので、こればっかりは俺の手でどうにかしなきゃいけない。

病気だって誰かがどうにかしてくれるわけじゃないから、結局どっちも自分でなんとかしなければいけないことは揺るぎない事実だ。

自分のしたことは自分で始末する。

我が沖家の教育方針の一つだったりする。



色々と整理して考えた結果、優先順位的には親への説明が急務という結論になった。

何せこればかりは来週までに差し迫っているわけだし。

どうなるかなあ。

納得してくれない、ということはないと思う。

二人とも医者なんだから、恋愛症候群が俺一人の意志でどうにかなるものじゃないってのはきっと理解してくれる。

そこから先がわからない。

思春期の息子に対して、その親が「息子が何考えてるかわからない」と叫ぶのはドラマやアニメで見たことがあるが、その逆のパターンは聞いたことがない。

考えてみればわからないのが当然なのだが、だから敢えて問題にするほどでもない、ということだろうか。

ならばそれだけしっかり考えていることが何よりも親孝行なのだからこれ以上難しく考えない方がいい、なるようになる、という悪魔の囁きにも似た言い訳が頭に浮かぶ。

そういえば華と初めて会話した時も悪魔の囁きに身を委ねてしまったが、今回はどうもその対抗馬たる天使が出てくる気配がない。

結局俺がこれ以上妙案を思いつくことなどないのだろう。

妹に相談してから、だな。


下手の考え休むに似たり。

これも沖家の家訓みたいなものだ。

行動しながら考えろ、ということらしい。



そうやって俺の考えは軽くまとまりつつあったのだが、また予期せぬ要素が事態をまた更に泥沼へと加速させていくことになる。

一難去ってまた一難、ぶっちゃけありえないでしょ。


それが起こったのは昼休み。

せっかくだから三人でメシでも食おうと提案しようとしたタイミングの出来事だった。


「ねえ沖君、ちょっといいかな」


そう声をかけてきたのは橘結衣。

うちのクラスでも相当な問題児だった。


家族思いなはずなのに裏目に出ちゃってる感じですね

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ