紫の結び
『源氏物語』
あまりにも有名なタイトル。
一定年齢以上の日本人で知らない人はいないんじゃないでしょうか。
紫式部作。日本最古の長編小説、古典の名作ですよね。
文章、物語、登場人物、どれをとっても情緒に溢れて繊細かつ優美で秀逸な作品です。
でも、私、光源氏のことが嫌いでした。
イケメンで教養があってセンスが良くて身分が高くて…………けど、女にだらしなさ過ぎ。
いや、そういう時代だって言われればそれまでなんですけども。
紫の上びいきな私としては、特に「若紫」とか「葵」とかを読むと、はらわた煮えくり返ります。
ちょっと、これ!
現代日本だったら完全アウトな犯罪行為なんですが!
(ぷんすか!)
最近、好きな作家さんが新訳を出されたので、再トライしてみました。
荻原規子さん。
この方は、アニメ化もされた『西の善き魔女』や『RDG』、勾玉シリーズ等の作品を書かれています。
ルーン好きでした、私…。
『紫の結び』全3巻。
源氏物語54帖のうち本筋部分だけを抜粋されて、和歌は分かりやすく意訳にし、光源氏の生涯を時間軸に沿って現代語訳でスピーディーに追った作品になっています。
源氏物語の長さと難解さに途中で挫折した人がリトライするにはもってこいです。
改めて読み返してみると、描かれている風景描写の雅さに心を打たれます。
荻原規子さんの筆力もさることながら、原作自体がやはり素晴らしいのです。
源氏を取り巻く女性たちの境遇も事細かに描かれ、男女の本質的な関係は千年経っても変わらないのだなぁ、と想いを馳せずにはいられません。
現代とは異なる恋愛模様、何事にも風情を尊ぶ貴族のしきたり、当時の風習。
政や入内に纏わる権謀術数も、興味深いですし。
数年ぶりに触れた源氏物語でしたが、とても楽しく読むことが出来ました。
昔読んだ時は嫌な女性だとしか思っていなかった葵の上も、六条御息所も、見方が大分変わりましたし。藤壺の宮や、明石の君の、心情もより分かりやすくなっている気がします。
でも。
でもね。やっぱり私、光源氏本人だけは好きになれない、かも……。




