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対外的シリーズ

対外的にイイ男の仕事仲間

作者: 嵯峨愁

今撮影中のドラマ仲間との飲み屋での会話です。

「あたしさあ・・・・あんたの女だけは勘弁だわ」

 唐突に呟いたのは現在幸村とドラマで共演している主演女優、ユイカだった。

 男の理想を押し込めた様なコンパクトな身体にはこれでもかとバランス良く実っている胸にきゅっと括れた腰。

 足はすんなりと白くて滑らかな感触が目に見えるほど。

 幸村とは他の作品で共演した事もあって、そこそこ仲の良い芸能界仲間だ。

 ふんわりとカールした髪型でドラマに出演しているが、本来の髪型はストレートだ。

 その髪の毛を鬱陶しそうに掻き上げながら、先の言葉を吐いた。

「ユイカ先輩、幸村さんの事嫌いなんですか?」

 アイドル上がりだが、ちゃっかりいつの間にか演技の実力も身に付けた園生がジンジャーエールを片手に首を傾げている。

 彼女も今期のドラマで幸村の妹役として出演している。

「いや、嫌いって言うよりも、恋人にしたくない」

 辛辣な意見を述べながらビールの入った中ジョッキを片手にぐいぐいと飲む姿はとてもじゃないが、今回のドラマの役どころではして欲しくない。

 ちなみに今回の役は甘い感じで可愛いどじっ子な仕事が出来ないOLの役だ。

 出来ないOLが出来る直属の上司と甘い恋愛に発展する話だ。

「でも世間的にはゆっきーはかっけーよ?」

 横から口を出したのは同じ役者仲間の里西 晴樹だ。

 この男も今回のドラマでユイカが演じているOLの同期として出演している。

 幸村の妹役の園生と付き合っている設定だった。

「顔はいいけどさー・・・・なに?幼なじみの女の子落とすのに本人には何にも言わないで周りから攻めて外堀埋めてるじゃん」

「策士ですよねぇ」

「いやいや、そのちゃんよ。よく考えてみ?自分の与り知らない所で物語が進んでるんだよ?しかも結婚という生涯一大事な話が。それを策士の一言で終わっていいのかい?」

「・・・・・いやっす。ダメっす。先輩、私が悪かったです」

 ユイカの言葉に園生がジンジャーエールを置いて頭を下げた。

 女性陣から却下された幸村は苦笑するしかない。

「いや、二人を落とそうと思ってるんじゃないし」

「断固拒否するわ!」

「ゆっきー振られ虫ー!」

「お前、黙れ」

 幸村がへらへらと笑っている里西の口の中に大きすぎて誰も手を付けていなかった若鶏の唐揚げを突っ込む。

 里西はそれをもしゃもしゃと囓る為に黙った。

 園生がそれを見てぶるりと身震いする。

「こわっ!私も大概な人を見てきましたけど・・・・こわっ!」

「・・・園生?俺は後輩は大事にする男だよ?」

 余計な事をしなければ、と付けずに言う所が酷い男だと言う事に気が付くべきである。

 しかし、その言葉を正確に読み取った園生ははい!と勢いよく姿勢を正して敬礼する。

「まー・・・・後輩教育の良くできた事で」

「ゆっひーふぁほうふぁいにふぁやふぁふぃいほ」

「お前、その唐揚げ食ってから喋れ」

 ユイカがギロっと里西を睨み付ける。

 美人が睨み付ける形相は何はなくても恐怖三倍増しだ。

 里西は黙って残りの唐揚げをもそもそ囓っている。

「いえ、幸村先輩は確かに後輩には優しいですけどもね?その優しさを彼女さんにも分けてあげるべきだと思うんです」

「園生、ジンジャーエールで酔っぱらったのか?」

「いえ!酔ってません。正論です!」

 うんうん、と頷くユイカ。

 苦笑しながら幸村は枝豆へ手を伸ばす。

「優しくって言ってもな、演技じゃばれるし」

 長年ずっと一緒にいたのだから、今更取り繕うにも無理がある。

 物心ついて十数年。

 何が好きで何が嫌いで、どう言う時にどんな反応するのか、何をしたら怒るか怒らないか、喜ぶか。

 全部見通されている。

「俺は俺のままであいつに挑まなきゃ」

「ゆっきー・・・・」

 唐揚げを食べ終われた里中が幸村をじっと見る。

 心なしか、目が潤んでいる。

「・・・・里西、気持ち悪い」

「ひどっ!!ゆっきーの男心に感動してただけなのに!」

「て言うか里西って幸村とベタベタしすぎ」

 ユイカからまでだめ出しが入った。

 園生もうんうんと頷いている。

「一説には東京の『でっかいお祭り』で里西×幸村とか幸村×里西とかそんな本が売れているらしいです。おめでとうございます」

「嬉しくない・・・・・てかそれ何?」

「掛け合わせ、と言う奴ですね。薄くて高い本らしいですよ」

「ああ・・・・・たまにいるのよね。そう言う人らって。主に乙女ロードに生息してるわよ。他にも居るけど」

 そこまで言われて幸村も何の事だか気が付き、がっくりと脱力する。

「俺、ストレートだけど・・・」

「俺だってそうだっての!と言うかうちの猫一番!」

 里中はペットの愛猫が第一で現実の女が二番目になってしまった残念な中身をしている。

 外見はこれでもかと言うぐらい男らしい外見なのだが。

「まああんたんちの猫は確かに可愛いけどもさ・・・・」

「そうですね。激ラブ過ぎますね」

 スマートフォンの待ち受けにまでなっている里西の愛猫は確かに愛らしい猫だ。

 ちなみにメスで去勢済みだ。

「でも幸村は今度からはそんな事にはならないんじゃないかしらね」

「ああ・・・・・」

 ユイカの言葉に里西が遠い目をした。

 先日の藤緒の会社での一件がネットで話題を呼んでいるのだ。

 すわ、幸村透の熱愛報道?!的な見出しで。

「藤緒ちゃんだっけ?かわいそうに・・・・」

「ああ、だから最初の言葉に戻るんですね。あんたの女はいやだーって」

 なるほど、と園生が納得する。

「ワザと、なんでしょ?あれも」

 ユイカの確信を持った言葉に、幸村は口の端だけ上げて笑う。

 ああ、やっぱりとユイカが天井を見上げる。

「ユイカ先輩?酔いが回りました?」

「違うわよ。この男の心底卑怯な手口に目眩がするだけよ」

 外堀から埋めて。

 彼女の周りの人間だけじゃない。

 関係のない全ての人間までも、幸村と彼女の関係を認めさせる様に大々的にばらした手口。

 幸村の先輩俳優を餌にして抱き込んだ彼女が信頼している友人を巻き込んだのはこの為。

「これで藤緒が手に入るなら、安い買い物だろ?」

 くっくっくと喉を鳴らして笑う姿はとてもじゃないが、今期のドラマでは見せられない。

 穏やかで優しくて、主人公のOLには甘く囁く上司役が、こんな悪役みたいな表情をさせるのは。

「離れすぎてて、状況が判らないまま藤緒を持って行かれるのは癪だしな」

「怖いけど・・・・」

「ええ、怖いです。ですけど・・・・」

「ゆっきー・・・怖くて格好いいんだけど・・・・・枝豆持ったまま凄まれても・・・」

 全員の視線が幸村の手にある、まだ手を付けられてない枝豆に注がれる。

 そこかよ、と他の観客がいれば突っ込みが入るだろうが、生憎とこの部屋は個室で、従業員も呼ばない限り来ない。

「・・・・お前ら、本っ当イイヤツラだよな・・・」

「て言うかそんなもの持ったまま格好付けるのが間違ってる」

 くそう、と脱力しながら幸村は枝豆を食べて、殻を捨てた。

里西の設定の一部はとある人をお借りしました。

あと園生はまた違う話に出てきてたのをそのまま持ってきましたがこちらにそれが浸食する事はありません。

枝豆食べた表記がなかったのはこれを書きたかったからです・・・完全にお遊び。

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