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獰猛なきつねと狩られる犬たち

俺はオルフェンスと2人で久しぶりの休日を堪能していた。

街に出かけ、服を見たり、お茶をしたりした。

幸せな一時だった。

しかしギルドからの一通の手紙で、事態は急変する。

「犬を炙りだせ」


犬とは?

我々の目的から逆算すると、犬とは魔王軍の手先という事だろう。

炙りだせ……。

しかしどうやって。


オルフェンスはベットに腰をかけ、リュートを磨いている。

俺もそうだが、オルフェンスも道具を手入れするのが好きだ。


「オルフェンス、貴族の中にいる魔王軍の手先を炙りだすとしたら、お前だったらどうする」

と俺は尋ねた。


オルフェンスはリュートをテーブルの上に置き、腕を組み考え始めた。

オルフェンスは窓ガラスに行き、窓を開け放つ。

心地よい風が室内に流れこんでくる。


「リスクがあっても構わないか」

とオルフェンスは尋ねた。


「まずアイデアだけでも聞かせくれ。聞いてから判断する」

と俺は言った。


「貴族の邸宅に、お前の秘密は知っているときつね名義で手紙を書くのはどうだ」

とオルフェンスは言った。


お前の秘密は知っているか……。

たしかに、これなら魔王軍の犬はドキッとするかもしれない。

しかしまてよ。


「誰でも秘密とか持ってやしないか?それが賄賂や汚職とかでも反応するのでは?」

と俺は尋ねた。


「それゃそうだ。じゃあ手紙はやめにしよう」

とオルフェンスは言った。


「いや……、

ちょっと待ってくれ。

文章内容を変えれば使えるんじゃないか?」

と俺は言った。


「そうか……、

じゃあ考えよう」

とオルフェンスは言った。


考えだして10分ほど経過した。


「なぁ、散歩でもしながら考えないか?」

とオルフェンスは言った。


「そうだな」

と俺とオルフェンスは散歩に出かけた。


外は風が少し冷たかった。

一見平和そうなこの国には魔王軍の犬が隠れている。

その事を知るものは、ギルドの一部と俺ら2人。そして魔王軍関係者だけだ。

特別な情報を持つ事に、少しの優越感はあったが、同時に魔王軍の侵攻を食い止めるという重責が肩にのしかかるような気がした。


「なぁオルフェンス。俺ら魔王軍の侵攻を食い止める砦みたいなものだろ。そういうプレッシャーとか重圧なんかはないか?」

と俺は尋ねた。


「きつねと一緒だから大丈夫だ」

とオルフェンスは真顔で言った。


「そんな真顔でよくそんなセリフを言えるよな」

と俺は言った。


「そうか?きつねとなら、なんでも出来そうな気がするんだが。

まぁいいか。

もし私達でも食い止める事ができなかったら、それは世界の運命だ。

仕方ないだろう」

とオルフェンスは言った。


「世界の運命か……、

そりゃそうだな。世界を本当に食い止めたいなら、俺ら以外にも、なにか方法を用意するよな」

と俺は言った。


「私はそう思う。だいたい私達2人に世界の命運を預ける事じたいが、もとからおかしいのだ。

全力は出すが、結果は世界の運命しだいだ」

とオルフェンスは言った。


すっかり肩の荷は降りた。


「……でオルフェンスなんか良いアイデアは出たか?」

と俺は尋ねた。


「あぁごめん。晩御飯なににしようか考えていた」

とオルフェンスは言った。


「実は俺も考えていた。久しぶりにクリームブリュレが食べたい」

と俺は言った。


「私も食べたい。今から行こう」

とオルフェンスは言い、急遽レストランに向かった。


レストランに到着し、クリームブリュレを注文。届くのを待っていると、となりからカップルの話す声が聞こえた。


「あれどうなったの?」

と女が尋ねる。

「近いうちに教えるからちょっとまってね」

と男は答えた。


たいした話じゃないが、オルフェンスは何かを思いついたようだ。


オルフェンスは俺の側までやってきた。

「ねぇ。こんなのはどう?◯◯さんへ。実は貴族の中で誰に魔王軍の息がかかっているかが分かりました。

近いうちに公表いたしたいと思います。ぜひ楽しみにお待ちください。

きつね って手紙を書くの」

とオルフェンスは俺の耳元で囁いた。


「それはいいかもな。でも怪しまれないか?」

と俺はオルフェンスの耳元で囁く。


「それはね。名前のところを別人の名前を書くんだ。そして間違って手紙がきた風にする。そしたらあの貴族はきつねという奴と交流があるんだな。そしてきつねって奴は魔王軍関係者の情報を知ってるってなるでしょ。無関係だったらほっておく。でも魔王軍関係者だったら?」

とオルフェンスは耳元で囁く。


俺はオルフェンスに

「最高だぜ相棒」

と言い、オルフェンスにクリームブリュレをたらふく奢り、店を出た。


それから俺はオルフェンスと一時的に離れ、家を入手した。

そしてここから、あちこちの貴族に手紙を送る。


そしてギルドに報告し刺客を捕らえた場合の相談をしたら、3人の黒ずくめの男達がやってきた。

最低限の事しか話さないが、間違いなく強い事と頼りになる事だけはわかった。

そして思った通り、刺客は現れた。


その時の黒ずくめ男達の戦い方が凄かった。

睡眠薬入りの吹き矢で攻撃をし、次に刺客の口のなかに解毒剤を含ませた布を突っ込んだ。


刺客は口の中に毒を仕込む事が多いからだ。


俺はギルドの合理的に磨きあげられた戦術に驚きを隠せなかった。


刺客はすぐさま別働隊に引き渡され、洗いざらい知っている事を吐かされた。

魔王軍の犬の正体が明らかになりだした。

どんな風に吐かされたのは聞いてはいない。

しかし黒ずくめの男達は言った。

「ギルドは拷問などしないし、利益誘導もしない。自白を強要する薬も使わない」


「それでなぜ吐く?」

と俺は聞いた。


「オルフェンスがやってる事となんら変わりないさ。人は恐怖ではなく信念で口を割る」

黒ずくめの男はそう言った。


俺は改めてオルフェンスのやっている事の異常さを知った。


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