第三話:火星の激戦
深夜の人工空間操作能力によって、神・日本火星突入部隊を乗せた潜水艦は、無事火星に到着した。潜水艦のハッチが開くと、目の前には、アストレア帝国の広大な基地が広がっていた。しかし、彼らを待ち構えていたのは、ベルーシャの命令を受けた、アストレア帝国の精鋭たちだった。
「よく来たな、神・日本の愚か者どもめ」
冷徹な声が響き渡る。そこにいたのは、ベルーシャの護衛を務める神の騎士団、そしてアストレア帝国の国防を担う四天王であった。
神の騎士団は、12名の女性からなる精鋭部隊で、団長のガンマを筆頭に、四葉に匹敵する身体能力を持つ者たちばかりだった。四天王は、ブラックとホワイト(強力な体術を操るドラゴン)、ミラ(溶岩魔法の魔女)、スカーレット(光の剣の矢の魔女)という、多様な能力を持つ強敵揃いだった。そして、彼らの背後には、火星に温存されていたアストレア帝国の多数の戦力が控えていた。
「アルファちゃんのためだ! みんな、行くぞ!」
ミカの叫びと共に、神・日本火星突入部隊は一斉に突撃した。
【結衣に救われた神々 vs. 神の騎士団】
最前線では、かつて結衣に救われた神々が、神の騎士団と激突した。彼らは、結衣への恩義と、彼女が命を落とした悲しみを胸に、死力を尽くして戦う。神の騎士団は、四葉に匹敵する身体能力を持つだけあり、その動きは素早く、攻撃は重い。神々は、それぞれの魔法と、結衣から教わった「概念定義」の応用で応戦するが、騎士団の連携と個々の能力の高さに苦戦を強いられる。
【学園の生徒や教師、ファンクラブ vs. 四天王】
学園の生徒や教師、アルファちゃんファンクラブのメンバーは、四天王と対峙した。リュウとレンは、連携してブラックとホワイトの体術に食らいつく。ミカは、アルファから教わった空間魔法の基礎を応用し、仲間を援護する。ファンクラブのメンバーは、アルファへの愛を叫びながら、それぞれの得意な方法で四天王に挑む。しかし、四天王の力は圧倒的だった。ミラの溶岩魔法が地面を焼き、スカーレットの光の矢が空を覆う。ブラックとホワイトの体術は、生徒たちの防御を容易く打ち破っていく。
【四葉 vs. ベルーシャ率いる残りの戦力】
そして、最も激しい戦いが繰り広げられていたのは、四葉とベルーシャの姉妹対決だった。四葉は「幻想を司る魔法」で、ベルーシャの攻撃をいなし、反撃を試みる。ベルーシャは、四葉の魔法をコピーし、さらに他の世界級魔法をも操る。彼女の背後には、火星に温存されていたアストレア帝国の主力部隊が控えており、四葉は圧倒的な数の差と、ベルーシャの多種多様な魔法に苦戦を強いられた。
戦闘は激化の一途を辿った。しかし、戦力の違いは明白だった。
「ぐっ……!」
結衣に救われた神々が、次々と神の騎士団に打ち倒されていく。騎士団の連携は完璧で、神々の魔法は通用しない。
「うわあああああ!」
学園の生徒や教師、ファンクラブのメンバーも、四天王の圧倒的な力に蹂躙されていく。ミラの溶岩が地面を溶かし、スカーレットの矢が容赦なく降り注ぐ。リュウもレンも、満身創痍で倒れ伏した。
そして、四葉もまた、ベルーシャと残りの戦力によって、ボコボコに袋叩きにされていた。彼女の身体は傷つき、魔法の光も弱々しい。
「くそっ……! なぜだ……!」
四葉は、地面に叩きつけられながら、ベルーシャの冷徹な瞳を見上げた。
「おねーちゃん……!」
その時、四葉の口から、無意識のうちに、幼い頃に呼んだであろう「おねーちゃん」という呼び名が漏れた。彼女の瞳からは、大粒の涙が流れ落ちる。
「おねーちゃん! なんでこんなことするの! アルファも、結衣も、みんな……みんな死んじゃったんだよ! おねーちゃん!!!」
四葉の悲痛な叫びは、ベルーシャの心の奥底に深く突き刺さった。ベルーシャの表情に、微かな動揺が走る。彼女の脳裏に、かつて娼館で救い出した少女、みゆきの姿がよぎった。
(ベルちゃん? やめて? 私の妹なんでしょ?)
ベルーシャは、ハッとした。
(そうだ……私は、みゆきを救った……。仲間を救うために戦い、そして亡くなったアルファと結衣に、私は同情心を抱いていたはずだ……)
そして、最も恐れていた感情が、彼女の心を支配する。
(自分が今、最愛の妹である四葉を殺そうとしている……。これは……まるで、いのりがみゆきを売り飛ばした時と同じではないか……?)
ベルーシャの瞳に、深い苦悩の色が宿った。彼女は、自らが最も憎むべき「いのり」と同じ過ちを犯そうとしていることに、気づいてしまったのだ。




