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☀️神バズ!~神様とJKと重すぎる愛~☀️  作者: 希望の王
第五章:吉本結衣の物語『概念の守り手』
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境界線の攻防

「お前たちの力は、もはやこの世界の『概念』そのものに影響を与えることができる。これから、お前たちは、この世界の『未来』を定義していくのだ」


四葉の言葉は、結衣と宗介の心に、新たな使命として刻み込まれた。彼らは、拓郎が開発した最新鋭の長距離転移装置で、次々と世界各地に出現する「概念の歪み」の現場へと向かっていた。彼らの目標はただ一つ、「世界の境界線の希薄化」を食い止め、異次元からの「概念」の流入を完全に阻止することだった。


ある日、治安管理局本部から緊急警報が鳴り響いた。


「緊急事態発生! エジプト、ギザの三大ピラミッド周辺に、大規模な『概念の亀裂』が出現! 現地の神々が防衛にあたっていますが、劣勢です!」


モニターには、ピラミッドの荘厳な姿が、まるで砂絵のように崩れていく映像が映し出されていた。そこから這い出てくるのは、これまでの「異次元の概念」とは異なる、さらに巨大で、より明確な意志を持ったかのような存在だった。彼らは、周囲の空間から「歴史」や「文明」といった概念を吸い取り、ピラミッドを「無形」の砂へと変質させていた。


「これは……! 『文明の根源』を狙っているのか!」


拓郎が叫んだ。彼の顔には、焦りの色が浮かんでいる。


「結衣よ! 宗介! 直ちにエジプトへ向かうのだ! 奴らは、世界の『歴史』そのものを歪めようとしておる!」


四葉の号令を受け、結衣と宗介は転移装置の中へと飛び込んだ。一瞬の浮遊感の後、彼らの目の前には、崩壊の危機に瀕したギザの三大ピラミッドが広がっていた。


「くっ……奴らは、ワレワレの『概念』を吸収しておる! このままでは、エジプトの文明が、全て消え去ってしまう!」


現地の守護神たちが、苦悶の表情で「概念の亀裂」から現れる存在と戦っていた。彼らの神力もまた、吸収されていく「概念」の影響で弱まっているようだった。


「宗介くん! 行くよ!」


結衣は、ハンドガンを構えた。彼女の全身から、白とオレンジの光が力強く迸る。宗介もまた、結衣の隣で、彼の身体から放たれる淡い水色の光を収束させていた。彼の光は、結衣の能力と共鳴し、その威力を増幅させている。


「幻想武装、概念定義コンセプト・ディフィニション! 『文明の継承』!!」


結衣は叫び、宗介と共に光の弾を放った。二人の放った光は、互いに螺旋を描きながら、巨大な「概念の亀裂」へと吸い込まれていく。光が当たった瞬間、「概念の亀裂」は激しく揺らぎ、そこから現れていた存在たちが、まるでガラスが砕けるかのように消滅していく。そして、ピラミッドの崩壊も止まり、ゆっくりと元の姿を取り戻し始めた。


「やった! 結衣、宗介!」


拓郎の安堵の声が、通信機から響く。


しかし、その安堵も束の間だった。ピラミッドの真上にある「概念の亀裂」から、突如として、圧倒的な存在感を放つ、一体の異形の神が現れた。それは、複数の目と口を持ち、その全身は、宇宙のあらゆる「未知」が凝縮されたかのような、理解不能な模様で覆われていた。その存在からは、世界のあらゆる「認識」を破壊しようとするような、おぞましい波動が放たれている。


「グォォォォ……ワレワレハ……ミチナル……コトワリ……!」


その声が響き渡ると、ピラミッド周辺の空間が歪み、現地の神々や治安管理局の隊員たちが、次々と「認識」を失い、意識を失って倒れていく。彼らは、目の前の光景を認識できなくなり、存在そのものを認識できなくなっていたのだ。


「これは……! 全ての『認識』を否定する、『無知なる真理』の概念か!?」


拓郎が絶叫した。彼の顔色は、完全に青ざめている。


「結衣! 宗介! あれは、この世界の『認識』そのものを破壊しようとしている! 迂闊に手を出せば、お前たち自身の存在も『認識不能』となるぞ!」


四葉の緊迫した警告が響く。彼女の九尾の狐の姿も、その圧倒的な「無知なる真理」の概念の前では、ひどく不安定に見えた。


(あの神は……世界の『全て』を知ることを拒絶している……? それとも、全ての『真理』を、知らないという『無知』へと変えようとしているの?)


結衣は、巨大な「無知なる真理」の神に釘付けになっていた。彼女の意識の奥底で、その神の悲痛な叫びが響き渡る。


「ワレワレハ……ミチナルユエニ……ソンスル……! リカイハ……ホロビヲ……モタラス……!」


それは、知られることを拒み、しかし、知られなければ存在できないという、矛盾した願いを持った、哀しい神の声だった。


結衣は、自身の「幻想武装」を強く握りしめた。彼女の身体から、かつてないほどの白とオレンジの光が放たれる。宗介もまた、結衣の隣で、決意の表情で光を収束させていた。彼らの絆が、今、最大の試練に直面していた。


「宗介くん……行こう!」


結衣は、宗介と共に、圧倒的な「無知なる真理」の神に向かって、一歩足を踏み出した。彼らは、この世界の「認識」を守り、新たな「真理」を定義するために、最後の戦いに挑むのだった。そして、この戦いの果てに、二人の絆が紡ぎ出す、究極の「必然」が待っていることを、彼らはまだ知る由もなかった。

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