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☀️神バズ!~神様とJKと重すぎる愛~☀️  作者: 希望の王
第三章:吉本結衣の物語『神と人の架け橋』
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交差する世界

「ワタシハ、アナタノチカラヲ、マッテイル……」


夢と現実の狭間で聞こえる声は、結衣の心に深く染み込んでいた。彼女は、もはや「概念の狭間」に囚われた者たちを恐れてはいなかった。むしろ、彼らの切実な「存在の証明」への願いを、理解しようとしていた。


その日、結衣はいつものように学校へと向かっていた。白とオレンジのロングヘアーが、朝日にきらめく。しかし、彼女の視界には、他の生徒には見えない、微細な「歪み」が、街のあちこちに現れているのが見えていた。電柱の影が少しだけ揺らいでいたり、古い建物の壁に、一瞬だけ別の時代の風景が重なったりする。それは、「概念の狭間」に囚われた者たちが、この世界に干渉しようとしている兆候だった。


学校に着くと、美咲が慌てた様子で駆け寄ってきた。


「結衣ちゃん! 大変だよ! うちの学校に、転校生が来たんだけど、なんか変なんだ!」


美咲に連れられて教室に入ると、そこには、異様な雰囲気を纏った転校生が立っていた。彼女は、まるで絵画から抜け出してきたかのような、完璧すぎる美貌の持ち主だった。しかし、その瞳には、感情が一切宿っておらず、まるでガラス玉のようだった。そして何よりも、彼女の顔の輪郭が、微かに歪んで見えた。結衣の「概念定義」能力が、その存在の「曖昧さ」を感知していた。


「皆、紹介します。今日から皆さんのクラスメイトとなる、カガミ・ユイさんです」


担任教師が紹介すると、転校生はゆっくりと一礼した。その仕草は、まるで人形のように滑らかで、人間味がなかった。


「カガミ……ユイ?」


結衣は、その名前に既視感を覚えた。どこかで聞いたような……。その時、彼女の意識の奥底で、あの「声」が、はっきりと響いた。


「ワタシハ、カガミノナカニ、イル……」


結衣はハッと顔を上げた。この転校生は、「概念の狭間」に囚われた者の一人だ。しかも、「ユイ」という名前。自分と同じ名前。


放課後、結衣はカガミ・ユイの様子を観察していた。彼女は、誰とも話さず、ただ窓の外をぼんやりと眺めている。その瞳には、何も映っていないように見えた。


(彼女は、どんな『概念』の狭間にいるんだろう……?)


結衣は、意を決してカガミ・ユイに近づいた。


「ねぇ、カガミさん。私、吉本結衣っていうの。よろしくね」


結衣が話しかけると、カガミ・ユイはゆっくりと結衣に顔を向けた。その無機質な瞳が、結衣を真っ直ぐに見つめる。


「……吉本……結衣……。アナタハ、ワタシヲ……ミエルノカ……?」


カガミ・ユイの声は、まるで機械音声のように感情がなく、しかし、どこか微かな「戸惑い」を含んでいるように聞こえた。


「見えるよ。あなた、少し……歪んでる」


結衣が正直に答えると、カガミ・ユイの瞳に、ほんのわずかな感情の光が宿ったように見えた。そして、彼女の周囲の空間が、ごく微かに揺らいだ。


その時、結衣のスマホが震えた。拓郎からの緊急メッセージだった。


『結衣! 緊急事態だ! 治安管理局の観測網が、全国各地で大規模な「概念の歪み」を検知した! どうやら、新たな「概念の狭間」の存在が、一斉にこの世界に現れようとしているようだ!』


メッセージを読んだ結衣は、カガミ・ユイの顔を見た。彼女は、無機質な表情のまま、結衣を見つめている。


(彼女は、ただ一人で現れたんじゃない……。彼女たちは、仲間を呼び寄せているんだ……!)


結衣は、自分の「概念定義」能力が、彼女たちをこの世界へと引き寄せているという事実を再認識した。そして、この「歪み」の根本的な解決には、彼らをただ消滅させるだけでは足りないことも理解していた。


「ねぇ、カガミさん。あなたたちは、一体、何を求めているの?」


結衣が尋ねると、カガミ・ユイの顔の歪みが、さらに大きくなった。そして、彼女の口元が、ゆっくりと、しかし確かな形で動いた。


「……ワタシタチハ……『存在』ヲ……ノゾム……」


その声は、かつて結衣の夢に現れた「無名の概念」たちの、切実な願いそのものだった。


結衣は、強く決意した。この「概念の狭間」に囚われた者たちを救い、神と人、そして忘れ去られた概念が共存できる、新たな世界の「定義」を、自分が創り出すのだと。

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