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☀️神バズ!~神様とJKと重すぎる愛~☀️  作者: 希望の王
☘神宮寺四葉の物語☘ 再婚
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第21話:都市伝説の真実

たくみが医学部の友人たちと学食で昼食をとっていると、最近話題の都市伝説について話していた。


「なあ、知ってるか? 深夜に学校の屋上に行くと、願いが叶うって噂」ケンタが目を輝かせて言った。


「えー、それって本当なの? 誰か試した人いる?」ユキが興味津々だ。


「俺の知り合いが、彼女できたって言ってたぞ! でも、その代わりに、なんか妙に体が冷えるようになったって……」


ケンタがそう言うと、ユキは顔をしかめた。


「うわ、怖いんですけど。やっぱりそういうのって、代償があるんだね」


たくみは、その話を聞いて、以前のSNSの都市伝説と似たものを感じた。きっと、これも神霊の仕業だろう。しかし、今回は「代償」という言葉が気になった。


「ケンタ、その都市伝説、あまり深入りしない方がいいんじゃないか? 体が冷えるって、尋常じゃないだろ」


たくみが忠告するが、ケンタは聞く耳を持たない。


「大丈夫だって! 願いが叶うなら、ちょっとくらい冷えても我慢できるって!」


その日の夜、屋敷に戻ったたくみは、四葉にその都市伝説について話した。


「四葉さん、また変な都市伝説が流行ってるんです。今度は、学校の屋上に行くと願いが叶うって。でも、体が冷えるっていう代償があるみたいで……」


四葉は、静かにたくみの話を聞いた後、言った。


「なるほど……。それは、小さな『氷の神霊』の仕業ね。彼は、人間の『熱情』に強く惹かれるのよ。そして、その熱情と引き換えに、願いを叶える力を貸してくれる。だが、引き換えに、その熱情を吸い取ってしまうから、体が冷えるのよ」


「熱情を吸い取る……。それって、大丈夫なんですか? 体だけでなく、心まで冷え切っちゃったりしないんですか?」


たくみは心配になった。熱情を失えば、人間は何もできなくなる。


「ええ。このままでは、その神霊も、そして願いを叶えた人間も、どちらも満たされない結果になるわ。神霊は、熱情を吸い取ることで力を得るけれど、それは彼本来の姿ではない。純粋な願いだけを叶える、本来の力を取り戻してあげる必要があるわ」


四葉はそう言うと、たくみに一つの案を提示した。それは、その神霊に「純粋な情熱」を捧げることだった。


「純粋な情熱……ですか?」


「ええ。例えば、音楽を愛する人の情熱、絵を描く人の情熱。そういった、見返りを求めない、純粋な創作意欲こそが、彼を癒す力になるわ」


翌日、たくみは、音楽サークルに所属している友人、アキラに協力を頼んだ。アキラは、オリジナル曲を制作中で、日夜、音楽に情熱を注いでいる青年だ。


「アキラ、悪いんだけど、今夜、学校の屋上で、君の作った歌を聴かせてほしいんだ」


「え? 屋上で? なんでまた?」アキラは訝しげに尋ねた。


たくみは、都市伝説のことと、神霊の存在を説明した。最初は信じなかったアキラだが、たくみの真剣な様子と、四葉の九尾の力の存在を感じ取り、協力してくれることになった。


その夜、たくみと四葉、そしてアキラは、学校の屋上へと忍び込んだ。月明かりの下、アキラはギターを構え、自作の歌を歌い始めた。それは、彼の音楽への純粋な情熱が込められた、力強く、そして美しい歌だった。


歌声が響き渡る中、屋上の空間が揺らぎ始めた。冷たい風が吹き荒れ、あたりには氷の結晶が舞い散る。やがて、氷の結晶が集まり、半透明の、小さな氷の神霊が姿を現した。神霊は、アキラの歌声に、まるで吸い寄せられるかのように、ゆっくりと近づいてくる。


「これが……氷の神霊……」


たくみは、その神々しい姿に息を呑んだ。神霊は、アキラの歌声を聞きながら、その全身から、吸い取った「熱情」を、まるで霧のように吐き出し始めた。吐き出された熱情は、温かい光となって、屋上を照らす。


「彼は、アキラの純粋な情熱に触れて、本来の姿を取り戻し始めているわ。負の感情ではなく、純粋な喜びの感情で満たされれば、彼は、人々の願いを、正しい形で叶えることができるようになる」


四葉が静かに言った。たくみは、九尾の力を持つ四葉でなければ、このような神霊の真意を理解することはできなかっただろうと感じた。


アキラが歌い終えると、氷の神霊は、アキラの足元にそっと降り立った。そして、アキラのギターに、手のひらサイズの、美しい氷の結晶を一つ残した。それは、神霊が、アキラの純粋な情熱に感謝する証だった。


「ありがとう……。我は、真の熱情を知った……。これからは、純粋な願いだけを叶えよう……」


神霊の声が、屋上に響き渡る。やがて、神霊は、光の粒となって空へと昇っていった。屋上を覆っていた冷たい空気も消え去り、澄み切った夜空が広がっていた。


「わあ、ギターに氷の結晶が……! これ、本物?」アキラが驚いて結晶を手に取った。


「ええ。それは、神霊からの感謝の証よ。あなたの情熱が、彼を救ったのよ」四葉が優しく言った。


翌日。ケンタが、たくみに慌てて話しかけてきた。


「なあ、たくみ! すごいぞ! あの都市伝説、なんか『願いを叶えるけど、代償はない神様』になったらしい! みんな、喜んでるぜ!」


たくみは、その報告に安堵した。四葉の九尾の力が、都市伝説の背後に潜む神霊を癒し、その性質を変えることができたのだ。


「四葉さん、ありがとうございました。これで、みんな安心して願いを叶えられますね」


たくみが言うと、四葉は優しく微笑んだ。


「ええ。神々も、人々と共に成長していくものよ。大切なのは、互いに理解し、尊重し合うことね」


たくみは、四葉と共に、現代に潜む神秘を解き明かし、人々と神々、双方にとってより良い世界を築いていくことに、深い喜びを感じていた。


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