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☀️神バズ!~神様とJKと重すぎる愛~☀️  作者: 希望の王
第一章:吉本拓朗の物語『嫁が神の国の盟主で、しかも、愛が重すぎるんだが!?』
18/210

18話:バズーカと、盟主の怒り

拓郎は、怒りに燃える瞳でタコの神を見据え、全速力で砂浜を駆けていく。その細い腕にどれほどの力があるのか、彼は全く考えていなかった。ただ、四葉を、そして捕らえられた女性たちを救う一心だった。


「四葉! バズーカを! バズーカを出してください!」


拓郎は、触手に絡め取られた四葉に向かって叫んだ。彼の頭脳は、今、神の力と兵器の融合という、彼の最大の野望を叫んでいた。


四葉は、苦悶の表情のまま、拓郎の言葉に反応した。


「た、たわけが! 子供が武器なんぞ使って良いわけなかろうが!」


その言葉に、拓郎はイラ立ちを隠せない。


「こんな時に、何を言ってるんですか! 四葉だって! 子供だろうが!」


拓郎の反論に、四葉の表情がピクリと動いた。そして、触手に絡め取られながらも、妙に落ち着いた声で、しかしどこか誇らしげに言った。


「わしゃー10万と3000歳じゃがなー」


その瞬間、真夏のビーチに、嵐の前の静けさのような沈黙が訪れた。


海いた人々も、捕らえられた女性たちも、そしてタコの神でさえも、一瞬にして動きを止めた。誰も、声を発さなかった。だが、その場にいた者全員が、心の奥底で同じ言葉を思った。


『ババァじゃん』


しかし、その沈黙を破ったのは、拘束した女性たちの水着を剥ぎ、触手で絡めとっていた張本人、タコの神だった。彼は、その言葉が持つ破壊力に気づかず、無邪気な声で言ってしまった。


「ば……ばあさん」


その瞬間。


四葉の体から、先ほどとは比べ物にならない、おぞましいほどの赤いオーラが放たれ始めた。それは、怒り、純粋な殺意、そして何よりも、女性としての尊厳を侮辱されたが故の、底知れない怨嗟の塊だった。空気がビリビリと震え、砂浜の砂が微かに舞い上がる。皆、そのただならぬ、地獄の業火のような空気に、本能的な恐怖を感じ取っていた。


四葉は、拓郎に向かって、その瞳を真っ直ぐに向けた。その目は、もはや愛に盲目な少女のそれではなく、全てを焼き尽くす炎のようだった。


「ほれ……」


ゴトン、という鈍い音と共に、拓郎の足元に、まるで何もない空間から転がり出たかのように、見慣れた形状のバールのようなもの……ではなく、真新しいバズーカ砲が無造作に転がった。


「えっ!?」


拓郎は、自分の言葉が通じたことにも驚いたが、そのあまりにも軽々しい具現化に、さらに目を見開いた。


四葉は、ニヤリと口の端を吊り上げた。その笑顔は、拓郎にとって、今までで一番恐ろしいものだった。


「おい……拓郎よ。夫なら、わかるよな?」


拓郎は、その言葉に反射的に答えていた。


「は、はい!」


拓郎は、無我夢中でバズーカを拾い上げた。その冷たい感触が、彼の手にずしりと重くのしかかる。彼は震える手で、タコの神へと照準を合わせた。


タコの神は、四葉の放つオーラと、拓郎が構えたバズーカに、恐怖で触手を震わせた。


「ま、待て。待て! 待てぇ!! ガキ!? ほんの冗談だったんだよぉ。い、今解放するからさぁ?」


タコの神は、必死に命乞いをする。しかし、四葉の冷酷な指示が、その懇願を打ち砕いた。


「やれ……」


その短い一言に、拓郎は逆らえなかった。


「は、はい……」


拓郎の心には、抗えない、絶対的な命令が響いていた。彼の指が、まるで意思を持ったかのように、軽く引き金を引いた。


ドォォン!!


爆音が砂浜に轟き、閃光が迸る。タコの神の醜悪な顔面、そのこめかみに、放たれた弾が正確に直撃した。魔力を吸い取る触手も、肉体も、一瞬にして霧散する。拘束されていた女性たちは、緩やかに触手から解放され、波打ち際の砂浜へと力なく落ちていった。


拓郎は、煙を上げるバズーカを握りしめたまま、呆然と立ち尽くした。彼の脳裏には、ミレイの赤い紐パンの残像と、10万3000歳という言葉、そして、タコの神が消滅した光景が、ごちゃまぜになって駆け巡っていた。


挿絵(By みてみん)

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