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第8話:千秋の狂気と剥製の機械
港の倉庫に響く、千秋の高らかな声。その内容は、四葉もたくみも凍り付かせるものだった。
「たくみ様を剥製にして、永久にわたくしのおそばにおきますわー」
その言葉に、四葉とたくみは同時に仰天した。剥製。まだ小学生ほどの少女の口から発せられたとは思えない、あまりにも歪んだ、そして恐ろしい愛情表現に、二人は言葉を失った。
千秋は、怯える二人を一顧だにせず、傍らに控えていた老執事、士道に命じた。 「士道、手筈通りに。」
「はい、お嬢様。」 士道は恭しく一礼すると、近くにシートを被っていた巨大な物体へと歩み寄った。シートが剥がされると、姿を現したのは、まるで病院の手術台と科学実験装置が合体したような、禍々しい謎の機械だった。金属の光沢が鈍く輝き、無数のケーブルが絡み合い、冷たい雰囲気を放っている。
どうみても、ただごとじゃない。この恐ろしい機械の存在と、千秋お嬢様の尋常じゃない精神状態に、四葉の顔は青ざめた。このままじゃ、本当にたくみが剥製にされてしまう。そして、自分もただでは済まないだろう。




