第4話:都市の光と潜む闇
【場面:エル社保有の島・廃ホテル地下施設 – 夜】
キャスパーの兵士たちが、シロネとクロネに一斉に襲いかかる。彼らは、人間離れした俊敏さと力で、正確な連携攻撃を仕掛けてきた。
「くっ、速い!」
シロネは、素早い体術で兵士たちの攻撃をかわす。彼女の蹴りや拳が、兵士たちの強化された装甲に叩きつけられるが、なかなか決定打にはならない。
「お姉ちゃん、彼らの動きは、まるでアンドロイドみたい……!」
クロネは、闇魔法で兵士たちの動きを阻害しようとするが、彼らの身体から放たれる不自然な魔力が、それを弾き返してしまう。兵士たちの瞳は虚ろで、感情が一切読み取れない。
(この魔力……やっぱり、どこかで感じたことのある感覚……!)
クロネは、カプセルに閉じ込められた女性たちから伸びる黄色い光と、兵士たちの身体から放たれる魔力の関連性を感じ取っていた。
その時、吉本家からの通信が途絶え、シロネとクロネは孤立無援の状態に陥る。
「どうしよう、通信が切れたわ……!」
シロネの顔に焦りの色が浮かぶ。
「仕方ない。状況を打開するため、一旦退避よ!」
クロネは、シロネの腕を掴み、闇魔法で兵士たちの視界を奪い、その隙に奥へと逃げ込んだ。二人は、さらに深く、エル社の施設の中心へと進む。
【場面:神・日本・治安管理局本部 – 夜】
治安管理局本部では、四葉が、エル社保有の島からの報告を受け、緊急会議を開いていた。会議室のモニターには、島で起こっているおぞましい光景が映し出されている。
「これは……まさか、本当に『幻想魔法』の応用だというのか……!」
四葉の隣に座る、治安管理局幹部の一人が、青ざめた顔で呟く。
「はい。吉本家からの報告、そして拓郎の分析によれば、あの技術は、我が吉本家の『幻想魔法』を模倣し、魂をエネルギーに変換するシステムを構築したもののようです」
四葉は、苦渋の表情で説明する。
「そして、その動力源によって動かされているのが、あの『フレンダ』だというのですね……」
別の幹部が、フレンダの広告が映し出されたモニターを見つめながら、ゾッとした表情で呟く。
「はい。アレンの住民が家族のように愛するフレンダが、罪なき女性たちの魂を吸い上げて動いている。これは、神・日本の社会全体を揺るがしかねない、重大なスキャンダルです」
四葉は、強く机を叩き、決意の表情で立ち上がる。
「直ちに治安管理局の全戦力を動員し、エル社の島を制圧する! そして、エル社の社長、ビルを逮捕する!」
四葉の言葉に、幹部たちは一斉に動き出す。
しかし、一人の老練な幹部が、沈痛な面持ちで口を開いた。
「四葉様、お待ちください。エル社は、神・日本の経済に深く根ざしている大企業です。迂闊に軍を派遣すれば、国際的な経済混乱、そして、アレンの住民からの猛烈な反発を招く可能性があります。特に、フレンダはアレンの市民にとって、生活の一部と化しています。もし、その真実が暴かれれば、社会の混乱は避けられないでしょう」
「だが、この非人道的な行為を、見過ごすというのか!?」
四葉は、怒りの表情で幹部を睨みつける。
「いえ。見過ごすわけにはいきません。しかし、慎重な対応が必要です。まずは、エル社の内部情報をより深く収集し、彼らの悪行を国際社会に公表する準備を整えるべきです。そして、フレンダの真実を知った際の、アレン市民の混乱を最小限に抑えるための対策も……」
幹部の言葉は、冷徹な現実を突きつけていた。治安管理局が動けば、必ず社会は大混乱に陥る。それは、アズレウス製薬のフェミタル事件を遥かに上回る規模になる可能性があった。
四葉は、深く考え込む。彼女の脳裏には、危険な場所にいるシロネとクロネの姿が浮かんだ。彼女は、血を分けた曾孫娘たちを危険に晒すことはできない。しかし、この非道な行為を看過することもできない。
「くっ……!」
四葉は、唇を噛み締める。彼女の頭の中で、曽祖母としての感情と、治安管理局のトップとしての責任が激しくぶつかり合っていた。
「分かった……。エル社のビル社長の逮捕は、一旦保留する。だが、吉本家のアルファ、深夜、ベルーシャは、娘たちの援護に向かわせる。そして、拓郎には、エル社の内部システムへのハッキングを命じる。フレンダの動力源となっている女性たちの魂を解放するための、何らかの方法を探すのだ!」
四葉は、苦渋の決断を下した。直接介入は避け、まずは情報戦と内部からの解決を図る方針だ。しかし、シロネとクロネは、すでに敵地深くに踏み込んでいる。
【場面:エル社保有の島・廃ホテル地下施設 – 夜】
シロネとクロネは、キャスパーの兵士たちから逃れ、地下施設のさらに奥へと進んでいた。通路の壁には、奇怪な紋様が描かれ、異様な魔力の気配が充満している。
「ここ……まるで、生きてるみたいね……」
シロネが、ゾッとした表情で呟く。
「エル社の地下に、こんな場所があったなんて……」
クロネは、周囲の魔力反応を詳細に感知する。その先には、より強大な魔力の渦を感じ取っていた。
やがて、二人は巨大な扉の前に辿り着いた。扉の向こうからは、これまでで一番大きく、そしておぞましい女性たちの悲鳴と、強烈な魔力反応が漏れ聞こえてくる。
「ここが……奴らの中心部ね……」
シロネは、固く拳を握りしめる。
「いくわよ、お姉ちゃん……」
クロネは、静かに頷き、その瞳に強い光を宿らせる。二人の背後に、吉本家の紋章が、闇の中にぼんやりと浮かび上がった。
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