表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
☀️神バズ!~神様とJKと重すぎる愛~☀️  作者: 希望の王
吉本シロネと吉本クロネの物語:『吉本家の新星 :魔法の珍事と学園の影』
105/210

第三話:学園の闇と親友の涙

【場面:神鳴学園・校庭 – 昼休み】


神鳴学園の校庭。昼休み時間にもかかわらず、生徒たちの間にはどこか不穏な空気が漂っていた。先日のイシダの件以来、学園内では「急な魔力増幅」の噂が広がり、生徒たちは互いに疑心暗鬼になっている。


シロネは、そんな学園の雰囲気に心を痛めていた。


「なんだか、みんなピリピリしてるわね……」


「そりゃ、あんな薬の噂が広まれば、誰だって不安になるっしょ」


クロネは、ベンチに座りながら、いつものようにゲーム機を操作しているが、その目は時折、周囲の生徒たちへと向けられていた。


その時、近くで数人の生徒が、ヒソヒソと話しているのが聞こえてきた。


「なあ、聞いたか? ヤマモトのやつ、また成績上がったらしいぞ」


「マジかよ? あいつ、この前Aランクになったばっかりじゃん」


「やっぱ、あの薬使ってんのかな……」


「まさか。でも、あんなに急に強くなるなんて、普通じゃありえないだろ」


シロネは、その会話に顔を曇らせる。クロネは、ゲーム機をそっと閉じ、山本が友人たちと話している方へと視線を向けた。山本は、以前よりも自信に満ちた表情で笑っているが、その顔色はどこか不自然に青白い。


【場面:神鳴学園・教室 – 授業中】


魔法実践の授業。生徒たちがそれぞれ、指定された魔法を行使している。 山本が、以前は成功しなかったはずの複雑な魔法陣を、淀みなく展開していく。彼の魔力は、以前とは比べ物にならないほど増幅されており、周囲の生徒たちを驚かせた。


教師も驚きを隠せない。


「山本! 見事だ! その調子なら、次回の実力テストではSランクも夢ではないぞ!」


教師の言葉に、山本は得意げに胸を張る。だが、その直後、彼の身体が大きく揺らぎ、額から大量の汗が噴き出す。


「はぁ……はぁ……」


山本は、無理やり笑顔を作ろうとするが、その表情は苦痛に歪んでいた。シロネは心配そうに山本を見つめる。


(やっぱり、無理してる……)


クロネは、山本の魔力に、以前よりもさらに不安定で、荒々しい波動を感じ取っていた。まるで、無理やりねじ伏せられた魔力が、今にも暴発しそうな、そんな危うさだった。


【場面:神鳴学園・廊下 – 放課後】


放課後。シロネとクロネが、ユキと一緒に下校している。 ユキは、どこか浮かない表情で俯いていた。


「ユキ、どうしたの? 元気ないけど」


シロネが優しく声をかけると、ユキはハッとしたように顔を上げた。


「あ、ううん……なんでもないよ。ちょっと、疲れてるだけ」


ユキは無理に笑顔を作るが、その目は泳いでいた。クロネは、そんなユキの様子をじっと見つめていた。


「……ユキ。何か隠してること、ない?」


クロネの突然の問いかけに、ユキの顔から血の気が引く。


「な、なんのこと? クロネちゃん、急にどうしたの?」


ユキは動揺を隠そうとするが、その声は震えていた。クロネは、ユキの目を真っ直ぐに見つめる。


「最近、学園で変な噂が流れてる。急に魔法が強くなる薬のこと。あんた、何か知ってるんでしょ?」


クロネの言葉に、ユキの表情は絶望に染まる。彼女の目からは、大粒の涙が溢れ出した。


「ご、ごめんなさい……ごめんなさい、クロネちゃん……シロネちゃん……!」


ユキは、その場にしゃがみ込み、嗚咽を漏らし始めた。シロネは驚き、ユキの肩に手を置く。


「ユキ……もしかして、あなたも……!?」


ユキは、震える声で、全てを話し始めた。学園での劣等感、周囲からの嘲笑、そして、偶然手に入れてしまった「フェミタル」という薬のこと。


「私……私、どうしても、みんなに認めて欲しくて……! 魔法が使えないなんて、言われたくなくて……!」


ユキの告白に、シロネは言葉を失う。クロネは、静かにユキの背中をさする。


「……バカだね、ユキ」


クロネの言葉は、冷たく聞こえたが、その表情には、親友を心配する色が滲んでいた。


「そんな薬に頼って、どうするつもりだったの? 身体がどうなってもいいって言うの!?」


「でも……でも、これしか、私には……」


ユキは、嗚咽を漏らしながら、必死に自分の行為を正当化しようとする。その時、ユキの身体から、微かに魔力が漏れ始めた。それは、以前の彼女からは考えられないほどの、不安定で強力な魔力だった。


クロネは、その魔力に反応し、ユキの腕を掴んだ。


「ユキ、もうやめなさい! その薬は、あんたの体を蝕むだけだ!」


「嫌だ……! 嫌だ! 私は、強くなりたい……!」


ユキは、クロネの手を振り払い、その場から走り去ろうとする。しかし、その身体は既に薬の副作用で限界に達していた。


「うっ……!」


ユキの身体が大きく揺らぎ、その場に崩れ落ちる。彼女の目からは、狂気に満ちた光が宿り始めていた。


「ユキ!?」


シロネが駆け寄ろうとするが、クロネがそれを制する。


「お姉ちゃん、危ない! もう、あいつは……!」


ユキの身体から、制御不能な魔法が暴発しようとしていた。


【場面:神・日本・治安管理局本部 – 夜】


治安管理局本部。宗介と拓郎が、緊急の報告を受けていた。


「報告します! 神鳴学園の生徒、ユキ・サトウが、学園内で魔力暴走を起こしました! 現場は現在、封鎖中です!」


報告を聞き、宗介の顔が険しくなる。


「やはり、学園にもフェミタルが……! 拓郎、急いで現場へ向かうぞ!」


「はい!」


二人は、急いで現場へと向かう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ