第8話「文学少女、英語教師を詩で黙らせてる」
詩音先輩、ついに英語の授業でも“詩の力”を発揮!
マリコ先生との“英語詩デュエル”は、静かな迫力に満ちていました。
教室という戦場で、またひとつ言葉が舞う……。
ある日、こよりたちのクラスにやってきた英語の新任教師、マリコ先生。
ハキハキとした口調と明るい笑顔が印象的な、“できる女”タイプの先生である。
「授業では英語をなるべく使っていきます。英語は言葉のパワーですからね!」
その発言に、ひときわ反応した生徒が一人――そう、詩音先輩だった。
「言葉のパワー……ですか。それは、詩にも通じますね」
詩音先輩は、真剣なまなざしで立ち上がった。
「え、今の反応フラグっぽくない!? 詩音先輩、授業にも参戦する気!?」
「まさか……いや、でも、ありえる……」
そして英語の授業中、マリコ先生が黒板にこう書いた。
“Words can move the world.”
「いい言葉ですね」と言ったマリコ先生に、
詩音先輩が、静かに立ち上がって答える。
「その通り。ですが、言葉は“世界”だけでなく、“心”も動かすものです」
そう言って、突然英語で詩を朗読し始めた。
“A breeze is not just a breeze.
It is a whisper of memories
carried from someone’s yesterday.”
教室が、静まり返る。
「……詩音先輩、英語詩、さらっと出してきた!?」
「発音キレイ! なにげに本格派!!」
「いや待って、マリコ先生、ちょっと動揺してる!!」
先生は慌てて反応する。
「That's… impressive. But the class needs to stay focused on grammar—」
しかし詩音先輩は止まらない。
“Grammar forms the bones,
but poetry gives the soul.”
「うわああああ! 論破しにかかってるうぅぅ!!」
「骨と魂って比喩が強すぎる!!!」
その後、マリコ先生は軽く笑いながら言った。
「Well then, Miss Shion… why don't you lead the class in a poem today?」
詩音先輩はうなずき、黒板に一行だけ書く。
“We speak not just to be heard, but to be understood.”
「なんか授業、完全に“ポエム寄り”になった……」
「英語の授業って、こんな感情こもってたっけ……?」
授業のあと、生徒の何人かはこうつぶやいた。
「なんか英語、ちょっと好きになったかも」
「英語の詩って、普通にアリかも……」
一方、こよりたちは机に突っ伏していた。
「もう……なんか授業が毎回、詩音先輩 VS 先生の“文学バトルアリーナ”になってきてない?」
「でも……ちょっと見ていたくなる……!」
こうしてまた一つ、言葉の戦場が詩に征服されていくのだった。
今日の一句:
「英語詩で 先生すらも だまらせる」
次回、第9話「文学少女、校則の解釈に詩を持ち出す」
ポエムによる校則の“再解釈”!? 禁断の文学法律論、開廷します!




