第7話「文学少女、謎の“詩道”部を立ち上げてる」
“詩に武道を融合させる”という新感覚部活「詩道部」発足!
詩音先輩の発想力、もう誰にも止められません。
次はきっと“大会”とか始まります(予告)。
「こより、聞いた? 詩音先輩、また部活作ったって」
「えっ? 文芸部じゃなかったの?」
「違う、なんか“詩道部”っていう、謎の新団体らしい」
「“詩道”? 剣道でも柔道でもなく? 文字通り“詩の道”!?」
慌てて部活動掲示板を見ると、そこには堂々とこう書かれていた。
新設部活動:詩道部
部訓:「心の剣で、世界を詠み斬る。」
活動内容:詩を詠み、詩を極め、詩に生きる。
「うわあああ! なんか中二病みたいになってるーーー!!」
「てか“斬る”って何!? 詩に武力を持たせないで!?!」
その日の放課後、旧倉庫のような部室では――
詩音先輩が一人、詩道着(※袴に詩が縫い込まれている)をまとって正座していた。
「ようこそ、詩道の道へ。ここは、魂の声と真剣勝負する場所です」
「ちょっと待って、なんで座禅してるの!? ここ部活でしょ!?」
「この人、詩で精神統一しようとしてる……!」
そこへ現れたのは、1年生・神楽アキ。
「詩音先輩、今日の“詩の型”はなんでしょうか?」
「“霞流しの一の詩”よ。静かに、しかし深く――魂を切り取る」
「風の音 窓のすき間を すべる声
それを “寂しさ”と呼ぶのは 人間の特権」
「……型、って何!? これ詠むだけで型が成立するの!?」
「ていうかアキちゃん、完璧に詩人道場生じゃん!!」
どうやら詩道部では、
「型(定型詩)」「試合(即興詩の詠み合い)」「修行(感受性トレーニング)」など、
完全に武道ベースで詩を鍛えるらしい。
「本当に誰も止めなかったの!? この流れ!!」
そのうち部室の外には、「見学希望者」がちらほらと集まり――
「なんか、かっこよくない? 詩道って……」
「“詠む姿勢が美しい”って先輩が言ってた」
「道場破りとかあるのかな……」
「うっそ、ちょっと人気出てる!?!?!」
結局、生活指導の先生が詩音先輩に確認に来た。
「えーと……“精神鍛錬を目的とした詩の活動”……部活動規定には抵触しない……うん、ギリOK!」
「ギリって言った!!」
こうして詩道部は、仮部ながらも正式に活動を開始することに。
その日の部室には、また一つ詩が掲げられた。
「詩を極めるとは
言葉に 自分を映すこと
鍛えるのは 心の柔軟性と想像力」
「……なんかちょっとだけ、いい話っぽく聞こえるのが悔しい」
今日の一句:
「型の詩 構えひとつで 世界斬る」
次回、第8話「文学少女、英語教師を詩で黙らせてる」
文学 VS 英語、まさかの対話劇が始まります! お楽しみに!




