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文学少女、やっぱりまたやらかしてる  作者: たむ


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6/50

第6話「文学少女、図書室の本を全部“朗読アレンジ”する」

“静寂の空間”図書室にも、詩音先輩のやらかしは届く。

QRコード朗読というハイテク手法で文学布教!

さすがに怒られたけど、心にはちゃんと何かが残った……のかも。

放課後。テスト勉強のため、こよりたちは久しぶりに図書室へ。


「たまには静かな場所で集中しようよ」

「うん、ここだけは平和だし……って」


ゆいが言いかけたその瞬間、館内に響きわたる声。


「ページの音が、季節をめくる。

一枚一枚、わたしの心も、追いついていくのです……」


「……ん?」

「え? なんか聞こえたよね??」

「静寂じゃなくて詩が流れてるんだけど!?」


こよりたちは奥の書架へ向かう。

するとそこには――マイクスタンドを前に朗読中の詩音先輩の姿。


ベレー帽は本棚色。BGMはクラシック(持ち込みスピーカー)。


「……えっと、何やってるんですか?」とまなが声をかけると、

詩音先輩はマイク越しにふわりと答えた。


「本に、声を吹き込んでいるんです」

「静かな本たちも、読まれたがっているはず。だから“朗読アレンジ”を」


「なんだそのアーティストっぽい発想!?」

「ていうか、“アレンジ”って何勝手にリミックスしてんの!?」


実際に置かれた本を見てみると、

ブックカバーの裏に小さなQRコードが貼られている。


読み取ってみると――


「……詩音先輩の朗読ボイスが始まった……!?」


「“吾輩は猫である”。そう名乗ったとき、

すでに彼は“名もなき日常の観察者”だったのです――」


「勝手に“情緒”増し増しで語られてるぅぅぅ!!」

「なんか、明治の文豪が詩音先輩にプロデュースされてる感じ!!」


図書室の司書の先生も、最初は困惑していたが――


「でも、確かに静かすぎて読まれない本に、

 “声が届いた”って感じはするのよね……」


「先生までちょっと感動してるー!?」


その日の放課後、図書室にはふだん見かけない生徒たちが集まっていた。


「“声つき”なら、ちょっと読んでみようかなって」

「正直、眠くなったけど、詩音先輩の声だけは最後まで聞けた……」


「……すごい。文学、広まってる……」


ただし翌週、校内放送で生活指導の先生からアナウンスが。


「図書資料への無断QRコード添付は原則禁止です」


「そりゃそうだーーーー!!!」

「でも惜しい! ちょっとだけ、惜しかった!!」


詩音先輩は静かにコードを剥がしながら言った。


「でも、きっと誰かの中に、“声の本棚”は残りました」


「……やっぱりこの人、いちいちカッコつけるの上手いんだよな……!」

今日の一句:

「声の書棚 響くポエムに 静けさ割る」


次回、第7話「文学少女、謎の“詩道”部を立ち上げてる」

まさかの“武道×ポエム”爆誕!? 新団体、始動します!

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